- 2019年02月25日 09:11
「エモい」とは何か
2/2Soundcloud Rapを「自分好み」と「自分好みじゃないもの」にわける作業から始まって、「自分好み」のラベルを貼ったものは、その後、ほとんど英語圏で「Emo Rap」にカテゴライズされるようになって。そこで「あ、自分が好きなのはEmo Rapなんだ」って再発見したようなところがある。
でも、最初は「Emo」と「Emo Rap」って、つながってないじゃん?とも思ってたんです。というのもJimmy Eat Worldとかthe Get Up Kidsとか、ああいうEmoの代表格と言われるバンドは、当時のパンクシーン、いわゆる90年代のメロコアシーンの派生のようなものとして自分の中で位置づけていたから。もちろん掘っていくとWeezerがいるし、あとはワシントンDCのポスト・ハードコアとかいろいろ源流があるんだけど、その話はちょっと置いておいて。
■源流としての The Postal Service
自分の中で「Emo」と「Emo Rap」がリンクした、「これだ!」となったきっかけが、The Postal Serviceの『GIVE UP』という2003年のアルバムを聴き直したことだった。
つまり、Emo Rapの「Emo」側のルーツがThe Postal Serviceなんじゃないか、と思ったわけです。Death Cab for Cutieのベン・ギバート(Ben Gibbard) と、Dntel=ジミー・タンボレロ (Jimmy Tamborello)が結成したユニット。残したアルバムはこれ1枚。
でも、ポッドキャストでもタナソーさんが解説してるとおり、日本ではそんなに騒がれなかったけど、その後のアメリカのシーンに与えた影響は計り知れないものがある。
特に好きなのが「District Sleeps Alone Tonight」という曲。この曲をじっくり歌詞を読みながら聴くとと、「ああ、この感覚がいわゆる”Emo”なんだなあ」と、思うようなところがある。
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I'll wear my badge
A vinyl sticker with big block letters adhering to my chest
That tells your new friends
I am a visitor here
I am not permanent
And the only thing keeping me dry is
Where I am
(ぼくの胸には、貼りついて剥がれないビニールのステッカーみたいにバッチがついてる。そこには大きく太字で「部外者」って書いてある。ここの人じゃないってことを、新しい友だちに教えるバッチ。ぼくの心がずっと渇いているたった一つの理由は、じゃあ、ぼくはどこにいるんだろう、ということ)
ポッドキャストの中では『13の理由』の話もして、10代のスクール・カルチャーの中での疎外感みたいなところにつなげちゃったんだけど、もうちょっと根源的なものがあるような気もするんだよなあ。
というのも、日本にはずっと昔から「エモい」に相当する言葉があるから。これは僕じゃなくて、 日本語学者の飯間浩明さんが言っていたこと。
すごく腑に落ちる。
で、さらに解釈を重ねて、僕が「Emo」に感じる情感のようなものを踏まえて「エモい」を読み解くなら、やっぱりそれは「無常観からくる、理由のない、そこはかとない物悲しさ」みたいな感慨をあらわす言葉なんじゃないか、と思ってる。
で、これも大事なことなんだけど、「エモい」というのを、物悲しいとか寂しいとか切ないとか、それだけの感情と言い切ってしまうのも違う感じがする。
どっちかと言うと、喜びというか、祝福というか、救いというか、そういうものも「エモい」に含まれている感じがする。それが躍動感とか高揚感に結びついているというか。たとえばThe Flaming Lipsのライブも「超エモい」、すなわち「いとあはれ」と思うから。
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無常観の裏側には「それが一回限りの刹那であることがあらかじめわかっているがゆえの”生の肯定”」みたいなものもあって。
そういうのも「エモい」よね、と思う。



