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- 2019年02月20日 06:30
松阪大輔選手の負傷で考えさせられた「会いに行ける」ビジネスモデルの限界 - 榊裕葵(社会保険労務士)
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先日、中日ドラゴンズに所属する松坂大輔投手がファンサービスとしてハイタッチを行っていた最中に、ファンから右腕を引っ張られ、右肩を負傷したという衝撃的な事件が発生しました。
松坂選手は沖縄で行われている春季キャンプを離脱して治療と調整を行うものの、開幕戦には間に合わないということです。
握手会など、ファンと直接触れ合う機会を提供するビジネスは少なくありません。その課題について考えたいと思います。
■プロ野球選手がファンと直接接触する危険性
ファンとの接触による危険性は以前からも懸念されています。たとえば西武ライオンズでは、ホーム球場であるメットライフドームでの勝利後に、選手が観客席の間の「ビクトリーロード」を通り、選手とファンがハイタッチできる機会を設けています。その際、選手の手を握ったり引っ張ったりしないよう、球団のホームページ等で繰り返し呼びかけています。
しかし、ファンに呼びかけて自主規制を求めるだけで、本当に安全を確保し、選手を守ることができるかということには疑問があります。現地に警備員を配置していたとしても、試合後の興奮や熱狂、群集心理などの影響で、ハイタッチの瞬間に突発的に起こったアクシデントへの対応は難しいでしょう。
プロ野球の球団としては、ファンサービスの充実は営業活動の一環として重要です。しかし、そのために選手に過度の負担を与えたり、危険にさらしたりしていないか、今一度考えてみるべきかもしれません。
私のような社労士が専門としている労働法の分野においても、会社は利益を追求して営業活動を行うことは当然ですが、そのために労働者に過重労働をさせたり、労働者を病気や怪我の危険にさらしたりしてはならないという考え方を基本にしています。
■ファンとの接触はスポーツ選手にとってハイリスク
この点、プロ野球選手は法的には労働者ではありませんが、生身の人間であることには変わりありません。選手の安全は労働者と同じく、しっかりと守られるべきです。もっと言えば、プロ野球の選手は自分自身の身体が生活の糧を得るための商売道具であるわけですから、むしろ一般の労働者以上に安全に配慮されるべきです。
そのことは、球団関係者も重々分かっているはずです。しかし、ファンサービスを考えるあまり、選手の安全がおろそかになってしまう場面が生じているのかもしれません。
確かに、プロ野球のファン離れに歯止めをかけたり、球団の売上を伸ばしたりしていくことは、選手への年俸の支払いにも直結することですから、非常に大切です。しかし、選手を危険にさらしてでも、ファンと選手が接触する機会を増やしたり、接触距離を縮めたりすることが最善の施策なのかは一考の余地があると筆者は考えます。
実際、プロ野球選手に限らず、スポーツ選手の身体は非常にデリケートなものだと思います。選手は、最善のパフォーマンスを発揮できるよう、入念な調整をしているでしょう。人によっては高い費用を自腹で負担してパーソナルトレーナーを雇っているほどです。そのような選手の身体を安易にファンに触れさせること自体が、いくらファンサービスとはいえ、本当に必要なことなのでしょうか。
身体の直接の接触を禁止したとしても、他の形でファンサービスのイベントを充実させることや、試合のテレビ中継の工夫やインターネットコンテンツを充実させるなど、打てる手は色々とあるのではないでしょうか。
仮にファンと直接接触するイベントを行うにしても、無秩序にサインや握手を求めるような状況を避け、球団主催のサイン会などコントロールされた状況下での接触イベントを充実させ、球場から宿舎までは選手が安全に移動できるように配慮するなど、メリハリをつけた対応が必要でしょう。
松坂選手は沖縄で行われている春季キャンプを離脱して治療と調整を行うものの、開幕戦には間に合わないということです。
握手会など、ファンと直接触れ合う機会を提供するビジネスは少なくありません。その課題について考えたいと思います。
■プロ野球選手がファンと直接接触する危険性
ファンとの接触による危険性は以前からも懸念されています。たとえば西武ライオンズでは、ホーム球場であるメットライフドームでの勝利後に、選手が観客席の間の「ビクトリーロード」を通り、選手とファンがハイタッチできる機会を設けています。その際、選手の手を握ったり引っ張ったりしないよう、球団のホームページ等で繰り返し呼びかけています。
しかし、ファンに呼びかけて自主規制を求めるだけで、本当に安全を確保し、選手を守ることができるかということには疑問があります。現地に警備員を配置していたとしても、試合後の興奮や熱狂、群集心理などの影響で、ハイタッチの瞬間に突発的に起こったアクシデントへの対応は難しいでしょう。
プロ野球の球団としては、ファンサービスの充実は営業活動の一環として重要です。しかし、そのために選手に過度の負担を与えたり、危険にさらしたりしていないか、今一度考えてみるべきかもしれません。
私のような社労士が専門としている労働法の分野においても、会社は利益を追求して営業活動を行うことは当然ですが、そのために労働者に過重労働をさせたり、労働者を病気や怪我の危険にさらしたりしてはならないという考え方を基本にしています。
■ファンとの接触はスポーツ選手にとってハイリスク
この点、プロ野球選手は法的には労働者ではありませんが、生身の人間であることには変わりありません。選手の安全は労働者と同じく、しっかりと守られるべきです。もっと言えば、プロ野球の選手は自分自身の身体が生活の糧を得るための商売道具であるわけですから、むしろ一般の労働者以上に安全に配慮されるべきです。
そのことは、球団関係者も重々分かっているはずです。しかし、ファンサービスを考えるあまり、選手の安全がおろそかになってしまう場面が生じているのかもしれません。
確かに、プロ野球のファン離れに歯止めをかけたり、球団の売上を伸ばしたりしていくことは、選手への年俸の支払いにも直結することですから、非常に大切です。しかし、選手を危険にさらしてでも、ファンと選手が接触する機会を増やしたり、接触距離を縮めたりすることが最善の施策なのかは一考の余地があると筆者は考えます。
実際、プロ野球選手に限らず、スポーツ選手の身体は非常にデリケートなものだと思います。選手は、最善のパフォーマンスを発揮できるよう、入念な調整をしているでしょう。人によっては高い費用を自腹で負担してパーソナルトレーナーを雇っているほどです。そのような選手の身体を安易にファンに触れさせること自体が、いくらファンサービスとはいえ、本当に必要なことなのでしょうか。
身体の直接の接触を禁止したとしても、他の形でファンサービスのイベントを充実させることや、試合のテレビ中継の工夫やインターネットコンテンツを充実させるなど、打てる手は色々とあるのではないでしょうか。
仮にファンと直接接触するイベントを行うにしても、無秩序にサインや握手を求めるような状況を避け、球団主催のサイン会などコントロールされた状況下での接触イベントを充実させ、球場から宿舎までは選手が安全に移動できるように配慮するなど、メリハリをつけた対応が必要でしょう。
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