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現場の急所を打ってこそ政治 電力値上げ、ガソリン高騰に対応を

「民の憂い募りて国滅ぶ」――最近、特に私の心をよぎる言葉だ。「政の興る所は民の心に従うに在り 政の廃する所は民の心に逆らうに在り」という言葉もある。勿論、昨今のポピュリズムの政治ではない。現実・現場の民の憂いを察知する感受性、センサーの有無だ。

現場の憂いは時々刻々と変化している。しかしどうも民主党政権にはそれを把える現場感覚と動体視力がない。従って、いつも急所がはずれている。

「現場の悲鳴を聞け」「急所をはずすな」「現場を歩け」――私は新聞記者をやったり、青年運動の推進役をやってきたが、「足でかせげ」「現場に智恵があり、答えがある」ということを、身体にたたき込まれてきた。

先日も、介護施設を訪れた。「介護報酬が4月から事実上、引き下げられる。それに電気料金が上がる。そしてガソリンの高騰も痛い。弱小の施設はおそらく閉鎖も考えざるを得ないほど厳しい」と悲鳴をあげていた。鍍金や鋳物業界をはじめとして、電気料金の値上げは相当の打撃となる。クリーニング業界からも悲鳴が聞こえる。

「円高・デフレ、電力不足、政治の混乱だけは何とかしてほしい」――民主党政権の成長を犠牲にしたバラマキ政治、景気・経済に無関心と思える政治が続くなか、こうした声をずっと聞いてきた。しかし今、これらに加えて新たに、ガソリン・原油の高騰、電気料金値上げが、急激に圧迫要因となっている。昨年の今頃の"計画停電"の悪夢がよみがえり、またもや"節電の夏"を危惧し、不安になっている。それが現場だ。

しかし政府は、困っている中小企業にも具体的に手を打っていない。ましてや介護施設にまで心は及んでないようだ。集中的な討議や緊急対策の動きも見えない。毎日、毎日、"消費税上げ"の民主党内のガタガタを見せられていたら、国民に嫌悪されるのは当たり前だ。

2007年、福田政権の時も異常な原油高騰があった。私は中小企業の声を聞き、東北の水産業の苦境や、施設の状況を現地にたずねて聞いた。"福祉灯油"や漁業の燃油の特別対策を行ったりした。中小企業の、そして業種別の苦境打開の手を打つことが急務だ。

東日本大震災から1年たった今、これも急所がはずれている。福島の除染――。最も重要な課題だが、「高圧洗浄だけでは放射性物質は場所を変えるだけ。回収された汚染土、汚染水を適切処理する体制を強く進めて欲しい」という声を聞く。急所が打てていない。宮城・岩手のがれき処理――。自力処理ができると私に言う市もあるが、石巻市では「がれき置き場はいっぱいで、自力処理するプラント・施設をつくろうにも、場所自体ががれきで埋まっている。広域処理で助けてもらわないと動きようがない」という声を、臭いのただよう集積現場で聞いた。市町村によって違いがあるのだ。国民への説明がまったくない。気仙沼市などでは、漁港の整備が進められているが、何よりも地盤の嵩上げが急所となっている。魚をあげても加工工場がなければ、本格的復興にならない。各省のたて割りで悩んでいるが、それをまとめるべき復興庁が機能していない。どこでも急所がずれている。

現場の問題は、時々刻々変化する。急所を打たない政治では民の心はますます離れる。

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