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原発安全神話のPR施設は、事故の反省と教訓伝える場に 東京電力廃炉資料館

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東京電力福島第一原発事故の教訓や、原発を解体する廃炉作業の進捗状況を伝える「東京電力廃炉資料館」が昨年11月末、福島県富岡町にオープンした。かつては原発の安全性をPRするシンボル的存在だった施設を改装し、県内外の人に多大な被害を及ぼした原発事故を語り継ぐ場へと、その役割を大きく変えた。

館内には、原発事故直後の1~4号機の様子や事故対応にあたった社員の回想、第一原発構内の現状などに関する映像や3Dが用意され、原発事故と廃炉作業について分かりやすく伝えている。

原発事故については「今なお多大なご負担とご心配、ご迷惑をおかけしている」などと責任を前面に押し出した。一方、放射性物質が拡散したことでピーク時には16万5000人近くの県民に避難を強いたことなど、避難者の被害の実相に迫る展示は目立たない。

資料館は、原発事故の記憶と記録を残すことをコンセプトにオープン。今月5日に来場者数は1万人に達し、当初目標の年間2万人以上を大きく上回るペースとなっていて、「今も多くの方に避難を強いてしまっている状況など、来場した方からいただいた意見を展示の改良に生かし、二度とこのような事故を起こさないための反省と教訓を社内外にお伝えしたい」としている。【岸慶太】

原発事故の記憶と記録を残したい

原発の安全性をPRしてきた旧エネルギー館を改装した廃炉資料館の内部=長屋陽撮影

資料館の前身の「福島第二原発エネルギー館」は1988年7月に開館し、原発の安全性や原子力の可能性をPRする施設として家族連れなどが訪れてきた。しかし、2011年3月11日に原発事故が発生。第一原発から南に約9.5キロの位置にある施設一帯にも避難指示が出された。

事故から6年がたった17年4月に避難指示が解除されたことを受け、東電は原発事故の記憶と記録を残し、事故の反省と教訓を伝えるために資料館の開館を決めた。資料館は2階建てで、延べ床面積約2500平方メートル。昨年11月30日にオープンした。

明確に打ち出した原発事故への謝罪

シアターホールでは、原発事故の発生直後の様子や、廃炉作業について映像で伝えている=長屋陽撮影

2階部分は、「記憶と記録・反省と教訓」と題して、原発事故が起こった背景や現場での対応を紹介している。シアターホールは、縦3.5メートル、横13メートルの巨大なスクリーンを設けている。

「2011年3月11日、当社は福島第一原子力発電所で、極めて重大な事故を起こしました。福島県の皆様、広く社会の皆様に甚大な被害をもたらし、今なお多大なるご負担とご心配、ご迷惑をおかけしていることについて、心よりおわび申し上げます」

「当社は」と主語を明確にしながら、原発事故を起こしたことを謝罪する言葉が流れる。続いて、午後2時46分の地震発生から、1、3、4号機で建屋が爆発するまでの映像が次々と映し出されていった。

「安全とは、おごりと過信に過ぎなかった」

原発事故への反省と教訓をうたったパネルも置かれている=長屋陽撮影

映像は約8分間。原発事故によって避難指示が拡大されていったことや、大量の放射性物質が拡散されたことも伝えている。そして、映像は次の言葉で締めくくられる。

「私たちが思い込んでいた安全とは、私たち東京電力のおごりと過信に過ぎなかったことをまざまざと思い知らされました。あの巨大津波は事前に予想が困難だったからという理由で、今回の事故を天災と片付けてはならないと思います」

「事故の反省と教訓を胸に刻み、福島を復興し、事故を起こした発電所を安全に廃炉にすること。この大きな責任を果たすことに全力で取り組んでまいります」

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