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「PayPay祭」第2弾は盛り上がらない?少額小分けで「100億円キャンペーン」は成功するか=岩田昭男


きょう2月12日から「PayPay祭」として世間を騒がせた100億円キャンペーンの第2弾が始まります。前回よりもさらに「キャッシュレス化促進」に目を向けた様子。キャンペーンの内容解説と合わせて、キャンペーンの成否を占います。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

ペイペイ、今後の作戦は?各社の激しいキャンペーン合戦が始まる

キャッシュレス促進には「得する」体験が必要

キャッシュレスを進めるなら「CX」がいちばん大事と言われています。

CXとは「Customer Experience(顧客体験)」のことで、「クレジットカードを使ったから、宝くじが当たった」とか、「高額のキャッシュバックを受けられた」といった「得する体験」があると、キャッシュレスをやり続けようという気になり、それがキャッシュレスの定着に効果的といわれています。

さしずめ、昨年末のPayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」などがその典型だったといえます。

しかし、このキャンペーンは100億円という途方もない還元額が全国的な話題となり、毀誉褒貶、きびしいものがありました(賛否両論沸き上がりました)。一時は、「高額なおまけでグイグイ押してくるやり方に違和感がある」といった批判が殺到したことで、もうキャンペーンはやらないだろうと見られていたのです。

しかし、そのPayPayが第2弾「100億円キャンペーン」を行います。

第2弾キャンペーンは少々控え目?

第2弾のキャンペーンはきょう2月12日からスタートします。

PayPayで買い物すれば、20%還元するというやり方は前回と同じですが、1回の買い物での還元額が上限1,000円と低く設定されているのが特長です。キャンペーン期間も5月31日までと発表されていますが、その期間内での還元総額はひとり5万円までと、こちらも低く設定されています。

1,000円の還元を得るには、1回に5,000円以上の買い物をする必要がありますが、それを50回繰り返してやっと限度額5万円になります。

フルに還元を受けようと思うなら、次のような方法はどうでしょうか。たばこを吸う人なら1カートン5,000円ですから、これを毎日購入して、50日間続けるというやり方があります。(すぐに吸うのは健康によくないのでおすすめしませんが)。

この小分け感覚は、家電店向けというより、あきらかにコンビニ向けのキャンペーンといえるでしょう。

前回「100億円ばらまきキャンペーン」の不手際

前回のキャンペーンを確認しますと、あの時は月額5万円相当の利用ができて、それとは別に1度の決済で10万円相当の買い物ができましたから、欲しいものがあればほぼ何でも買える状況だったといえます。

ですから、皆が炊飯器や電子レンジなど、すぐには必要でない家電製品まで買い込んでしまったのです。そのために、たちまち100億円に達してキャンペーンは中止になりました。

ところが、まだキャンペーン期間が4カ月も残っていて、わずか10日で打ち切りとなったために、これから買い物をしようと準備をしていた人たちからの不満が渦巻きました。

この批判が強かったので、(それを教訓にして)今回は地味でリーズナブルな内容になったといわれています。急ブレーキがかかったという感じですね。

中小小売店と手数料の問題

そして、PayPayのコマーシャルも大きく変わりました。いま強調しているのは、小さなお店でPayPayが使えるとか、加盟店を増やそうというメッセージです。

そのターゲットは、一般消費者ではなく、店舗です。店舗といっても大手や中堅のチェーン店ではなく、商店街に多い個人経営の店となっています。

いよいよPayPayは、商店街に向けて本格的な加盟店開拓を始めたといってよいでしょう。

先日、私の事務所がある高田馬場の行きつけの床屋に行くと、ドアの横にPayPayのステッカーが貼ってあり、PayPayが使えるようになっていました。これまでは現金払いだけでしたが、いよいよキャッシュレスに乗り出したのです。主人はニコニコして「手数料が3年間無料だからね」と満足そうでした。

こうした中小の店は、手数料がネックとなっています。クレジットカード・電子マネーの手数料は3〜6%ですが、それを支払うと、儲けがまるまるなくなってしまうからです。

それで20年もキャッシュレスには背を向けてきたのですが、最近になって、便利な決済ツールが出てきて注目しているのです。それがPayPayなどの「QRコード決済」です。仕組みが簡単なので、手数料も低く抑えることができるのです。

第1弾「100億円あげちゃうキャンペーン」でPayPayの存在を知った全国の人たちは、なかでも個人商店の店主たちは、いま、このQRコード決済に熱い視線を向けています。

なんせ、悩みの種だった手数料がなくてもキャッシュレスを体現できるからです。

「手数料が3年間無料」というサービスでキャッシュレスの壁を取り払ってくれるので、今後個人商店の多くがこちらのQRコード決済に加入するようになるでしょう。

大手・中堅はクレカ&電子マネー。個人商店はQRコード

そして数年後には、大手・中堅チェーンの多くは電子マネー、商店街の個人商店はQRコード決済と、棲み分けが進んでいくのではないかとみています。

実際、高田馬場商店街の定点観測でも、すでに大手チェーン店はクレジットカード&電子マネー共用端末の設置は終えています。昨年から中堅チェーン店も電子マネーを入れて共用端末の設置は終えつつあります。残りは商店街の個人経営の商店だけですが、これがすでに述べたように、手数料の問題で取り残されてきたというのが実情です。

私は、いずれは中堅チェーン店に入ったのと同じ電子マネーの端末が個人商店にも入るだろうと思っていましたが、初期導入費用なども加わるので、なかなか難しいというのが実感です。

そうなると、やはり発想のまったく違う「QRコード決済」を入れた方が適合するのではないかと思いますし、そちらに進むべきと思います。

オリガミペイも練りに練ったキャンペーンを開始

また、利用者にとっても、カード選びやポイントの活用で、大きな変化が起こるでしょう。

ひとつはキャンペーンです。きょうから始まるPayPayに加えて、オリガミペイもキャンペーンを始めています。こちらも練りに練った内容で、特定の店で買い物すると、半額になるというものです。

例えば、吉野家やケンタッキーフライドチキンで、300円〜500円以上の買い物をすると半額になり、しかも何度でも半額というキャンペーンです(※注:各チェーン店ごとに期間限定で、すでに吉野家はキャンペーン期間を終了しています)。オリガミペイはポイントではなく割引で対抗しようとしています。

QRコード決済は、IDを介してそのうえに成り立つ二次的決済ツールです。そのために、魅力づくりにはポイントや割引といったおまけで勝負するしかありません。

そこでQR陣営はそれぞれが盛んにキャンペーンをやって、顧客囲い込みに躍起になっているのです。

熊手のようにポイントや割引を集めるのがQRコード決済の役目か?

こうした傾向をみていると、私は、正月の縁起物の熊手のようなものを連想します。QRコード決済を使うというのは、この熊手で宝物をかき集めるというイメージなのです。

上手に使うには、いくつかQRコード決済を用意しておいて、有利なクレカや電子マネーや銀行口座と紐づけることです。さらには各ツールのキャンペーン情報に注意して、場面ごとにいちばん有利になるように使い分けることも大事になるでしょう。

ぼんやり買い物していては、損をする時代になっています。

買い物の前の準備と買い物の計画が必要になるでしょう。キャッシュレスというのは、キャンペーン競争の時代ということでしょうか。買い物も気楽にできない大変な時代がやってきそうです。

PayPay今後の予定

PayPayは、あと2回〜3回は同様のキャンペーンを打って、10月の消費増税の時期につなごうとしているようです。そこまで待てば、政府が2〜5%のポイント還元策を打ってくれるので、PayPayの負担も減るでしょう。

そこで一服できるかもしれませんが、新規参入が増えて競争が激化する中で、休んでいる暇はなさそうです。

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