記事

コダックが倒れ富士フイルムが残ったワケ

1/2

■なぜ富士フイルムは、ヘルスケア事業に進出できたのか

グーグルやアマゾンを代表とする米国のIT企業が躍進し、世界中で事業を急速に拡大している一方、ものづくりで成功してきた日本企業は、いまだに迷走している感があります。国内では、政府主導で米国流の株主利益主義が浸透し、さらには中国企業が台頭してくる中で、日本企業はかつて成功したパラダイム(考え方の枠組み)のもとに、ひたすら効率を高め、コストを削減して、利益を上げようとする方向に進んでいます。

しかし、こうしたやり方を続けていては、変化の激しい環境には対応できません。重要なのは、コスト削減よりも付加価値を最大化することです。そのためには、パラダイムの変革が必要であり、企業には、従来と異なる能力が求められます。それが今、経営学の世界で注目されている「ダイナミック・ケイパビリティ(変化対応自己変革能力)」です。

提唱者のデイビッド・ティース(カリフォルニア大学バークレー校教授)は、企業の能力をオーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)とダイナミック・ケイパビリティの2つに区別しています。

オーディナリー・ケイパビリティとは、現状を維持しながら、より効率を高める能力、コスト削減能力、管理能力などのテクニカルな能力(技能的適合力)を指します。この能力は利益を最大化しますが、付加価値を最大化するものではありません。

環境が変化すると、この能力だけでは対応できなくなります。変化によって生じた環境と企業活動のギャップを埋める能力がダイナミック・ケイパビリティです。変化に対応するために、既存の資源(資産・知識・技術など)を再形成、再配置する能力(進化的適合力)のことです。変化を感知する(センシング)、利益を生み出す機会を捕捉する(シージング)、資産を再編成し変容する(トランスフォーミング)、という3つの能力によって構成されます。

ダイナミック・ケイパビリティは、オーディナリー・ケイパビリティを変革する、より高次な能力です。オーディナリー・ケイパビリティだけでは、その場限りの対応に留まるため、企業は進化できません。ダイナミック・ケイパビリティを併せ持つことによって、企業は時代の変化に合わせて進化していくことができるのです。

あわせて読みたい

「富士フイルム」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    iPhone12 ProMaxからiPhone13 ProMaxに買い替えた結果

    永江一石

    09月27日 14:35

  2. 2

    まだゼロコロナを目指す?行動制限の緩和に消極的な知事らに医師が苦言

    中村ゆきつぐ

    09月28日 08:14

  3. 3

    米タイム誌が評価した隈研吾氏の新国立競技場が「負の遺産」に

    渡邉裕二

    09月27日 09:00

  4. 4

    麻生太郎氏が恐れる「河野家への大政奉還」 総裁選後に麻生派空中分解も

    NEWSポストセブン

    09月28日 09:09

  5. 5

    スーパーシティって何だ?

    ヒロ

    09月27日 10:32

  6. 6

    詐欺が増加する不動産取引 司法書士はリスクに見合う仕事なのか

    内藤忍

    09月27日 15:28

  7. 7

    「ユニクロ=格好いいから選ばれるブランド」 英国ファッション業界で人気に

    小林恭子

    09月28日 11:51

  8. 8

    小室圭さん 結婚決定で開き直り?会見拒否で眞子さま単独釈明の現実味

    女性自身

    09月28日 09:22

  9. 9

    不誠実な政治家は国民が生んだ?菅首相の弁論回避が合理的になった理由

    物江 潤

    09月27日 10:26

  10. 10

    世襲だらけの非自由非民主党の総裁選は選挙の顔で選ぶのか

    篠原孝

    09月27日 18:40

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。