- 2019年02月13日 09:05
インフルエンザ新薬「ゾフルーザ」に耐性ウイルス検出 もう使わない方がいいの?
2/2実は予想されていた『耐性ウイルス』の出現
こう見てくると、『良いところ、あるじゃないか!』と思えるゾフルーザですが、ひとつ薬の開発段階から危惧されていたことがあります。
それは耐性ウイルスが発生しやすいのではないか?ということです。
ゾフルーザに含まれる有効成分(バロキサビル マルボキシル)は、ウイルスが作り出す物質にとりつき、増殖を邪魔する働きがあります。
臨床試験の際に、ゾフルーザを患者さんが内服した後に詳しく調べてみると、このとりつく部分の形が変わり薬が効きにくくなっているウィルス(耐性ウイルス)が見つかりました。
12歳以上を対象とした臨床試験では、ゾフルーザを投与された370人のうち、およそ10%にあたる36人から耐性ウイルスが検出されています。
つまり薬を使った場合に耐性ウイルスが現れること自体は、開発段階から既に予測されていたことだったともいえます。
【注】ある薬に耐性が生まれたからと言って、すべての薬に効きにくくなるわけではありません。本稿で「耐性ウイルス」と言った場合、「ゾフルーザ」が効きにくくなったウイルスのことを指します。
心配なのは、この耐性ウイルスに感染していた場合、いちどウイルス力価が下がっても、その後、もういちど上がる傾向が見られたことです。いわば感染力を「取り戻す」という現象が起きるわけです。

ただし、この耐性ウイルスを実際の細胞に感染させてみると、通常のウイルスに比べて増殖する能力が低かった、という実験結果もあるようです。
そして現状のデータでは、ゾフルーザを使えば使うほど耐性ウイルスが増えるのか?薬を使っていない人にも耐性ウイルスが広がってしまうのか?などについては、確たることはわかっていません。
つまり現段階では、耐性ウイルスが出たからといって、使わないほうが良いとも悪いとも言えない状況だといえます。
新薬ゾフルーザ どのように向き合えばいいのか
これまでとは違った特徴を持つインフルエンザ治療薬ゾフルーザ。
「良い面がある」といったと思ったら、「こういうところは心配だ」という話があったりして、モヤモヤされた方もいらっしゃると思います。結局はどのように向き合うのが、役に立つ考え方なのでしょうか。
大前提として、薬をどのように使うかは、その人の体調や年齢、さらには状況によって変わります。医師や薬剤師などの専門家と適切に相談したうえで、治療法を選択してください。
その前提のうえで、例えば高齢者の独り暮らしで飲み忘れが心配だったり、同居している家族とどうしても寝室を分けられないなど感染を広げてしまうリスクが高い場合などに、ゾフルーザをひとつの選択肢とできないか医師に相談してみる、という考え方はありうるかもしれません。
ただしその場合でも、試験でおよそ1割もの人から耐性ウイルスが検出されているわけですから、ゾフルーザを使ったからといって油断せず、マスクの着用など咳エチケットや、家族も含めて手洗いなどを徹底する、というのが役に立つ考えだと言えそうです。
さらにいえば、症状を短くする効果自体は従来の治療薬と変わらない一方で、ゾフルーザは新しい薬のため薬剤費が比較的高くなっています。
「わざわざ新薬を使わなくても従来の治療法で良い」という考え方もありえますし、そもそもどちらの薬を使っても「1日早く治るだけ」ということを考えれば「薬を使わずに家でゆっくり寝て治す」という選択肢も十分にあり得るものです。
「新薬」とどう向き合うか
いずれにしろ言えることは、ゾフルーザは新しい薬であり、多くの人に投与され始めてから時間がたっていません。今後の耐性ウイルスの広がりも見通せず、また想定外の副作用などが見つかるリスクもあります。
それよりは、長く使われた歴史があり、効果も副作用の出方もある程度わかっている薬のほうが安心できるという考え方もあります。
なんだか『新薬』と聞くと、「すごく効きそう」で「使わなければ損」という気分にもなってしまいそうですが、むしろ専門的には『新薬だからこそ慎重に接する』という姿勢が勧められています。
いま使おうとしている薬が『新薬かどうか』はいちど忘れて、その薬のメリット・デメリットを聞いた上で『いま、どうしても使うべき理由があるのか』について立ち止まって考えてみるというのが、消費者として最も役に立つ考え方だと言えるかもしれません。
【参考資料】
医薬品インタビューフォーム「ゾフルーザ」
※筆者は、ゾフルーザを販売している製薬企業など組織や関係する個人などから、報酬や資料の提供を含む一切の利益の供与を得ていません。
※Yahoo!ニュース個人から転載


