将来有望と採用した人材なのに、期待倒れ。相思相愛で入社のはずが、すぐ辞める。そんな残念なケースが多いのはなぜか。「リファラル採用」の普及に取り組む白潟敏朗さんは「ひとつの原因は採用のミスマッチ。自社に合う人柄とスキルを超具体化しておけば、採用の精度を高められる」という――。
※本稿は、白潟敏朗『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』(KADOKAWA)を再編集したものです。
自社に合わない社員が多く、合う社員が辞める会社の「解決策」
社員の知人・友人の紹介、推薦で「自社に合う人を確実に採る」リファラル採用。その推進手順のうち、最初の段階で行うとても大切なイベントが「欲しい人材像の設定」です。ここをしっかりやることで、「苦労して採用したのにすぐ辞めてしまう」ということが起きなくなります。

社員がリファラル採用の活動を行ううえで、自社がどんな人を求めているのか理解することはとても重要です。なぜなら、それを理解していないと自分の友人・知人が自社に合う人なのか確信をもてず、動くことができないからです。
「もし自社に合わない人を紹介してしまったらどうしよう? 友人にも、会社にも迷惑をかけてしまうかもしれない……」そんな不安感を社員はもってしまうのです。
この不安感を解消するためにも、キックオフの場で社長とプロジェクトメンバーが一緒に自社の欲しい人材像のすり合わせを行います。そうすることで、プロジェクトメンバーは自社が欲しい人材像を深く理解することができ、安心して自分の友人・知人をピックアップすることができるようになります。
自社に合う社員の「人柄」「スキル」を明確にする
では、欲しい人材像の設定とは、何を決めればよいのでしょうか?
リファラル採用でも通常の採用活動と同様に、
(1)自社に合う人柄(マインド・カルチャーフィット)(2)自社で活躍するために必要なスキル(スキルフィット)
の2つの観点から欲しい人材像を設定します。
こうみると通常の採用活動で行う人材像の設定とあまり変わらないように見えますが、実はリファラル採用だからこそすべき、リファラル採用だからこそできる、人材像設定のポイントがあります。1つずつ見ていきましょう。
合う人材・合わない人材を「言語化」する重要性
結論からいうと、リファラル採用における欲しい人材像設定では、通常の採用活動より詳細に、自社に合う人柄を言語化することが必要になります。なぜなら、設定した人柄をみて社員が自分の友人・知人から自社に合いそうな人、合わない人を判別できなければいけないからです。
この設定があいまいだと、社員は確信をもてず、友人・知人の紹介に踏み切れません。また、もしその不安を踏み越えて社員が活動してくれたとしても、自社に合わない人の紹介が多く、なかなか採用に至らない。結果として、社員は「いくら紹介しても採用にならない……紹介したのに不採用になった友人に申し訳ない……」と感じてしまい、活動が止まってしまうというリスクが発生します。
逆にこの設定がしっかりできると、社員が迷いなく活動できるだけでなく、紹介してくれた友人・知人と自社との非常に高いマッチング精度を期待できます。リファラル採用は社員の友人・知人なのでとても深いところまでその人柄をみることができます。だからこそリファラル採用は、通常の採用面接で行う求職者の人柄の判断とは比べものにならないマッチング精度を誇るのです。
では、より詳細な自社に合う人柄の設定の言語化とはどのように行えばよいのでしょうか? それには、「こんな人と働きたい」と「こんな人はイヤだ」という2つの切り口から言語化していきます。
キックオフの場で社長とプロジェクトメンバーが、どんな人と共に働きたいと我々は考えているだろうか? 逆にどんな人には絶対に自社に入って欲しくないと考えているだろうか? を考え、付箋に書き出し共有しながら、図表1、2の様式にまとめていきます。


「こんな人はイヤだ」のイメージを超具体的にする
完成イメージは図表3、4の弊社例をご覧ください。


このとき、「仲間を大切にする人」などの抽象度の高いものよりも、「全員参加のイベント・飲み会・合宿・旅行が好きな人」など、できる限り具体的なほうが社員も活動しやすく、ミスマッチも減ります。
特に、「こんな人はイヤだ」は自社に紹介してはいけない人を判断するNGラインになりますので、できる限り具体的な表現にすると良いです。
このディスカッション&言語化を社長と行うことで、プロジェクトメンバーはその背景にある考え方まで含めて深く理解し、確信をもって動くことができるようになります。