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拡大の止まらない中国「アフリカ豚コレラ」 - 澁谷 司

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 今年(2019年)2月5日、中国では春節を迎えた。同国では、末尾が9の年は大事件が起こると信じられている。もしかすると、本年は波乱の年となるかもしれない。

 昨年8月来、習近平政権を悩ませてきた「アフリカ豚コレラ」(以下、ASF)は、春節前、しばらく発症しなかった。そのため、一時、ASF蔓延が終息へ向かうかに思われた。

 しかし、春節期間中の2月8日、湖南省で再びASFウイルスに感染した豚が確認された。ASFは終息していなかったのである(台湾獣医学界の権威、頼秀穂の予見通り―今後、中国では数十年、ASFが終息しない―だった)。

 2月18日、今まで非汚染行政区だった南部、広西チワン自治区北海市でも豚がASFに感染した。更に、2日後の20日、山東省でも同ウイルスに感染した豚が確認されたのである。

 これで、中国31省市(5自治区を含む)中、27省市まで“陥落”している。ASF非汚染省市は、北京と天津を囲むように存在する河北省(因みに、周囲は全て感染省市)、大陸から離れている海南省、西域のチベット自治区と新疆・ウイグル自治区の4行政区のみとなった。

 さて、河南省の「鄭州三全食品」(その傘下には、河南全恵食品公司が存在)、「上海国福龍鳳食品」(その子会社には、浙江龍鳳食品有限公司、成都国福龍鳳食品有限公司、天津国福龍鳳食品有限公司がある)、河南省の「科迪食品集団」等、十数社の有名食品メーカーが、最近、AFSウイルス入り水餃子等を販売していた事が分かった。

 その十数社で中国全体の50%以上のシェアを占めるという。仮に、その残飯を豚が食べれば、たちまちASFに罹患するだろう。極めて深刻な事態である。

 このような状況下にも拘らず、中国共産党は、ASFのコントロールができている、或いは、ASFの拡大が収まりつつあると喧伝している。こうなると、もはや“ブラック・ジョーク”以外の何物でもない。

 現実は正反対だが、中国のマスメディアは、なかなか真実を報道できない。一党独裁の弊害を露呈している。

 周知の如く、中国で肉と言えば、普通、豚肉を指す。肉類の約3分の2は豚肉(1年間の消費量は約5000万トン)である。当局の発表では、同国内でのASFに感染した豚が約100万頭は殺処分されたという。

 もし中国に7億頭の豚がいるとしたら、100万頭が殺処分されたとしても、決して大きな数字(0.14%)とは言えないだろう。けれども、豚肉の値段は一時、急騰した。不思議な現象である。北京がいつものように、数字を操作していることは間違いない。

 その後、都市部では豚肉が敬遠されているせいか、その価格が普段より下落している。だが、一方、豚肉の代替としての羊肉(全国平均)は、昨年11月上旬、1キロ当たり、54元(約890円)~58元(約960円)だった。だが、今年2月中旬には、同62元(約1020円)前後と値上がりしている。

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