記事

幼稚化する社会 - 鈴木耕

1/2

子どものケンカ外交

 なんだか子どものケンカじみてきた。韓国国会議長の「首相か天皇が元慰安婦の方の手を握って、ひとこと謝罪すれば済む話だ」という発言を巡っての日韓両国政府のやりとりだ。

 河野太郎外相「韓国側には、厳しく抗議した」

 康京和(カンギョンファ)韓国外相「日本からの抗議は受けていない」

 河野外相「くり返し抗議した」

 康外相「会談でそれについての話は出なかった」

 これが、正式な日韓外相会談後の両者のコメントなのだから呆れる。「言った」「言わない」の、ほとんどガキのケンカではないか。政治の劣化が、こんなところにも見てとれる。

 外交も含めて、政治そのものが「幼稚化」しているのだ。

まるでマンガのようなゴマすり

 でも、そんなのはまだいいほうかもしれない。

 安倍首相が、「トランプ大統領を『ノーベル平和賞』の候補に推薦した」というニュースには、ぼくはほんとうに腰を抜かしそうになったよ。トランプ大統領って、まさに「平和の対極」にいる人物じゃないか。

 イラン核合意からの離脱、続いて中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱、米イスラエル大使館の移転、ロシア疑惑、メキシコ国境の壁建設、移民への不当な言動、排外主義と自国優先主義、兵器売り込み(死の商人)、女性差別、フェイク&虚偽発言、マスメディアへの圧力……。これらがトランプ氏の最近の政策だ。どこが「平和賞」に値するの?

 要するに、安倍晋三氏にとってトランプ氏は大事な親分であり、その親分が喜んでくれるなら“足の裏でも舐めちゃう”ってことだろう。

 最近は、安倍首相もとんと言及しなくなった「拉致問題」だが、自分では何もできないから、最後の頼みの綱のトランプ氏にすがるしかない。米朝首脳会談で、もし拉致問題に少しでも明るい兆しが見えれば、安倍首相はそれを自分の手柄にするつもりだろう。だから、せっせとトランプ親分にゴマをすりまくるというわけだ。

 まるで「ドラえもん」のマンガだ。ジャイアンにゴマをするスネ夫とそっくり。政治の「幼稚化」だ。

 しかし、こんな幼稚な政治を目の前で見せられる国民にしたら、たまったもんじゃないよ、ホントに。

国会審議は幼稚園のケンカか

 国会審議を見ていると、つくづく政治の「幼稚化」を感じる。まともに議論が噛み合わない。

 「野党の質問がダメだからだ」と、安倍支持者たちは言う。しかし、それは違う。閣僚たちも官僚も、まともに質問に答えようとしないし、焦点人物の国会招致には自民党が応じようとしない。さらに、平気でウソをつきまくる。議論が噛み合わないのは当たり前だ。

 安倍首相がその典型だ。ウソを連発して恥じることがない。

 ぼくは何度か「日本憲政史上において、これほど『ウソつき』と名指しされた首相がいただろうか?」と書いた。

 「ウソつき」というのは言葉を武器とする政治家にとっては最悪の罵倒だろう。それをこれほど投げつけられても、恬として恥じない政治家、それが安倍晋三である。だが、ウソつきと呼ばれて平気なわけでもないらしい。

 例えば、2月13日の衆院予算委員会。

 安倍首相は少し前の講演で、「自衛隊員の子どもが、お父さんは憲法違反なの、と涙ぐんで言った。そんなことをなくすためにも、憲法を改正しなければならない」という、まことに珍妙なリクツをひり出した。

 「それは実話なのか?」と国会で質問されると、顔を真っ赤にして逆上、「じゃあ、アタクシがウソを言っているというんですか! それは非常に無礼な話ですよっ!」とまくし立てた。

 質問者の本多平直議員(立憲民主党)が「私は一言もウソなんて言っていませんよ」と困惑するほどのキレっぷり。「ウソつき」と言われていることを自覚しているからこその逆上だったのだろう。

 しかもよく考えれば、この質問の前提が「地方自治体の6割が自衛官募集に非協力的」という、安倍自身のフェイク(というより、やっぱりウソ)発言がきっかけだった。イタイところをつかれると逆ギレ。こんなありさまじゃ、国会でまともな議論ができるわけがない。

 「それホント?」

 「ボクをウソつきって言うのか、コノヤロー」

 「ウソつきなんてひとことも言ってないじゃん」

 「バカバカ、お前のかあさんデベソ」

 口をとんがらせて質問相手を野次る安倍首相や麻生財務相の光景は、もう国会のアホな風物詩だ。小学低学年の学級崩壊の様子みたい。

 あーあ、ヤンなっちゃった、あーあ、驚いた(牧伸二)である。

あわせて読みたい

「安倍晋三」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    テレ朝は宮迫の降板を決断すべき

    渡邉裕二

  2. 2

    橋下氏 戸籍晒し巡り雑誌に怒り

    橋下徹

  3. 3

    年金の仕組み知らない国民に呆れ

    永江一石

  4. 4

    イラン関与に同調せぬ日本を称賛

    木走正水(きばしりまさみず)

  5. 5

    2000万円貯金して個人消費は無理

    毒蝮三太夫

  6. 6

    アクセル踏み間違い根絶に有効策

    志村建世

  7. 7

    タピオカブームはヤクザの資金源

    NEWSポストセブン

  8. 8

    日韓世論で温度差 相手国の印象

    WEDGE Infinity

  9. 9

    年金不安を煽る金融庁は猛省せよ

    深谷隆司

  10. 10

    選挙で敗け続けるリベラルの弱点

    BLOGOS編集部

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。