沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う、名護市辺野古沖の埋め立ての賛否を問う県民投票が、2月24日に行われる。現地で20年以上取材を続けるノンフィクションライターの古木杜恵氏は「2.5兆円をかけて辺野古に新基地を作っても、普天間が返還されるとは限らない」と指摘する――。

■「辺野古移設が唯一の選択肢」の説明責任は果たされていない
辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う2月24日の「県民投票」が間近に迫った。
沖縄県と国の対立がこれほどまでに深まったのは、安倍政権の数々の「暴力」と「虚偽」、そして「沖縄ヘイト」によって新基地建設が強行されてきたからに他ならない。
日本政府は、米軍普天間飛行場(基地)の危険性を除去するためには「辺野古移設が唯一の選択肢」と繰り返し強調する。だがその説明責任は果たさず、県外から機動隊を導入して抗議の声をあげる市民を暴力で組み伏し、「土人」と蔑んだ。
虚偽の一例を挙げれば、仲井眞弘多元知事が辺野古の「埋め立てを承認」する事実上の前提条件の一つだった米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」であろう。政府は2014年10月に「全力で取り組む」との答弁書を閣議決定した。
運用停止の期限は19年2月18日だったが、政府は「辺野古移設への協力が前提」として米側と公式な交渉も行わないまま、沖縄県に責任を転嫁。安倍晋三首相は、17年2月の衆院予算委員会で「残念ながら翁長雄志知事に協力していただいていない。難しい状況だ」として「埋め立て承認」の前提条件を反故にし、「協力いただけていない」という理由もあいまいなままである。
■「辺野古は代替施設か」「普天間は返還されるか」いずれもノー
そもそも辺野古新基地は、米軍普天間飛行場の代替施設なのか?
新基地が完成すれば、即時に同飛行場は返還されるのか?
結論から言えば、いずれもノーである。
稲田朋美防衛相(当時)は、17年6月の参院外交防衛委員会で「米側との具体的な協議やその内容に基づく調整が整わないことがあれば返還条件が整わず、普天間飛行場の返還がなされない」と初めて明言した。答弁の根拠は、日米両政府が13年4月に合意した「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」で、同飛行場の「返還条件」として以下の8項目を列挙している。
(1)海兵隊飛行場関連施設等のキャンプ・シュワブへの移設
(2)海兵隊の航空部隊・司令部機能及び関連施設のキャンプ・シュワブへの移設
(3)普天間飛行場の能力の代替に関連する、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備は、必要に応じ実施
(4)普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善
(5)地元住民の生活の質を損じかねない交通渋滞及び関連する諸問題の発生の回避
(6)隣接する水域の必要な調整の実施
(7)施設の完全な運用上の能力の取得
(8)KC-130飛行隊による岩国飛行場の本拠地化
懸案となっているのは、(4)「普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善」である。
■条件が満たされないと普天間基地は返還されず、継続使用される
米国会計検査院(GAO)は、辺野古新基地の滑走路は1800メートルで「固定翼機の訓練や緊急時に対応できない」として民間施設12カ所を候補地に挙げ、そのうち1か所を沖縄県内としている。

稲田防衛相は沖縄県内の民間施設について言及を避けたが、米軍普天間飛行場(2800メートル)と同規模の滑走路を持つ県内の飛行場は、那覇空港(3000メートル)と現在建設中の第二滑走路(2700メートル)、そして宮古市の下地島空港(3000メートル)だけである。「緊急時における使用」であることを考えれば那覇空港しかない。
翁長前知事は17年7月の県議会で「(米軍には)那覇空港は絶対に使わせない」(『沖縄タイムス』同年7月6日付)と答弁した。
辺野古新基地が完成しても、これら8項目の条件が満たされない限り、米軍普天間飛行場は返還されず、継続使用される。




