- 2019年02月15日 16:30
厚生労働省が外表異状説を否定
異状死体の届け出徹底を呼び掛け、厚労省 - 異常所見を認めない場合でも
2019年2月14日 医療介護CBニュース厚生労働省は、医師法21条で定められている異状死体の届け出に関する通知を都道府県や医療関係団体などに出した。医師が死体を検案する際、その外表面に異常所見を認めなくても異状があると判断した場合は、警察署へ届け出るよう求めている。【松村秀士】
検案に当たっては、死体の発見に至った経緯や発見場所、状況などさまざまな事情を考慮した上で、異状を認めれば届け出ることを徹底するよう要望している。
医師法21条では、死体または妊娠4カ月以上の死産児を医師が検案して異状があると認めた時は、24時間以内に所轄の警察署に届け出ることを義務付けている。
しかし、死体の外表面に異常所見を認めない場合は警察署への届け出が不要との解釈によって、薬物中毒や熱中症による死亡などで外表面に異常所見を認めない死体について、適切な届け出が行われない恐れがあるとの指摘があるという。そのため、厚労省は医療関係団体などに通知を出し、届け出の周知を呼び掛けている。
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都立広尾病院事件の判決で「 医師法21条にいう死体の検案とは,医師が死因等を判定するために死体の外表を検査することをいい・・」と書かれていることから、「検案とは死体外表を検査することである」→「死亡に至る状況などを含め、死体外表以外の異常があるかどうか検討するのは検案には含まない」→「死体外表に異常がなければ、死亡までの状況などに関係なく、警察へ届出なくていい」という風説がここ数年来流され、現在多くの医師が信用しているような状況にある。しかし、これは、前件否定の虚偽という詭弁であり、間違った説と言わざるをえない。
前件否定の虚偽の一例として、「人間とは二足歩行ができる動物である」ということは万人が正しいと思っているが、それをもって「二足歩行できない動物は人間ではない」と解釈できるかという話がある。それを正しいと認めてしまっては、寝たきりで歩けない人を殺害しても殺人にならないという明らかにおかしな話になるだろう。それと同じような解釈を広尾病院事件判決でしているのが外表異状説であり、それが正しいなどとはロジカルに決していえるはずはない。
厚労省から出ている死亡診断書マニュアルで、法医学会の異状死ガイドラインのことが抹消されたことは、厚労省が外表異状説を採用したことを示しているとか、厚労省のお役人が委員会の答弁で外表異状説を認めたような発言をしたとか主張し、外表異状説を正当化しようとする方もいたが、議事録をよく読むとそんなことは書かれていなかったりなど、あまりに論拠が乏しかった。
外表異状説を放置してしまっては、薬物で殺害され病院へ搬送されても、外表に異常がないことから医師が届け出ないことにつながり、結果的に警察が捜査することができなくなり、国民の安全が脅かされてしまう。厚労省もここにきてようやくこのままでは問題であると認識したようで、通達を出すに至ったのであろう。
https://ajhc.or.jp/siryo/20190208.pdf
医学は、国民の健康のためにこそあるはずである。外表異状説は診療関連死問題でなるべく警察に届出をしたくない医師にとっては甘い言葉であったが、医師の保身のみを目的とするのは本物の医学ではない。しかも、基本的に、医療過誤が業務上過失致死で刑事手続きに乗ってしまう可能性は、異状死届出云々と無関係であり、外表異状説を信じ、看護師等が起こしたリアルな医療過誤事例について医師が届け出を怠ってしまうと、その医師が逮捕される危険さえあり、損をするのは臨床医である可能性もある。その意味でも外表異状説はさっさと消えるべきだろう。



