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- 2012年04月06日 15:55
解散できなければ野田総理の政治生命は終わる-『田原総一朗のニュースの裏側』
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田原総一朗氏(撮影:野原誠治) 写真一覧
解散しなければ野田総理の政治生命は終わる
――国民新党がドタバタしていますが田原総一朗(以下、田原):国民新党はつまんないよ! 全然つまんない。何もない。それよりも消費税ですね、民主党が事前審議という形で8日間、延べにして45~6時間合同会議をやった。よく「審議を尽くした」という意見があるけど、僕は中身のない審議だったと思う。小沢グループなど反対派が反対のための反対を主張しただけで、審議としては全く広がるはずもなかった。
前原政調会長が我慢を重ねて一任を取り付けたことは評価するけれども、中身は全くなかった。第一、反対派の消費税値上げに対する論拠がほとんどないと思う。反対派の一番の主張は「民主党がマニフェストで4年間増税をしないと決めた、にもかかわらず増税するのはマニフェスト違反ではないか」というもの。
しかしマニフェストには前提があって、初代首相の鳩山由紀夫氏は「自民党の予算は無駄が多い、民主党が政権をとったら初年度で7兆円の無駄を省き、4年間で16兆ないし17兆円の無駄を省く」と言った。ところがフタを開けると、ほとんどムダは削れていない。すでに、マニフェストの前提が破綻しているんです。だからマニフェスト違反という主張には、論拠がない。
僕が小沢一郎さんとニコニコ動画で対談した時そのことを言ったら、小沢さんは「これから懸命に行革をやって、予算を減らして、それでもどうしても必要なら消費税を導入すべき。先にありきはおかしいじゃないか」という見方だった。だから小沢さんに対して、「あなたは鳩山由紀夫さんが首相のとき、幹事長だった。その時どれだけ予算を減らしたんだ、ほとんど減らしてないじゃないか」と言った。それについて返事はありませんでした。
さらに民主党の反対派が、「景気の悪い時になぜ増税するのか、これは国民を苦しめるだけだ。必死になって景気回復をして、必要ならば増税すべきだ」と言っている。だけど、自民党がこういう論議をすることで無駄に時間を費やして、ついに1000兆円もの借金を作った。いつ景気が良くなるかわからないのに「景気が良くなってから増税しよう」というのでは、自民党がやった失敗の繰り返しだ。
最終の場面で民主党は、「もし増税をするならばその前に成長率を名目で3パーセント、実質で2パーセント上げるという数値目標を入れろ」という。「入れれば賛成する」と。でも2014年、2015年の成長率を数値目標で示すなんで不可能だ。そんなことできるなら、経済は誰も困らない。 執行部は数値目標は入れない、と突っ張ってきたけど、最後は徹底的に頑強な反対があって話が終わらないと。だから結局増税のときは成長率を名目で3パーセント、実質で2パーセントの努力目標とすると。増税の条件にはしない、という風に入れた。
それに対して一部の新聞が「条件があやふやであり、曖昧である」と書いた。しかし僕は、一任を取り付けた前原政調会長をむしろ評価したい。問題はそれ以後のこと。問題はそれを採決するかどうか。採決しないということは、消費税の問題はやらないも同然だ。
実は政界の事情通たちの多くは、「採決できないだろう」と読んでいる。採決する度胸は民主党にはなく、採決もしないし解散もない、選挙もない、と。そのまま9月の代表選挙まで行くだろうし、そういう筋書きを書いているのは小沢一郎さんと輿石幹事長だと。
小沢さんは増税に反対しているし、解散総選挙があると小沢さんのグループは大敗する。選挙もしたくないし増税も反対、というのが小沢さんの主張だと。恐らく4月、小沢さんは陸山会の問題で無罪になる。小沢さんはここで最後の勝負に出たい。9月の代表選挙に出たいし、それまでは消費税の増税はメンツにかけてさせない。
輿石さんもその戦略を描いている。だから、野田さんだけでもし採決をすればほぼ100パーセント否決される。なぜなら自民党が反対で、小沢グループが反対だから、それは否決になる。否決されたら、それは野田内閣不信任案と同じだ。不信任案が通ったことと同じ。野田さんがそこで解散する度胸があるかどうか。事情通の多くは「解散する度胸はない、だから野田さんは採決をしない」と踏んでいる。
僕は、もし採決もしないし解散もしなければ野田さんの政治生命は終わりだと思う。ここは度胸を持って採決をし、否決されて、解散しろと。ちょうど小泉純一郎さんが郵政民営化のときに参議院だけど否決されて、解散に持ち込んで大勝した。野田さんは採決し解散すれば道が開けるが、しなければ政治生命は終わりだと思う。それがこの問題。
――いよいよこれから、ということですね。それから、北朝鮮の動きについては?
田原:連日、北朝鮮のミサイル問題が新聞・テレビなどで大きく取り上げられている。この間は韓国で核サミットがあって、当然ながら北朝鮮のミサイル問題が中心議題になるはずだった。北朝鮮は4月15日が金日成の生誕100年祭なので、これを記念して前後に人工衛星を打ち上げると言っている。
世界の国々はアメリカ始め韓国も、人工衛星だなんて誰も信じていない。ミサイルにしても人工衛星にしてもやることは全く同じだ。ここで問題は、この間に米朝協議が行なわれ北朝鮮のウラン濃縮の一時停止、ミサイル発射の一時停止を条件にアメリカが大量の食糧援助をすることを決めた。アメリカは北朝鮮がミサイルを発射すれば、この米朝協議に反すると考えるだろう。食糧援助をしない、ということになる。
このことについて韓国・ソウルで核サミットが行なわれた。僕は、この核サミットは単なる儀式だと思っている。日本の新聞では野田さんがここへの参加が遅れて、早く帰ってきたことでほとんど発言しなかったことを批判した。正直、どうでもいいことだと思う。
これは単なる儀式で、さらにいえば今度の韓国の大統領選挙でイ・ミョンバク大統領が微妙に不利な立場になる。日本の新聞では「韓国の経済が好調で、日本の家電メーカーがやられている」というのだけど、サムスンやいくつかの大企業は好調だけど、中小企業は極めて不況。だからイ・ミョンバクの人気がない。イ・ミョンバクは何とかして国民の人気を得たい、だから従軍慰安婦問題を急に言い出した。
従軍慰安婦問題は佐藤内閣のときにすでにケリがついていて、小渕首相のときにキム・デジュン大統領がやってきて「過去のことは一切問わない、これから日韓は未来のことを見ていこう」と。なぜここで言い出すのかといえば、韓国では日本を攻撃すると支持率が高まるから。もう一つは、北朝鮮のミサイルでお祭り騒ぎをしたい。それも選挙のため。現に核サミットでは、北朝鮮がミサイルを打ち上げたらどうするか何も決めていない。



