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川口市いじめ不登校訴訟 市がいじめを事実上否認し「注意義務違反はない」と主張 元生徒側はいじめを否定する根拠の提出を求める - 第4回口頭弁論

埼玉県川口市の元生徒・栃尾良介(仮名、16)が、中学校時代に不登校になったのは、いじめや体罰を受けたことが原因だったなどとして、「教育を受ける権利を侵害された」と市を訴えている裁判の第4回口頭弁論が2月13日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)で開かれた。

被告側の市は認否を明らかにし、「注意義務違反の違法はない」として、争う姿勢を示した。また被告は書面で、これまでの調査委員会が認めたいじめについて独自の見解を示しており、事実上、いじめの有無についても争点としていることがうかがえる。

訴状などによると、良介さんは中学1年生のときにサッカー部の同級生のLINEグループから外された。3学期には部活の練習中に一部の生徒から襟首を後ろからつかまれ、首絞め状態で引きずられ、揺さぶられるなどの暴力を受けた。2年生の2学期には、部員から良介さんの自宅や自転車をスマホで無断で撮影し、LINE上にアップし、中傷されたという。また1年生から2年生にかけてLINEの中で、部員が別の部員になりすまし、良介さんがからかいや誹謗中傷を受けていた。

市側は事実上、いじめを否認。賠償責任はないと主張

被告側は前回、「認否が不十分」と指摘されていた。被告側代理人は「原告側の請求根拠があいまいだった」と言いつつ、「わざと遅らせているわけではない」と述べた。その上で、書面で、いじめの有無について、独自の新しい見解を示した。原告の母親らによると、これまでの母親と市教委とのやりとり、保護者説明会、調査委員会での調査では、されなかった説明だ。

例えば、LINEグループ外しについてを否認している。その上で、「当初のグループLINE作成者は、初めグループに女子部員を入れてしまったので男子部員だけのグループに作り直す目的で、原告のみならず全員を一旦退出させようとしたのであり、原告だけを退出させたのではない」とした。

また、部員から良介さんの自宅や自転車をスマホで無断で撮影したことには、いじめではなく、「遊び」だとした。原告の母親や別の保護者によると、こうした説明は、これまでの保護者説明会でもなされたこともはなく、調査委員会による報告書にもこうした記述はない。「ほとんどが初めて主張した内容」(母親)との受け止めだ。

さいたま地裁前で取材を受ける原告の母親

いじめを否定する根拠は提出されず

ところが、被告・市側側のこうした主張を裏付ける証拠は提出されなかった。そのため、原告側代理人はその証拠提出を求めた。被告代理人は「(被告側の認否に関する)主張を聞いてから」と述べたが、原告側代理人は「その根拠となる証拠を出していただかないと」と、被告側の主張の根拠の明示をさらに求めた。「次回に提出するように努力しますが、できれば、原告側が再反論していただきたい」「今出せと言われても、仕上がり次第、提出します」と、堂々巡りの答弁が続いた。

被告側の書面で「調査委員会が因果関係を認めたことは認める」とあり、いじめと不登校の因果関係を報告書に書いてあること自体は認めた。このことに対して原告側代理人は「調査委はいじめを認定した。そのことを認めるか?」と問いただした。被告側代理人は、「いじめの事実を争うことはありません」と主張した。書面では、いじめの事実についても反論しているが、法廷では「争わない」と、書面と矛盾するかのような主張をした。

また、被告側代理人は「報告書は(いじめ防止対策推進法に基づく)法律上のいじめかどうかを認めただけ。私たちは、国家賠償法の要件である、故意・過失があるかどうかを主張している」とした。その上で注意義務違反はないとしている。つまり、いじめ防止対策推進法上のいじめの有無とは関係なく、原告側の主張するような賠償責任はないとの主張だ。

前回の書面でも「原告が違法だと主張する市の対応は、教育行政上、被告に与えられた合理的裁量の範囲内であり、裁量の逸脱・濫用の違法はない」としていた。

弁護団は「否認する根拠の提出を」と要求 原告の母は「言い訳」とコメント

閉廷後、原告側の弁護団は裁判所前で記者団の取材に応じた。弁護団の認識としては、被告・市の書面では、主ないじめ7つについて、調査委員会が認めているものの、被告はすべて否認していることになるとした上で、「いじめを否認する根拠を提出してほしい」と述べた。

記者団の取材に応じる弁護士(さいたま地裁前)

また、調査委の調査の過程で、市側はいじめを否定する根拠を提出していたのか、報告書が公表されたあと、内容に異議を唱えていなかったにもかかわらず、訴訟になってから異議を訴えるのは矛盾しているのではないかとも指摘した。「いじめを否定する主張について、加害生徒だけから聞き取ったとすると、一方の意見を真実だと主張することになり不公平だ」とも話した。

さらに「(いじめ防止対策推進法による)調査委の認定を覆す主張をするのは、調査委のあり方について影響を与えかねない」とも述べた。

原告の母親は「市側が否認された内容は、私たち親子には言い訳としか取れない内容です。未だ問題と向き合わず、裁判の中で平然と虚偽の主張をするのか。息子は、『いじめより、市教委や学校の嘘が辛く苦しい』と言っていました。いつまで息子は苦しめられるのでしょうか。被害生徒をさらに傷つけ苦しめてでも守ろうとしているものは何かを教えていただきたい」と話していた。

次回は5月15日。

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