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民主党政権前の、自民党政権も悪夢だった

 安倍晋三首相がかつての民主党政権を「悪夢」とこき下ろしたことが話題となっている。

 自民党が10日に都内で開いた党大会。首相は春の統一地方選と夏の参院選での勝利を呼び掛ける中でこう述べた。

 “12年前の亥年の参院選でわが党は惨敗した。当時、総裁だった私の責任だ。片時たりとも忘れたときはない。政治は安定を失い悪夢のような民主党政権が誕生した。あの時代に戻すわけにはいかない。厳しい戦いだが、まなじりを決して戦い抜く先頭に立つ決意だ”(THE SANKEI NEWSより)

 2009年から2012年にかけての民主党政権がボロボロだったのは言うまでもない。しかし、思い起こせば民主党政権が誕生したのは2007年から2009年にかけての自公政権がボロボロだったからだ。これではまずい、と思った国民が誕生させたのが民主党政権である。

 第一次安倍政権だった2007年、数多くの疑惑を取りざたされた農水大臣が自殺。後任の大臣にも数えきれないほどの政治とカネの問題が指摘され、たった2ヶ月で辞任に追い込まれた。そんな中で行われた参院選で自民党は大敗。民主党に第一党の座を奪われ、体調不良を理由に安倍首相は退陣を決めた。

 当時は「消えた年金」に代表されるように、今と同じく政治による役人統治の問題も指摘された。

 その後の福田政権、麻生政権も支持率の回復はかなわず、いずれも1年という短命に終わった。そして、2009年の衆院選で民主党は大勝し、政権の座を奪ったのである。

 安倍首相が2007年の参院選で敗北してから、麻生政権まで支持率低迷を余儀なくされたのは、小沢一郎氏率いる民主党が「ねじれの弱点」をついて政権を攻撃し続けたからだ。自衛隊によるインド洋での給油活動、日銀同意人事、ガソリン暫定税率……。数的優位に立つ参院での「拒否権」を駆使し、政治がまったく前に進まなくなった。「決められない政治」は民主党がもたらしたものだが、当時の国民は政権のせいだと理解した。

 しかし、自民党は同じことを民主党政権でもやったのだ。民主党ほど露骨でなかったにしろ、巧みな「国会対策」で政権運営を邪魔した。もちろん、鳩山首相や菅首相によるめちゃくちゃな言動等もあったが、少なくとも自民党は経験の浅い民主党の政権運営に協力するどころか、邪魔することしかしなかった。その結果が、首相のセリフにある「政治は安定を失い」なのである。

 政党なのだから、その政党のトップなのだから選挙で勝とうというのは当然のことである。党内の士気を高めるために多少、相手を挑発することも許されるだろう。

 ただ、相手をただ、貶めるだけではこの国の政治がいつまでたっても進歩しない。安倍首相もいつかは退任する。自分が退任した後、またかつての悪夢を再現しないためにどうすればいいか、考えてこそ、戦後最長の内閣を担う(であろう)宰相の責務ではないだろうか。

 小沢氏が国民民主党と組み、再び表舞台に立とうとしている。再び政治が2007年に戻ることだけは御免こうむりたい。

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