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トルコリラ暴落を招く"大統領暴政"の恐怖

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3月31日、トルコは統一地方選を行う。仮に与党が敗北すれば、エルドアン大統領はバラマキ政策を強化するだろう。そうなればリラは再び暴落することになる。トルコ発の新興国通貨安は、円高株安を招くだけでなく、世界経済を冷え込ませる恐れがある――。

トルコのエルドアン大統領(写真=AA/時事通信フォト)

トルコリラが再び暴落する展開があり得る

3月31日の日曜日に、トルコは統一地方選を控えている。この選挙では三大都市(アンカラ、イスタンブール、イズミル)の市長、各県知事が一斉に選ばれる。18年6月の大統領選挙と国政選挙に続いて勝利を狙いたいエルドアン大統領率いる与党、公正発展党(AKP)であるが、景気の悪化という逆風にさらされており、厳しい戦いが予想される。

ここで気を付けたいことが、この統一地方選の結果を受けてトルコで再び通貨危機が生じる可能性があるということだ。トルコの通貨リラは昨年8月に暴落し、一時1ドル7リラ台をつけた。その後、対ドルレートは5リラ台前半まで持ち直したが、統一地方選の結果次第では、リラが再び暴落する展開になると予想される。

今回の統一地方選では、景気悪化に加えて事実上の連立パートナーであった民族主義者行動党(MHP)の提携解消があるため、AKPは獲得数を減らさざるを得ない。一方で、最大野党である共和人民党(CHP)率いる野党連合の勢力も限定的だ。そのためAKPは獲得数を減らすものの、大敗はしないという展開がメインシナリオになる。

ここでカギを握るのが、三大都市の市長選の結果だ。従来通りアンカラとイスタンブールをAKPが、イズミルをCHPが獲得する展開が予想される。ただアンカラとイスタンブールのいずれかの市長の座をAKPが失った場合は、AKPの敗北ムードが強まるため、エルドアン大統領の求心力低下に拍車がかかることになるだろう。

メインシナリオ通りAKPの敗北が限定的なら、金融引き締めも当面は継続されるため、短期的にはリラ高が進むだろう。ただ近年のリラ安は、エルドアン大統領による強権的な政権運営に対する市場の不信感が反映されたものだ。それが払しょくされない限り、リラ相場の本格的な上昇は見込めない。

支持率は昨年10月を底に上昇が続いている

他方で、仮にアンカラやイスタンブールの市長選でAKPが敗北した場合、有権者の支持回復の観点から、エルドアン大統領はバラマキ政策を強化すると予想される。ただトルコ財政は余力に乏しいため、大統領は中央銀行に対して金融緩和を求めることになるだろう。こうした展開が意識されれば、リラは暴落を免れない。

なお世論調査(メトロポール社)によると、エルドアン大統領の支持率は昨年12月時点で45%と、10月(40%)を底に上昇が続いている。通貨の下落に歯止めがかかったことや、エルドアン大統領が「カショギ事件」で米国やサウジアラビアを相手に巧妙に立ち回ったことがプラスに働いたのだろう。だが、この結果は疑わしい。

トルコでは強いメディア統制が行われており、世論調査でもエルドアン大統領に有利となるようなバイアスがかかっていると考えられるからだ。事実、筆者が昨年10月にイスタンブールで20名近くの有識者に聞き取り調査を実施したところ、ほとんどの人が大統領への不満を口にしていた。

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