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コンビニ成人誌取り扱い中止は出版社の戦略ミスが導いた - 石川優実

BLOGOS編集部

コンビニでの成人誌取り扱い中止――。

成人誌がコンビニで取り扱いされなくなるそうですね。

正直私は、自分が成人誌に載っていた立場だし、あんまり気にしたことがなかった。だって気がつくと、いつもどこでもそこにあったから。コピーする時も隣にあったから。様々な意見が飛び交っていたこの件ですが、私が思うこと。

それは、「コンビニに成人誌がなければいけない理由ってなに?」ということ。

今回の騒動で、私は改めて見に行ってみました、コンビニの成人誌コーナーを。コンビニに置いてある成人誌は映倫のように「R指定」がされておらず、成人誌の中でもソフトなものだそうです。

そう聞いて表紙を見てみると…
「中出し」とか「アナルファック」とか、言葉を聞くだけで「う…」となるようなものが多かった。

フィクションや性癖として認識できるのか?

性教育でコンドームを必ずつけること、ピルを飲むことを頑張って推奨して、望まない妊娠や中絶、性感染症をなくそうと頑張っている中、日常的にこのようなものを目にする小中高生はどう思うのだろうか。

成人誌では、「中出し」が良いことかのように描かれている。男性はそれを望んでいる、中には女性もそれを望んでいるかのような。もちろん、お互いが子どもを作るという前提で中出しはあるだろう。だけれど、あの表紙を見ているととても子作りのための中出しとは思えない。

気軽にするセックスで、中出しが当たり前、むしろ良いこととして刷り込まれやしないだろうか、と不安になった。

女性の私から見て、男性向けの成人誌は暴力的なものが多いな、と感じる。無理やりセックスをすることは犯罪だし、だけれどそれがしてもいいことかのように描かれている。女性が尊重されているような成人誌をあまり見かけない。そういう表現をしている本もあれば、自分の経験からすると本当に人として扱われていないモデルさんが掲載されていることもゼロとは言えないだろう。18歳の頃、成人誌に載っていた私は、契約外の露出を掲載されたりと、やはり人権を無視されていた。

もちろん、そのような表現を非難するわけではない(モデルさんの意思をしっかりと尊重した上でそのような表現をすること)。世の中にはいろんな性癖がある。犯罪を実際にしなければ、楽しむのは自由だ。だけれど、それを18歳に満たない子どもの目につく場所で販売する必要性はどこにあるのだろうか。

大人でさえ、AVと現実の区別がつかない人はいる。(レイプをセックスの一つだと思っている、痴漢をされて女性は喜んでいる、強く手マンをした方が女性は気持ち良い、潮を吹く=気持ちが良い、などなど)。18歳未満の子どもが正しい性教育をされていない現状で、きちんと区別はできるのだろうか。私はそうは思わないので、賛成だと思った。

過激だと売れる?出版社の戦略に違和感

今回の成人誌の取り扱い中止の理由に、「女性や子ども、オリンピックで訪日する外国人観光客への配慮」との発表があった。その裏には、コンビニでの成人誌の売り上げが低下しているというものがあったともよく耳にする。どっちにしても、私は成人誌を作っている出版社の戦略ミスだと思う。

女性や子ども、外国人への配慮が理由ならば、その人たちが見ても安心できるような成人誌の表紙を作ればよかったのではないかと思う。中身は見えないのだから、いくら中で過激にしたとしても表紙だけでももっともっとソフトにすればよかったのではないか。

それだと売れないと思ったのだろうけど、コンビニでの成人誌の売り上げが低下していたのであれば、それでも売れてなかったのだから、やっぱり出版社が売れる成人誌を作れなかったんじゃん、と思う。

グラビアの仕事をしている時に、ずっと疑問だったことがある。先日の「週刊SPA!」にも言えるけれど、本当に過激じゃないと売れないのだろうか?

AVもグラビアも、どんどん過激になっていくけれど果たしてそれは本当に求められているのだろうか?供給する側が過剰にそう思いすぎてないか?と思ってしまう。

グラビアのDVDの売り上げ、何本か出したけど過激にすれば売れるってもんでもなかった。今回はぬるかったかなと思ったものがバーっと売れたりもした。だから辛い思いをして過激なことをしたのにな、とか思うこともあった。

過激競争をしているから買手も成人誌を買いたい時は過激なものを買うしかないみたいになっていないだろうか?

コンビニに置く成人誌の表紙も、なんとか過激さを残しつつというところを頑張っていたように思えるけど結局売り上げが下がっているのならば、そもそもそこを求めている人ばかりではないのかもしない。なんて思った。

「女性も成人誌買えばいい」論点にズレ

この件について、「女性も成人誌を買えばいい」と書いてある記事も読んだけど、コンビニで女性向けの成人誌を見たことがない。男性向けに作られたものを楽しめる人もいるけれど、そうでない女性も多い。

だったら女性向けの成人誌を作ってくれれば良かったのに、と思った。
なんで撤去になる前にそれを考えてくれなかったんだろう。

あの成人コーナーの半分が女性向けの成人誌になっていたら、もっと多くの女性からも「このままで!」と言われたかもしれない。
「女性は成人誌なんて買わない!」と思い込んでいる男性の作り手が多いであろう出版社、「成人誌を買っている女性はヤリマンだ!はしたない」とかいう時代遅れの価値観のおかげで、女性は成人誌が欲しくても手に入れられない状況なのではないだろうか。

電子書籍は女性のエロがたくさん売れているらしいから。

コンビニはどの年代のどの性別の人も使う場所。
子どもや女性の存在を無視した結果なんじゃないのかなと思う。そしてよくありがちな勘違いだけど、コンビニ成人誌取り扱い中止に賛同している多くの人は、エロ本が嫌いなわけではない。問題視しているのは「売る場所」。

誰の目にも入ってしまうコンビニで売られることへの批判なの。そこを勘違いしないでほしい。もちろんエロ本が嫌いな人もいる。
逆に私のように好きだけどコンビニに置くことは反対している人も沢山いる。だけれど、反対の理由を好き嫌いだけで主張している人は少ないと思う。それとこれとは別なのだ。

と、いうことで私はこれをきっかけに子どもが目にしても良い成人誌を作って欲しいし、女性向けの成人誌を作りたいと思っています。

石川優実
グラビアアイドル、女優。
1987年1月1日生まれ。愛知県生まれの岐阜県多治見市育ち。2004年、高校3年生の時に名古屋市内でスカウトされ芸能界入り。"お菓子系アイドル"として主に"お菓子系雑誌"のグラビアで活躍する。美少女グラビア雑誌「クリーム」が行った総選挙で1位を獲得。2008年に上京後、事務所を辞め一時、フリーで活動したことがある。2014年に映画「女の穴」で映画初主演、2016年には「誘惑は嵐の夜に」にも出演している他、イメージビデオは30本以上発売している。現在は、映画や舞台など女優としての活動する傍ら、「#MeToo」運動にも積極的に参加している。

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