- 2019年02月26日 09:55
海外でも「会社という存在に対する疑問」はあるのか? サイボウズ式がグローバル向け発信をはじめる狙い
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そのためのキーマンとして編集部に加わったのが、スイス出身のアレックス。スイス外務省と慶応義塾大学職員を経てサイボウズに入社した、異色のキャリアの持ち主でもあります。
サイボウズ式はこれから、世界へ向けてどんなメッセージを発信していくのか? アレックスとコーポレートブランディング部長の大槻幸夫(サイボウズ式初代編集長)の2人で、ざっくばらんに語り合ってもらいました。
スイスではサイボウズの名前を聞いたことがなかった
最初にアレックスからの応募書類を見たときは、そのキャリアに驚いたんですよ。
そうですか?
スイス外務省から大学職員を経て……。労働政策について関わってきた経歴があり、それは僕たちが扱うことの多い働き方というテーマにも通じると思ったんですよね。
あと、実際に会ってみたら「日本人と話しているのかな?」と思うくらいコミュニケーションが自然でした。日本語はとても上手だし、謙虚さと落ち着きがあって会話もしやすいし。

とんでもない。日本語はまだ上手だとは思えないです……。
「謙虚」って、まさにそういうところですよ(笑)。
ちなみに、スイスを出て日本に行くことはいつ頃から考えていたんですか?
アニメの影響で、子どもの頃から日本に興味を持っていました。学生時代に日本から来た留学生と友だちになったり、スイス外務省時代には日本の外務省の方と接することがあったり。
それでさらに興味を持ち、旅行で何度か実際に日本を訪れる中で「ここに住んでみたいな」と。外務省を辞めて日本へ来たんです。

サイボウズへ応募した理由は何だったんですか? 外務省も大学職員も、割とパブリック寄りの職務経歴だと思うんです。サイボウズは随分と文化の違う組織だと思いますが……。
はい、こういう会社は初めてです。正直に言うと、お世話になっていたエージェント会社のリクルーターさんに勧められて、初めてサイボウズを知ったんです。スイスではサイボウズの名前を聞いたことがなくて。
そうでしょうね(笑)。
もともと希望していたのは日本の大手企業だったんですが、ただ日本語を翻訳するだけではなく、自分で記事を書いて発信するような仕事もしてみたいと思っていました。
そんなときにリクルーターさんが、「サイボウズにはコーポレートブランディングでオウンドメディアを手がける部署がある」と教えてくれたんです。
サイボウズは早く、世界レベルでの会話に参加すべき
サイボウズはなぜ、海外でのブランディングを強化しようと考えたんですか?
サイボウズはアメリカに現地会社の「kintone Corporation(サイボウズアメリカ)」を立ち上げ、副社長の山田が社長となってキントーンの展開を進めています。
ただ、アメリカはITの本場だけあって競合がとても多いんです。キントーンと同じカテゴリーの製品が毎週1つは誕生しているような印象です。
非常にスピード感があり、厳しい市場だと。
製品プロモーションも大事ですが、それだけでは差別化しきれないと感じていました。
それでは、僕たちは何を売りにするべきなのか。考えた結果、サイボウズの理念や文化をアメリカでも伝えていくべきだと思ったんです。
「チームワークあふれる社会をつくる」という理念ですね。私がサイボウズを知ったときも、この理念が強く印象に残りました。
アメリカ製の製品はトップダウンなところがあって、マネジャーが「みんなの動きを把握したいからこのツールを使う」ために便利な製品が多いようですね。
対して、サイボウズのキントーンの売りは、ボトムアップで「みんながチームのコミュニケーションを良くしたいから導入する」ツールだといえます。
これはサイボウズが持つ働き方へのこだわりにもつながっています。僕たちが『サイボウズ式』で発信してきたメッセージを海外にも届けていくことが、競合との差別化になると考えているんです。
私もぜひ、サイボウズの理念を海外へ発信していきたいと思っています。
ただ今のサイボウズ式を見ていると、日本の有名人のインタビューや日本の文化を紹介するような「日本フォーカス」の記事が多いですよね。
そうですね。
本当にチームワークあふれる社会をつくるなら、日本のアイデアだけではなく、世界中のアイデアを集めて良いものを取り入れていくべきじゃないかと思います。
日本に限らず、海外の先進的な事例を取材して、そこから学んでいく必要があります。いつか国内外で先進的な思想を持った企業が生まれてくると思いますが、そこから学んでアップデートしていかないと、サイボウズはイノベーティブな存在だとは言えなくなります。
そうなってしまうのはとてももったいない。私たちは早く、世界レベルでの会話に参加をしなければいけないと思うんです。