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- 2019年02月14日 09:08
【福島原発かながわ訴訟】横浜地裁は低線量被曝のリスクと区域外避難の合理性を認めるか。提訴から5年半、20日に判決言い渡し~弁護団が解説する訴訟のポイント
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原発事故の原因と責任の所在を明らかにし、完全賠償を求めて神奈川県内に避難した人々が国と東電を相手取って起こしている「福島原発かながわ訴訟」(村田弘原告団長)の判決が間もなく、横浜地裁の中平健裁判長から言い渡される。弁護団がこのほど、横浜地裁の司法記者クラブ加盟社などを集めて行ったレクチャーを中心に裁判の争点を改めて振り返りたい。横浜地裁は、原発事故に対する国の責任を認めるか。そして、低線量被曝のリスクや区域外避難の合理性を認めるのか。注目の判決言い渡しは今月20日午前10時。
1つは「原発事故に対する国の法的責任の明確化」(責任論)。これまで前橋地裁、福島地裁、京都地裁、東京地裁が国の責任を認めているが、5例目を目指す。2つ目は「現状の賠償の不合理さを明らかにし、賠償額の大幅な上積み」(損害論)。その上で、原発避難者を追い詰める現状の政策の見直しにつなげたい考え。
「かながわ訴訟」の後は3月14日に千葉地裁で、3月26日には松山地裁で判決が言い渡される予定になっており、弁護団事務局長の黒澤知弘弁護士は「全国では横浜、千葉、松山を『三連続判決』と位置付け、各判決の成果をもって、さらに現状の賠償の見直しを求めて行く方針を打ち出しています」と語る。
原発事故に対する国の責任が認められるか否かについて、弁護団副団長の栗山博史弁護士は「原発に関する津波対策の規制措置を講じなかったという『国の不作為』が国の裁量の範囲内にあるのか、それとも裁量の範囲を超えて違法と言えるのかどうか。そこが最大のポイントです」と語る。
「違法だという判断の前提として、そもそも原発事故が予見出来たのかどうか。予見出来たとして、予見の内容に基づいて結果回避措置を講じれば事故を回避出来たのかどうか。それらを考慮した上で、国の規制権限不行使が違法と言えるかどうかが判断されることになります」。
福島第一原発事故は、地震や津波で外部電源も非常用電源も機能を失い、炉心の冷却が出来なくなった事で発生した。弁護団は、原発敷地高を超える津波の発生は予見出来、それに基づいて非常用電源設備を高台に設置したり建屋の水密化を講じたりすれば過酷事故は防げた─と主張してきた。
「2002年に文科省・地震調査研究推進本部が『三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価』(いわゆる長期評価)を公表しており、巨大津波を発生させるような巨大地震が、福島県沖を含む日本海溝付近のどこでも発生し得る事が明らかにされました。これに基づいて東電は2008年、福島第一原発における津波の高さを試算しています。その結果、福島第一原発1~4号機の敷地が約1~3メートル浸水する事も分かりました。東電は少なくとも2002年の時点で、福島第一原発の敷地高を超える津波の到来を予見できたのです」(栗山弁護士)
原発が浸水する事が想定できたのならば当然、東電は対策を講じる必要がある。それは、地上階や地下階に置かれていた電源設備の高台設置であり、建屋や電源設備の水密化であり、防潮堤の設置だ。そしてそれは、規制権限を有する国にも及ぶ。
栗山弁護士は「原発事故はひとたび発生したら広範囲に重大な被害をもたらします。国(経産大臣)は津波対策を講じるよう、遅くとも2006年の時点で東電に対し規制権限を行使するべきでした。不行使は違法と考えます」と解説する。



(上)「福島原発かながわ訴訟」は2013年9月11日に提訴。2018年7月19日に結審した。今月20日の判決日には、結審時と同様に多くの支援者の歌と音楽で横浜地裁に入廷する予定だ=2018年7月19日撮影
(中)(下)原告団長として先頭で走って来た村田弘さん。結審した後も、横浜駅西口に毎週立ち、アピールと署名集めを続けてきた。「原発事故被害者に笑顔が戻るような判決」が言い渡されるよう望んでいる=2018年10月4日撮影
【予見出来た大津波、防げた電源喪失】
原告や弁護団が判決に期待している点は2つ。1つは「原発事故に対する国の法的責任の明確化」(責任論)。これまで前橋地裁、福島地裁、京都地裁、東京地裁が国の責任を認めているが、5例目を目指す。2つ目は「現状の賠償の不合理さを明らかにし、賠償額の大幅な上積み」(損害論)。その上で、原発避難者を追い詰める現状の政策の見直しにつなげたい考え。
「かながわ訴訟」の後は3月14日に千葉地裁で、3月26日には松山地裁で判決が言い渡される予定になっており、弁護団事務局長の黒澤知弘弁護士は「全国では横浜、千葉、松山を『三連続判決』と位置付け、各判決の成果をもって、さらに現状の賠償の見直しを求めて行く方針を打ち出しています」と語る。
原発事故に対する国の責任が認められるか否かについて、弁護団副団長の栗山博史弁護士は「原発に関する津波対策の規制措置を講じなかったという『国の不作為』が国の裁量の範囲内にあるのか、それとも裁量の範囲を超えて違法と言えるのかどうか。そこが最大のポイントです」と語る。
「違法だという判断の前提として、そもそも原発事故が予見出来たのかどうか。予見出来たとして、予見の内容に基づいて結果回避措置を講じれば事故を回避出来たのかどうか。それらを考慮した上で、国の規制権限不行使が違法と言えるかどうかが判断されることになります」。
福島第一原発事故は、地震や津波で外部電源も非常用電源も機能を失い、炉心の冷却が出来なくなった事で発生した。弁護団は、原発敷地高を超える津波の発生は予見出来、それに基づいて非常用電源設備を高台に設置したり建屋の水密化を講じたりすれば過酷事故は防げた─と主張してきた。
「2002年に文科省・地震調査研究推進本部が『三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価』(いわゆる長期評価)を公表しており、巨大津波を発生させるような巨大地震が、福島県沖を含む日本海溝付近のどこでも発生し得る事が明らかにされました。これに基づいて東電は2008年、福島第一原発における津波の高さを試算しています。その結果、福島第一原発1~4号機の敷地が約1~3メートル浸水する事も分かりました。東電は少なくとも2002年の時点で、福島第一原発の敷地高を超える津波の到来を予見できたのです」(栗山弁護士)
原発が浸水する事が想定できたのならば当然、東電は対策を講じる必要がある。それは、地上階や地下階に置かれていた電源設備の高台設置であり、建屋や電源設備の水密化であり、防潮堤の設置だ。そしてそれは、規制権限を有する国にも及ぶ。
栗山弁護士は「原発事故はひとたび発生したら広範囲に重大な被害をもたらします。国(経産大臣)は津波対策を講じるよう、遅くとも2006年の時点で東電に対し規制権限を行使するべきでした。不行使は違法と考えます」と解説する。



(上)「福島原発かながわ訴訟」は2013年9月11日に提訴。2018年7月19日に結審した。今月20日の判決日には、結審時と同様に多くの支援者の歌と音楽で横浜地裁に入廷する予定だ=2018年7月19日撮影
(中)(下)原告団長として先頭で走って来た村田弘さん。結審した後も、横浜駅西口に毎週立ち、アピールと署名集めを続けてきた。「原発事故被害者に笑顔が戻るような判決」が言い渡されるよう望んでいる=2018年10月4日撮影
- 鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人)
- フリーライター



