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低迷する憲法改正論議

 憲法改正の先行きが不透明になっている。憲法改正の気運も下火になっている。憲法改正は自民党の党是である。

しかし、改憲を実現するには、専門知識の裏付けのある改正案をとりまとめ、野党をも含めた広範な国民的合意が必要である。

 ところが、今の安倍内閣は、その両方とも欠いている。

 現在の自民党では、憲法問題に長年関わってきた専門家議員は排除され、専門家ではない首相側近ばかりが登用されている。安倍首相は自らの案で改憲を急ぐあまり、このような側近重視の布陣となったと思うが、それはかえって改憲を頓挫させるように思えてならない。

 自民党の憲法改正議論は、かつては中山太郎議員を中心に行われ、私も中山先生には指導を頂いた。我々は現行憲法を改正すべきだという信念を持っていたが、改憲には広汎な国民の賛成がなければ不可能だということをしっかりと認識していた。そこで、低姿勢で野党ともよく協議をし、国民的合意の形成に努力した。

 しかし、今の安倍首相の憲法人事にはそのような配慮が欠けている。自民党改憲推進本部人事では、中谷元、船田元両議員は窓際に追いやられ、下村博文議員が本部長に、新藤義孝議員が本部長代理になった。そして衆議院憲法審査会の筆頭幹事も、中谷議員から新藤議員に代わった。さらに、改憲案を最終決定する総務会の会長は、やはり安倍側近の加藤勝信議員である。

 下村、新藤、加藤議員は、憲法の専門家ではない。「憲法族」でない議員が主導権を握ると、立憲主義を無視したり、天賦人権論を否定したりする非常識な主張が採用されることになる。

 私が起草に関わった自民党憲法改正第一次草案と2012年4月27日に公表された第二次草案とを比べれば、憲法学的に見て、また国際的視点からも、さらには人権擁護の歴史から見ても、後者が拙劣極まりないものであることが分かる。

 拙速に改憲案を提案しても、国民投票で葬り去られれば意味がないし、それは安倍政権に対する国民の不信任と見られ、辞任の余儀なきに至るだろう。国の根幹である憲法についての議論には、専門知識と謙虚に国民的合意を得る努力が不可欠である。

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