記事

メルペイはスマホ決済に「出遅れた」のか? 逆転の鍵はやはりメルカリ

2/2

メルペイが「メルカリ経済圏」に与える影響

万を持して登場したメルペイであるが、メルカリの売上金を簡単に電子マネーに変換できるとあれば、"メルカリアプリ内で得た売上金を、再びアプリ内での商品購入に使用する”という流れが失われるようにも思える。これはメルカリにとって損失となる可能性もある。

その点について、メルカリCEOの山田氏は「これまでも、大部分のユーザーは売上金を銀行に移し、メルカリ外で使用していた」と答える。メルペイ投入後も、アプリ内でのお金の流通量に大きな変化はなく、「ただユーザーの利便性が増すだけ」という認識だ。

ユーザーを囲い込んでお金を循環させるというよりはむしろ、メルカリでの「二次流通」に至る前の「一次流通」での新たな接点を作ることで、さらなる発展を目指すというのが同社の戦略という。

こうした考えは、以前の「CtoC中心」のビジネスでは重要視されなかったことだろう。メルペイ今後、加盟店との間でのBtoB事業にも注力する考えを示す。それは単に決済時の手数料を得る以外にも(メルペイの決済手数料は1.5%、初期導入費用や固定費は0円)、「メルペイとメルカリから得たデータを活用してマーケティングにつなげる」という戦略も含まれる。

要は、メルペイが一時流通をサポートすることによって、メルカリでの二次流通の促進を狙う。メルペイの登場で、メルカリにも少なからずリターンがあるという想定だ。

「メルペイによって、メルカリはこれまでのように『個人』だけではなく、『企業』もエンパワーメントする存在になる」(山田CEO)

なお、メルペイに対応している銀行は、三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそなといったメガバンクを始め、地方銀行やネット銀行など、多岐にわたる。今後の対応予定の銀行を含めると、現時点で60以上の銀行に対応する予定だ。

その中には、KDDI(au)運営の「auじぶん銀行」も含まれる。

KDDIは自社でも4月より新たな決済サービス「au PAY」を始める予定であり、「スマホ決済」という括りで見るとメルペイとは競合でもあるようにも思えるが、両社が協力するのには理由がある。

他社と協力し、加盟店の獲得へ

モバイル決済サービスが乱立する中、「加盟店を増やしたい」というニーズを持った企業は多い。そこで導き出した答えが、「OPENNESS構想」であった。

「加盟店のネットワークを作り上げるには、時間と労力が必要。そこで当社では、さまざまな業種の事業者と協力してインフラを構築することで、先行投資の負担を抑えつつ、キャッシュレス市場の拡大を目指す」(青柳氏)

つまり、「競合」というレッテルを貼って争うのではなく、協業することによって短時間・低コストでのサービス拡大を目指す。KDDIとは決済加盟店獲得のために営業連携し、さらにはJCBともパートナーシップを結ぶという。なお、こうした他業種との協業は今後も続けていく方針だ。

「au PAY」とはコード決済加盟店を獲得するために相互営業連携を行う

青柳氏は今後の長期的なビジョンについて、「現状はメルペイサービスの拡充に注力するため、具体的なプラン等があるわけではない」としつつも、「決済手段の提供に留まらず、新たな信用を生みだし、さまざな金融サービスを提供していく」と展望を語る。

「○○ペイ」との差別化が、生き残りの鍵

○○ペイと冠したサービスが乱立する「キャッシュレス市場」に、満を持して登場したメルペイ。リリースが遅れたことで、すでに「認知度No.1」という称号を手にしたPayPayなどの先行のサービスには遅れをとっているように思える。

実際、会場では「今後の新規ユーザーを獲得するためにどのような戦略を練っているか」という質問も出ていた。これに対して青柳氏は、「今後は当社でも新規ユーザー獲得のためのキャンペーンをする可能性はある」と話すものの、具体的なプランについては言及しなかった。

ただ、メルペイが他社のサービスと比較して、既にいくつかの強みを有しているのも事実だろう。日本最大級のフリマアプリであるメルカリは、アクティブユーザーの数だけで比べるとLINE Payの母体であるLINEには及ばないものの、「スマホ決済への参入前から、大量のお金のやり取りがなされている」という土台がある。

すでに売上金を抱えたユーザーが多く存在すること、さらにはメルカリユーザーであれば新たにアプリをダウンロードする必要もなく、アプリ上で得た売上金をそのまま電子マネーに変換できるというあたりが、メルペイならではの強みであろう。

「メルペイ」のメリットを強調

さらに同社には「ユーザーがメルカリで得た売上金は、使わなくなったものを売却したいわば余剰金であるため、そのお金を使って『また新たに何かを購入しよう』と考えるユーザーは多いはず」との見込みもある。ユーザーにとってメルペイ上のお金は「使いやすいもの」であるために消費のハードルが低い、ということだ。

こうしたメルペイならではの強みで他社サービスとの差別化をしながら、まずは堅調に自社サービスのUI・UXの向上に取り組み、徐々にユーザーの信頼を勝ち取っていくのが当面の目標であるという。

今回のカンファレンスと同じ日、新たにみずほフィナンシャルグループによるスマホ決済サービス「J-Coin Pay」も発表された。各サービスとも独自の強みを武器にしのぎを削るが、多くの○○ペイがあふれ、サービス名を覚えるのにも難儀する状況だ。今後は各サービスが生き残りの鍵を探る戦いになっていくだろう。

○○ペイに多くの事業者が参入する中、メルペイは優位な椅子を確保できるか

あわせて読みたい

「メルカリ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    「Mr.慶應」性犯罪で6度目の逮捕

    渡邉裕二

  2. 2

    テレビ劣化させる正義クレーマー

    放送作家の徹夜は2日まで

  3. 3

    立民党はなぜ全く期待できないか

    宇佐美典也

  4. 4

    4連敗の巨人 原監督に欠けた潔さ

    NEWSポストセブン

  5. 5

    相次ぐ遅刻 憲法を軽んじる自民

    大串博志

  6. 6

    医師「感染対策は経験を生かせ」

    中村ゆきつぐ

  7. 7

    社民党を食いつぶした福島瑞穂氏

    文春オンライン

  8. 8

    投資家がマイホームのリスク指摘

    内藤忍

  9. 9

    昭恵氏 学園理事と親密ショット

    NEWSポストセブン

  10. 10

    トヨタが学校推薦を廃止した衝撃

    城繁幸

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。