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- 2011年01月25日 02:57
暴走検察は、村木厚子さんに一体何を謝罪したのか?
1/2村木さんに最高検謝罪 村木さん「もっとしっかりして」
郵便不正事件で無罪判決が確定した厚生労働省元局長の村木厚子さんに最高検の小津博司次長検事が面会し、謝罪していたことが明らかになった。大阪地検特捜部の証拠改ざん・犯人隠避事件を受けて法相が設置した「検察の在り方検討会議」(座長・千葉景子元法相)の13日の会議で、小津次長が「謝罪する旨申し上げた。村木さんからは全般について厳しいお言葉を頂いた」と述べた。(Asahi.com より)
最高検が、郵政不正事件で逮捕・拘束された村木厚子さんの所に出向き謝罪していたことを各メディアが報じている。直接詫びたと聞けば、いかにも殊勝な態度を示しているようだが、今更何を詫びるというのか。
実は最高検が、村木さんの無罪確定後3ヶ月も経った今になって謝罪の意向を示さざるを得なくなったのは、年末に提出した本事件の検証報告書のあまりにお粗末な検証姿勢に批判が集中したためだ。先のエントリー記事でもとりあげたように、当の村木厚子さんが、この検証報告に対しては「事実と異なる調書が大量に作成された過程や組織の機能の在り方が十分検証されていない」、「検証過程で自分への聴取がなかった」と批判する一方で、国や当時の取り調べを担当した検事を相手どり国家賠償訴訟を起こした。柳田前法務大臣の指揮のもとで組織された私的諮問委員会「検察の在り方検討会議」の委員である弁護士の郷原信郎氏やジャーナリストの江川昭子さんも、検証報告書は前田元主任検事が行った「犯罪」を単に前田被告の個人的犯罪として矮小化するものと厳しく批判している。
前田個人の犯罪と矮小化する検察
最高検の幹部が村木さんに謝罪に出向いたとしても、「このたびは前田とその上司がトンデモナイことをいたしまして・・・・」と謝るのが関の山で、村木さんが指摘している検察の組織的な関与については決して認めはしなかっただろう。
その証左に、私も発起人の1人となっている「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」がおこなっていた告発、すなわち、前田元主任検事を特別公務員職権濫用罪で裁くべきという告発の申し立てを昨年末の段階で、何らの理由も示さず、あっさりと却下しているからだ。
もし私たちの告発通りに、前田元主任検事が「職権濫用罪」で裁かれることになれば、その「職権」の前提となっている検察組織の在り方全体が問われることになるだろう。村木さんが「組織の在り方」に言及しているのは、正にこの点を問うているのだが、検察当局は、組織全体の問題として今回の事件が取り扱われることを頑なまでに拒んでおり、あくまで、この事件を単なる証拠隠滅罪という軽犯罪、前田元主任検事および当時の上司により構成された特殊な事件として片づけようとしている。つまり、このことからも明らかなように検察当局は、世間の風圧をとりあえずかわすために村木厚子さんに対して謝罪のポーズをとっただけであり、組織的責任は、いささかも認めていないのである。
これまで、この国の人々は、巨悪に立ち向かう「正義」の番人としての検察に無条件に喝采を送ってきた。しかし、組織防衛に汲々とする現在の検察のどこにも、かつての「正義」の番人の姿はない。逆にかつて彼らが追いつめてきた政治家たちが、トカゲの尻尾切りのように秘書を防波堤にして保身していた姿と全くダブって見える。
検察審査会に申し立て書を提出
残念ながら、もう、検察組織の自浄能力に期待することはできないと考え、私たちは先々週の11日、新たな行動に出た。前田元主任検事を「特別公務員職権濫用罪」で裁くべきとした我々の告発を、最高検が却下したことを不服として、検察審査会に対して申し立てをおこなったのだ。
組織防衛の観点から最高検が、私たちの告発を取り上げないだろうということは、当初から予想していたが、実際に告発が却下された時点では、「付審判請求」という方法で再度申し立てを行うという選択肢もあった。しかし、あえて「検察審査会」への申し立て一本に絞り勝負することにしたのは、検察審査会の場合は、そこに市民の目線が働く可能性があるからだ。



