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- 2019年02月20日 06:30
松阪大輔選手の負傷で考えさせられた「会いに行ける」ビジネスモデルの限界 - 榊裕葵(社会保険労務士)
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■「会いに行けるアイドルス」にも再考の余地
ファンとの接触という意味においては、アイドルの世界のビジネスモデルにも再考の余地があります。
AKB48が「会いに行けるアイドル」というコンセプトで人気が爆発したのは周知のとおりです。そのビジネスモデルは、乃木坂46や欅坂46といった姉妹グループ、さらには他のアイドルグループにも広がっています。
アイドルがファンと接触するイベントである握手会には大勢のファンが押し寄せます。握手会は厳重な警備のもと行われますが、それでも2014年にAKB48の川栄李奈さんと入山杏奈さんがのこぎりを持った男によって負傷させられた事件を筆頭に、2017年の欅坂46握手会での発煙事件など、アイドルを危険にさらす事件がたびたび発生しています。
私自身も何度かアイドルの握手会に足を運んだことがありますが、大半のファンは危険行為をしないのはもちろんのこと、ルールを守って握手会に臨んでいます。しかし、数万人の中に1人でも危険行為をするファンがいたらアイドルの生命や身体にリスクが生じます。危険行為とまでは言わずとも、暴言によりアイドルが精神的なダメージを受けて握手会が中断されることもしばしばあります。
筆者自身も乃木坂46のファンなので、もし握手会が無くなったら寂しいと思うかもしれません。しかし、アイドルの安全にはかえられないという気もします。
■過酷な握手会の実態。
また、乃木坂46のような人気グループでは、握手会は丸1日行われますから、アイドルの疲労や健康面の問題も心配されます。プロ野球選手と同じ話になりますが、やはりアイドルも生身の人間です。
プロ野球選手のように、握手で肩を痛めてピッチングができなくなるというリスクは無いかもしれませんが、コンサートやテレビ出演、ミュージックビデオの撮影などの合間を縫って握手会が詰め込まれているなど、握手会がハードスケジュールの一因となっていることは否定できません。
もちろん握手会だけを悪者にするわけではありませんが、松田聖子さんや広末涼子さんといったAKB48ブレイク前の時代のアイドルには握手会が日常的にあったわけではありませんので、現代のアイドルは心身の負担が増えていると言えます。
実際、AKB48や乃木坂46の握手会でも、直前や当日に体調不良で欠席をするメンバーは珍しくなく、明らかに体調不良をおして握手会に参加しているメンバーもいます。中には心無い暴言をアイドルにぶつける人もいて、そういった面でも度々トラブルが起きてはアイドルの負担になっています。
健康を害してまで握手会を行うことは、アイドル本人もファンも望んではいないでしょう。しかし、握手会の人気が総選挙の順位やCDの選抜入りに直結するというビジネスモデルが、アイドルに無理を強いる構造になっているのではと懸念します。
■まとめ
アイドルやプロ野球選手の安全を守るためにも、ファンとの距離について今一度見直すことが必要です。過重労働にならないよう、労働者に対する国の過労死基準を鑑み、1ヶ月の活動が260時間(8時間×20日+残業100時間で換算)を上回らない程度にはスケジュールの調整をしてほしいものです。
労働者の場合は、過重労働や労災で働くことができなくなった 際は、労災保険から一生補償が受けられます。しかし、独立した事業者である多くのアイドルやプロ野球選手は体調不良や怪我で引退しても何の保証もありません。より一層、健康や安全への配慮は必要なのです。
プロ野球球団経営者や、アイドルグループの運営者は、ファンを増やし、収益を確保することはもちろん大切ですが、プロ野球選手やアイドルに身体面・精神面で無理をさせず、安心してフィールドやステージで輝けるよう配慮を尽くしてほしいものです。
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アイドルがファンと接触するイベントである握手会には大勢のファンが押し寄せます。握手会は厳重な警備のもと行われますが、それでも2014年にAKB48の川栄李奈さんと入山杏奈さんがのこぎりを持った男によって負傷させられた事件を筆頭に、2017年の欅坂46握手会での発煙事件など、アイドルを危険にさらす事件がたびたび発生しています。
私自身も何度かアイドルの握手会に足を運んだことがありますが、大半のファンは危険行為をしないのはもちろんのこと、ルールを守って握手会に臨んでいます。しかし、数万人の中に1人でも危険行為をするファンがいたらアイドルの生命や身体にリスクが生じます。危険行為とまでは言わずとも、暴言によりアイドルが精神的なダメージを受けて握手会が中断されることもしばしばあります。
筆者自身も乃木坂46のファンなので、もし握手会が無くなったら寂しいと思うかもしれません。しかし、アイドルの安全にはかえられないという気もします。
■過酷な握手会の実態。
また、乃木坂46のような人気グループでは、握手会は丸1日行われますから、アイドルの疲労や健康面の問題も心配されます。プロ野球選手と同じ話になりますが、やはりアイドルも生身の人間です。
プロ野球選手のように、握手で肩を痛めてピッチングができなくなるというリスクは無いかもしれませんが、コンサートやテレビ出演、ミュージックビデオの撮影などの合間を縫って握手会が詰め込まれているなど、握手会がハードスケジュールの一因となっていることは否定できません。
もちろん握手会だけを悪者にするわけではありませんが、松田聖子さんや広末涼子さんといったAKB48ブレイク前の時代のアイドルには握手会が日常的にあったわけではありませんので、現代のアイドルは心身の負担が増えていると言えます。
実際、AKB48や乃木坂46の握手会でも、直前や当日に体調不良で欠席をするメンバーは珍しくなく、明らかに体調不良をおして握手会に参加しているメンバーもいます。中には心無い暴言をアイドルにぶつける人もいて、そういった面でも度々トラブルが起きてはアイドルの負担になっています。
健康を害してまで握手会を行うことは、アイドル本人もファンも望んではいないでしょう。しかし、握手会の人気が総選挙の順位やCDの選抜入りに直結するというビジネスモデルが、アイドルに無理を強いる構造になっているのではと懸念します。
■まとめ
アイドルやプロ野球選手の安全を守るためにも、ファンとの距離について今一度見直すことが必要です。過重労働にならないよう、労働者に対する国の過労死基準を鑑み、1ヶ月の活動が260時間(8時間×20日+残業100時間で換算)を上回らない程度にはスケジュールの調整をしてほしいものです。
労働者の場合は、過重労働や労災で働くことができなくなった 際は、労災保険から一生補償が受けられます。しかし、独立した事業者である多くのアイドルやプロ野球選手は体調不良や怪我で引退しても何の保証もありません。より一層、健康や安全への配慮は必要なのです。
プロ野球球団経営者や、アイドルグループの運営者は、ファンを増やし、収益を確保することはもちろん大切ですが、プロ野球選手やアイドルに身体面・精神面で無理をさせず、安心してフィールドやステージで輝けるよう配慮を尽くしてほしいものです。
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