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トヨタが目指す「モビリティ・カンパニー」の将来像

トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、18年に開催された家電見本市「CES」で、「自動車をつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と、高らかに宣言しました。あれから1年。トヨタが目指す「モビリティ・カンパニー」の姿が少しずつ明らかになってきました。

※トヨタ副社長の友山茂樹氏

自動車メーカーが製造業からサービス業へのシフトを急ぐのは、自動車に対するニーズが「所有」から「利用」へとシフトするなかで、もはやクルマの販売だけでは、収益確保がむずかしくなっているからです。

「バリューチェーンビジネスをいかに確保するかが重要だと認識しています」
トヨタ副社長の友山茂樹氏は6日、「トヨタのコネクティッド&MaaS戦略」の説明会でそのように述べました。

友山氏は、トヨタのコネクティッド戦略には、3つの顔があると説明しました。既存のバリューチェーンを維持・拡大する「守り」、品質やリードタイムを改善する「改善」、新たなクルマの価値を創造する「攻め」――の3つの顔です。

自動車メーカーのバリューチェーンといえば、これまでは、クルマの製造に始まり、販売、整備、保険、金融でしたが、ご存じのように、近年はそこに、ライドシェアやカーシェアが加わりました。

トヨタは、「外部事業者協業モデル」「トヨタ事業主体モデル」「販売店事業主体モデル」の3つのアプローチからバリューチェーンを攻略しようとしています。

例えば、2月5日に新会社「KINTO」を設立し、高級車「レクサス」などを一定期間、利用できる月額定額サービスをスタートしていますが、これは、トヨタ自身がビジネスの事業主体となる「トヨタ事業主体モデル」に位置づけられます。

「KINTO」を介して攻めるのは、バリューチェーンにおける金融の領域です。

このほか、ライドシェア事業者「グラブ」と協業し、MSPF(トヨタのモビリティサービスプラットフォーム)上で走行データを共有したオペレーション支援などを行います。こちらは、「外部事業者協業モデル」です。

「いずれの形態のビジネスでも、クルマはトヨタのものを使ってもらい、サービスやメンテナンス、保険、リースなどもトヨタのものを使ってもらって、収益を確保したい」と、友山氏は述べました。

これまでトヨタは、いいクルマを効率よくつくって売るビジネスを通して、トヨタ生産方式や改善、原価低減に磨きをかけてきました。トヨタは、「モビリティ・カンパニー」に転換するにあたっても、再び、それらの強みを活用しようとしています。

「どれだけいいメンテナンスができるか。どれだけコストパフォーマンスの高いリースができるか。それらが競争力になる」と、友山氏はコメントしました。

例えば、グラブとの協業では、トヨタ生産方式を導入して、車両の稼働率向上と保守費用の低減を図る計画です。

「もっとも重視しているのは、コネクティッドの業務改善効果です。不具合処置のリードタイムの縮小や不具合範囲の特定によって、大きな費用低減の効果が期待できます。また、OTAによるソフトウエアの更新によってこちらも大きな費用逓減の効果が出ます。

また、サービスの入庫率が上がれば、部品の交換もしくは代替の継続につながり、クルマの増販がもたらされます」と、友山氏は述べました。

「MaaS車両」に、新たに二つのラインナップを加えたのも、バリューチェーンビジネスの攻略の一環です。

人や貨物の多目的近距離輸送を想定した大型EV「eパレット」に加えて、新たに導入が計画されているのは、中長距離ライドシェアの用途を想定した中型のハイブリッド車「シエナ」と、中短距離ライドシェアの用途を想定した小型EVです。

「タイムリーにメンテナンスをし、安全、利便な移動サービスを社会に普及させるには、これまで培ってきたトヨタ生産方式をはじめとする、リアルのノウハウと技術が不可欠です。また、サービスネットワークといったリアルの資産も欠かせません。いわゆるリアルの強みを研ぎ澄ませていくことが重要であると認識しています」

クルマをつくって売るだけのビジネスは終わりを告げようとしています。しかし、トヨタは、再び、リアルの技術と資産を強みに、新たな「モビリティ・カンパニー」の姿を描いているんですね。

ソフトバンクグループやウーバー、グラブ、ディディなど、華やかなグローバル提携のニュースばかりに注目が集まりますが、「モビリティ・カンパニー」へのモデルチェンジにあたって、トヨタ生産方式や改善、原価低減を持ちだすところに、トヨタの底力を見る思いがします。

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