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【読書感想】寂しい生活

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寂しい生活
作者: 稲垣えみ子
出版社/メーカー: 東洋経済新報社
発売日: 2017/06/16
メディア: 単行本
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Kindle版もあります。

寂しい生活
作者: 稲垣えみ子
出版社/メーカー: 東洋経済新報社
発売日: 2017/06/16
メディア: Kindle版
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 アフロの自由人・稲垣えみ子が語りかけるように描く、『魂の退社』に続く第2弾!

 会社を辞め、大切なものと別れ、一人ぼっち・・・・。
それがどーした!

 『魂の退社』は「退社」をメインにした内容だったが、今回の『寂しい生活』は「退社」以降、あらゆるしがらみと別れを告げた著者の日々の生活、日々の思いを歳時記的につづったもの。
アフロのイナガキさんの『魂の退社』その後の物語。

 電気代は月150円、洋服は10着、質素な食事、最大の娯楽は2日に1度の銭湯・・・・。
そんな著者がいかにして家電製品たちと縁を切ってきたか。寒い冬、熱い夏をどうやって過ごしているか。
自然や季節を体感する暮らし、ものを捨てた後のスペースにこれまで気づかなかったいろいろなものが入り込んできて感じる豊かな気持ち、そういった著者にしか実感できない自由と充実感をシンプルな言葉でつづった稲垣哲学。

「アフロ記者」こと、元朝日新聞記者の稲垣えみ子さんが、退社後の生活を書いたものです。
 稲垣さんが、朝日新聞という大きな会社をやめるまでの経緯は『魂の退社』という本で読めます。

fujipon.hatenadiary.com

 この稲垣さん、会社を辞めて「フリー」になったあと、どうされていたのかというと、なんだか「ミニマリスト生活」「断捨離」にハマっておられたようなのです。

 なかでも、原発事故を受けての「節電」に対する徹底ぶりには、読んでいて唖然とさせられます。
 独身で、会社をやめてフリーだから、こういう「節電に特化した生活」を送れるのではないか、とも思うんですよね。

 妙な暮らしをしている。

 きっかけは原発事故であった。あまりの惨事に、我々は原発がなくても生きられるはずだと勝手に節電を始めた。恐る恐る家電製品を手放し始めたら止まらなくなった。最後には冷蔵庫も洗濯機もテレビも捨て、ついには会社員という地位も手放し、築50年近いワンルームマンションへ引っ越しを余儀なくされ今に至る。

 その暮らしと言えば、電気代は月150円台、洋服も靴例のフランス人レベル(10着)しか持たず、暑さ寒さはただ甘んじて受け入れ、日々の家事は手足と試行錯誤でこなし、食事はカセットコンロで炊く飯と味噌汁と漬物。さらにはガス契約もやめてしまったので二日に一度の銭湯が最大の娯楽という体たらくの独身51歳である。

 電気代、月「150円」ですよ!

 これ、1500円の間違いだろ、と思われたかもしれませんが、百五十円です。

 これを読んでいると、「日常生活のひとつひとつの手順を大切にする」というのは、たしかに大事なことかもしれないなあ、と考えさせられるんですよ。

 しかしながら、僕の心の8割くらいは、「新聞社の仕事をリタイアして暇になった人が、次の趣味として、節電、ミニマリスト生活に凝りまくっているだけではないのか」という美しくない感情で占められていたことを告白しておきます。

 電気温水器を使わずに、近所の銭湯に行く、という話などは、銭湯に行くのが隔日とはいえ、「電気温水器使ったほうが、かえって安上がりなんじゃない?」とも思いましたし。

 いや、高い安いじゃなくて、原発でつくられる電気がなくても暮らせるようにするんだ、と言うことなのかもしれないけれど。

 僕自身も、あの東日本大震災直後には、「自分がいま所有しているものの殆どを失ってもいいから、なんとか自分と家族と被災地の多くの人の命が助かりますように」って、願っていたんですよね。
 喉元過ぎれば、熱さを忘れる。

 そして、インターネットの普及もあって、「所有する」ということの概念が変わってきていると僕も感じています。

 例えば冷蔵庫。外からプラグを引き込むことで、外に出なくても家の中で全てを完結させようとした冷蔵庫という存在は、実はいつだってやめられるんだ。家の外にある冷蔵庫、つまりはスーパーやコンビニの冷蔵庫を使わせてもらうって考えれば、何も家で籠城するかのように食品をため込むことはない。外に大きな大きな冷蔵庫を所有しているんだよすでに我々は!

 風呂だってそうだ。都会にはまだ銭湯がある。もし歩いて行けるところに銭湯があるなら、それがあなたの風呂と考えたっていいじゃない。そうなれば特大風呂付きの温泉旅館に住んでいるみたいなもんだよ。お風呂屋さんという専門家が、掃除もしてくれるし最高にイカしたお湯も沸かしてくれる。近所付き合いも広がる。それで460円って、スタバでラテを飲むことを思えば決して高くないよ。

 こうして「所有することがリッチなのだ」という思い込みから離れると、すべてが違って見えてくる。プラグを外してみると、家の内と外という考え方がバカバカしくなってくる。所有じゃなくて、シェアするという考え方を軸に据えると、家電製品だけじゃない、これまでため込んできたあらゆるモノと自分の関係も変わってくる。

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