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【赤木智弘の眼光紙背】子供は何から守られるべきなのか

赤木智弘の眼光紙背:第218回

 北海道日本ハムファイターズが、札幌市内の新一年生たちに、キャラクターの図柄が入った、ランドセルカバーをプレゼントしたそうだ。(*1)


 とても微笑ましい話だとは思うんだよね。でも、なにか引っかかりを感じる。それは、子供たちがこれをランドセルに付けて、毎日登下校をしている姿を想像するに、これって小学生にサンドイッチマン、つまり看板持って街角に立たせることを、やらせてるのと同じじゃないのか?という疑問だ。

 例えばこれが、シャツや帽子といった日ハムのグッズだったら、そんな引っかかりを感じはしなかった。なぜなら、そうしたグッズ類は、子供たちや親の好き嫌いが反映されるので、使うも使わないも貰った側の自由である。

 しかし、ランドセルは子供たちが好むと好まざるにかかわらず毎日持ち運ぶものだ。集団で登下校をしている子供たちが、皆で同じ日ハムの柄のランドセルカバーをしていれば、その宣伝効果は決して小さなものではないだろう。

 日ハムの他にも、地元の小学校などにランドセルカバーを寄贈している企業は少なくない。しかしその多くは、子供が横断歩道などをわたる絵や「交通安全」などと書かれた、シンプルで車からも視認しやすい柄のものであり、寄贈元の名前は控えめで派手な自己主張はない。これらに比べると、どうしても日ハムのランドセルカバーは、自己主張が強いように感じられてしまうのだ。


 本当なら、このニュースはほのぼのニュースです。自分も引っかかりなんか感じなかったはず。しかし、震災以降、どうも「子供を利用しようとすること」に対して、個人的にすごく過敏になっている。

 それは震災以前に原子力発電所で潤っている地域の人たちが子供に「明るい原子力」と言ったような無邪気なポスターを書かせたりして、原発というものを現実の便益やリスクから切り離して、とにかく原発があることはいいことなんだ、素晴らしいことなんだとして、安易に理解させようとしていたことが気になっている部分もある。

 また、震災後に一部の反原発を主張する人たちが、「子供を守れ」というお題目をぶん回して、他人を一方的に攻撃したり、他人の意見を聞かないことの言い訳に使うという、みっともない光景をつきつけられ続けているという部分もある。

 そしてそもそも、子供の危険を声高に叫ぶ安全安心の論理が、いつだって標準的な家族形態を構築できない人たちを、排除する方向にしか働いていないという現実を目前にしてきたことが、そうした考え方の原点にある。

 僕は、そうした大人の打算に子供が巻き込まれる問題に、どうしても敏感にならざるを得ない。そして、子供を交通事故から守るよりも、まずは先に、大人の打算から子供を守るべきなのだと思う。

 そうした意味で、このランドセルカバーは、問題を含むのだと僕には思える。日ハムからすれば、とんだいいがかりなのかもしれないが、僕はそうした打算に注意をしておきたい。

1:新1年生にランドセルカバーを贈呈(北海道日本ハムファイターズ)http://www.fighters.co.jp/news/detail/2626.html

プロフィール
画像を見る赤木智弘(あかぎ・ともひろ)
1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。著書に「若者を見殺しにする国 (朝日文庫)」など。

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