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新聞は沖縄県民投票をどう報じたか 5大紙社説比較

 米軍普天間基地(沖縄県普天間氏)の辺野古(同名護市)移設を巡る沖縄の県民投票が投開票され、移設に向けた埋め立て工事に72.2%が「反対」票を投じた。結果の論評はほかに譲るとして、私は結果を受けた新聞各紙の“報じ方”に注目してみたい。

 まずは全国5紙の社説がこちら。

産経 沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け
読売 なし
日経 辺野古打開へ国と沖縄は対話の糸口探れ
毎日 「辺野古」反対が多数 もはや埋め立てはやめよ
朝日 沖縄県民投票 結果に真摯に向き合え

 通常、社説は1日2テーマについて論評するが、5紙中、読売を除く4紙はその2テーマの中に県民投票が入った。このうち、政府は結果を重視せよというのが毎日、朝日の2紙。産経と日経は国と沖縄の対話を強化せよ、という論調だった。

 新聞の読み方として、格好の材料である。

 リベラル系、つまり左系の主張が特徴的な毎日、朝日はそもそも、普天間基地の辺野古移設に反対の立場。反対票が多かったという結果にうまく乗っかった社説を書いている。

 例えば朝日は「「反対」が圧倒的多数を占めた」と書いているが、どういう基準で圧倒的と断定しているのか。7割を超えたからといっても、投票率が50%強であることを考えれば、沖縄県民のうち、圧倒的多数が反対しているということができるのか疑問だ。朝日新聞の綱領にある「真実を公正敏速に報道し、評論は進歩的精神を持してその中正を期す」とは程遠い。

 毎日は「普天間の辺野古移設は政治的にも技術的にも極めて困難になった」などと書いているが、こちらもよくわからない。県民投票に法的拘束力はないため、政治技術的には、政府が「既読スルー」することは可能。それを「受け止めた」と呼ぶか、「無視した」と呼ぶかは別だが、政治的に困難であることはない。技術的にも軟弱地盤の問題が浮上しているが、時間をかければ政府が地元の反対を押し切って工事を進めることは可能で、現実とかけ離れた記事といえる。

 一方、移設推進派である産経の記事にも違和感がある。産経は、安保政策は全国民の問題だと強調。「今回の県民投票はその内容にかかわらず、民主主義をはき違えたものである」と断定しているが、県民投票そのものに瑕疵は無い。批判するとしたら県民投票ではなく、その結果を利用して国政に働きかけようという知事の思惑であろう。自紙の論調に沿わないからといって存在意義すら認めないという姿勢はいかがなものだろうか。

 最もしっくりくるのは日経だ。あくまでも今回の投票は沖縄県民の意思を問うものであるが、国と県がいがみ合う構図が続くことは良くない。国も「基地負担が減っていくという実感を沖縄県民に与える努力が必要」というのはその通りだ。「緊急避難的な措置としての県内移設はやむをえまい」というのも正論だが、沖縄県民が危惧しているのはそれが固定化するとの疑念である。

 政府が「辺野古後」を本気で探らなければ、国と沖縄とがいがみ合う構図は変わらないだろう。

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