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シャープと鴻海(ホンハイ)~提携の裏側を考える

シャープ
台湾・鴻海精密工業と資本・業務提携
第三者割当増資を鴻海が受け入れ

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▼鴻海がシャープと提携して狙っていることとは?
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シャープは先月27日、電子機器の製造受託で世界最大手の台湾・鴻海精密工業と資本・業務提携すると発表しました。

シャープが670億円の第三者割当増資を実施し、鴻海グループ4社が引き受け、議決権ベースで9.99%を持つ筆頭株主となるとのことです。

「資本提携」ということですが、これは「買収」も同然だと私は思います。

両者の売上規模などの数字を見ても明らかに対等ではないと分かります。

売上ではシャープが2兆5000億円の予想に対して、iPhoneやiPadで売上が大きく伸びた鴻海は9兆7000億円です。

最終損益を見ると、シャープが2900億円の赤字を出す予想に対して、鴻海は2159億円の黒字(シャープは2012年3月期予想業績、鴻海は2011年12月期実績)。

時価総額でも3兆4000億円を誇る鴻海に対し、シャープは7000億円を割り込んでしまいました。

シャープの株価は社長の交代により下落傾向にありましたが、今回の鴻海との資本提携への期待感から一気に跳ね上がっています。

シャープが鴻海という企業と手を携えてやっていけるのか否か、この点を考えるためには鴻海という企業の特徴をよく知っておくことが必要だと思います。

私はこの10年ほどこの企業を見てきましたが、その上で「鴻海の特徴」は以下のような点にあると考えています。

まず「ずる賢い」ということです。OEMという形を取ることで自らの名前・ブランドを出さず、文句を言われないようにしながら事業を展開するのが得意です。

例えば、米液晶テレビメーカーのVIZIO(ビジオ)は、大株主として鴻海が裏から糸を引いています。

しかし自らのブランドを出しているわけではないので、アップルがテレビ市場に参入しようとしても、「あれ(=VIZIO(ビジオ)は別の会社ですから」と言えてしまうのです。

私は今回シャープと提携した理由も、アップルの次の戦略が「アップルテレビ」に向いており、その点でシャープを徹底的に活用できると考えたのではないかと睨んでいます。

第10世代液晶ディスプレイを生産する堺工場の事業運営を行うシャープディスプレイプロダクト(SDP)に対して、鴻海グループの郭台銘会長および他の投資法人などが約46.5%を出資することを発表しています。

この動きは明らかに「アップルテレビ」を意識したものだと私は思います。

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▼相手の経営者の性格を知れ
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デジタルテレビの需要が一巡し、売上が落ちてきているシャープにとって、堺工場の事業運営として約50%の出資を申して出てくれたのは、有難かったでしょう。

しかし一方で、この結果として、シャープが鴻海に頭が上がらなくなったという側面も見逃しては行けません。

これだけ鴻海に出資をしてもらったら、何かの際に鴻海に脅されたらシャープは全部言うことを聞かざるを得ません。

基本的には、今後何一つ抵抗できない状態になったと見るべきだと思います。

正直に言えば、シャープはよく鴻海と手を結んだものだと私は少々驚いています。

もう少し相手のことを研究して知っておけば違う結論になっていたのではないかと思います。

台湾でも疎まれるほど、「美味しいところだけを持っていく」という特徴を持つ企業ですから、シャープのブランドでテレビを売って儲けるというところも頭に入っているかもしれません。

シャープとVSIOの二本立てで、どっちに転んでも儲かるという状況です。

シャープブランドで役に立つ限りは目一杯作らせて、役立たずになったら平気で切り捨ててくるでしょう。

私が知っている今までの郭台銘会長なら、必ずこういう動きを見せると思います。

もしかするとシャープとは紳士的に手を組んでいこうとしているのかも知れませんが、これまでの郭台銘会長を知っていると「三つ子の魂百まで」という思わざるを得ず、シャープへの不安を拭いきれません。

シャープとしては出資・補填をしてくれて感謝している場合ではないでしょう。

シャープのような会社が鴻海のような会社と伍して、よりしたたかにシャープらしさを残していけるのかどうか、私は非常に心配しています。

気づいてみたら生産の半分は鴻海に頼っているという事態も、十分に考えられます。

そうなると、シャープは自分の競合でも鴻海のクライアントであれば、その会社向けに生産することになるかもしれません。

シャープもOEMになってしまうということです。

提携することで一度株価が上がるのでメリットがある、という人もいるかも知れませんが、自力更生の道が閉ざされる可能性すらある、そんな戦略でいいのかどうかどうか、今一度考えてもらいたいと思います。

シャープとは随分と企業規模が違いますが、この種の成功事例で言うとラオックスが挙げられます。

秋葉原の負け組として、2009年に中国蘇寧電器の傘下に入りました。

中国ではラオックスブランドで量販店の拡大も進んでいて雇用の拡大にもつながり、中国のプラスの側面が非常によく出ている事例だと思います。

蘇寧電器と鴻海の何が違うのかといえば、一言で言えば「経営者の性格」です。

相手の性格も踏まえた上で、手を組むのかどうか、救済してもらえるのかどうか、という点を考える必要があります。

特に中国の企業と付き合うときには尚更です。

シャープにしても台湾でオペレーション作業を行なっていたので、鴻海を全く知らないということはないと思いますが、実際相手のことをどれだけ知っているのか、私は甚だ疑問に感じています。

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