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見えてきたトランプ政権の崩壊シナリオ、米朝再会談の成果をどう演出するか?=江守哲

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2020年の大統領選に向けて、トランプ大統領の動向がかなり怪しくなってきました。いま選挙すれば負けます。それくらい追い込まれています。米朝再会談を控えた、トランプ政権の崩壊シナリオについて解説します。(江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年2月8日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

トランプと米国が急速に弱体化?シナリオ通りの会談実現だが…

アメリカがトランプ大統領を見限る?

国際情勢が動き出しそうです。それも、焦っている米国が動き出しています。

あまり良い兆候ではないですね。2020年の大統領選に向けて、トランプ大統領の動向がかなり怪しくなってきました。いま選挙すれば、負けます。それくらい、追い込まれています。

トランプ政権は急激に弱体化していますが、これだけ弱くなるとは驚きですね。やはり、中間選挙で民主党に負けたのは大きかったですね。

このままいくと、米国そのものがトランプ大統領を見限って、別の候補に目を向ける可能性があります。無論、それを決めるのは、トランプ大統領を動かしている組織ですが。

トランプ大統領は彼らに見限られないように、必死になっています。しかし、これまでのやり方が通用しなくなっており、見限られる可能性が日に日に高まっています。

そのような簡単で、今後のトランプ大統領の言動を見ていくと、いろいろ見えてきます。非常にわかりやすいですから。

2020年、大統領選でのトランプ敗北は見えている?

さて、現地時間5日に実施されたトランプ大統領の一般教書演説は、まさにいま、そして将来のトランプ政権の行く末を示しているかのような内容であり、民主党員の反応でした。

トランプ大統領は「経済成長を続けるため、通商政策の転換と国内インフラの再構築が必要だ」と訴えました。2020年の大統領選での再選に向けて、好況の持続という「二の矢」を模索しているようです。

しかし、民主党が下院を抑えています。そう簡単にトランプ政権の政策は進められません。また、これまでの減税が財政を圧迫しており、3年目のトランプ政権にはきわめて厳しい逆風が吹いています。景気がよい時に財政を出し過ぎた反動が来ています。

大統領選の際に景気が悪いと、基本的に大統領選では勝てません。いま、まさにそのような局面にさらされているのがトランプ大統領です。このまま景気が悪化していけば、大統領選での敗北は決定的になるでしょう。

景気悪化時にこそ手腕が問われるが…

トランプ政権が誕生して2年が経ちました。確かに、景気は上向きました。

一般教書演説で、「この2年間で530万人の雇用が生まれ、賃金は数十年経験のない伸びとなった」と豪語するトランプ大統領の言い分も正しい面があります。

こんな感じで、上下両院合同議会で1時間20分続いたトランプ大統領の演説は、まさに米景気への自賛で埋め尽くされていました。それをアピールするしかなかったからでしょう。

しかし、景気がよい時に実施した減税は、やはりのちに景気悪化のための下支え手段を先に使ってしまったという点で、失敗だった可能性があります。

就任1年目の17年末には10年で1.5兆ドルという大型減税を実現しました。主要国の「同時成長」も追い風となり、失業率は半世紀ぶりに3%台に低下しました。

景気がよい時に、これだけのばらまきをすれば、そうなります。

トランプ大統領は、景気の面ではついていたともいえるでしょう。就任前から景気が回復過程にあったわけですから。

しかし、これからは悪化します。悪化傾向に入ります。ここからが腕の見せ所ですが、やれることは限られているでしょう。

経済悪化で大統領選に敗北という、典型的な道を歩み始めているように見えます。

外交面でも結果はいまいち

また、外交面での成果も大げさにアピールしています。

「私が大統領でなければ、北朝鮮と戦争になっていた」。戦争になっていたかどうかは別ですが、北朝鮮の金正恩委員長との会談を実現させたことは、確かに大きな出来事でした。しかし、まだ何も達成していません。また、自身への美辞麗句も相変わらず極端です。

さらに、国際批判の絶えないイラン核合意の離脱についても「断固立ち向かう」と真っ向から反論しました。しかし、このようなトランプ流の脅しが「虚勢」であることが、徐々にばれ始めています。

ツイッターでの乱暴な言葉も、いまや誰もビビることがありません。通用しなくなってきています。

一般教書演説で見せた「野党へのすり寄り」

これから2年間の大統領職を全うに務められるのか、かなり怪しくなってきました。

米国株は確かに17年は大きく上昇しましたが、18年は10月以降に急落し、マイナスとなりました。また、3%成長を公約した米経済も19年後半から減税効果が剥落し、大統領選がある20年の成長率は1%台に下がるとの見方もあります。

米中貿易戦争の影響が企業業績にも出始めており、いよいよ厳しい状況に追い込まれてきたといえます。トランプ大統領自身も、自分の立場が怪しくなってきていることを理解している可能性がありそうです。

というのも、今回の一般教書演説では、下院多数派の民主党に「超党派で動くときだ」と協力を呼び掛けました。これまであれだけ横柄な態度だったにもかかわらず、急に民主党にすり寄っているからです。

そして、主要な政策である雇用効果の大きいインフラ政策と薬価引き下げなどの社会保障改革について、演説に盛り込んで民主党に露骨に歩み寄っています。

トランプ大統領は、「最先端産業にとって重要なインフラ投資を進めるため新法が必要だ」とし、公約にあげていた景気対策の「二の矢」であるインフラ投資の実現に躍起になっています。

しかし、米国では道路や空港などの整備に10年で2兆ドルもの資金が不足しています。これ自体は有権者の支持を最も得やすい政策ですが、実現性に乏しいのが実情です。

実現には民主党との協調が不可欠なのですが、これまであれだけ対立していたにもかかわらず、ここにきて二枚舌になっているのは、見ていて滑稽ですらあります。

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