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無添くら寿司の非正社員比率は88%ーバイト、パートに過度に依存する企業体質からの脱却をー

くら寿司の非正社員比率は驚異の約88%

2月10日に配信したくら寿司もセブンイレブンもアルバイト店員の時給が安すぎるー繰り返される「バイトテロ」問題ーが好評いただいた。

くら寿司の従業員が不適切な動画を配信したことで問題が発覚し、懲戒解雇されている事件だ。

背景の一因にはアルバイト労働者の低賃金、不安定雇用があるのではないか、という視点から指摘をおこなった。

それを受けて、私たちの口に入る大事な食品はしっかりと調理してほしい、責任ある従業員に業務を任せてほしい、などSNS上で大きな反響をいただいている。

だからこそ、悪ふざけをした元従業員は厳罰に処してほしいという意見も多い。

食品管理や衛生管理は重要であり、調理を担当する従業員は店の主力と言ってもいい。極めて重要な役割だ。

だからこそ、一般的な寿司店では修行に時間がかかり、10数年経たなければ一人前ではないと言われるほどだ。

しかし、くら寿司ではアルバイトがその業務を担う。動画からは食材に対するリスペクトや仕事に対する真摯さも受け取れない

そもそも、なぜアルバイトが大事な調理場で包丁を握っているのだろうか…。

答えは簡単で、アルバイトに業務の大半を依存した経営だからだろう。今回は非正社員比率を見ながら考えてみたい。

過去にはZOZOTOWNの非正社員比率は67%ー派遣や非正社員に過度に依存する企業体質からの脱却をーという記事を配信して、(株)ZOZOにおける非正規雇用の多さを指摘してきた。

非正規雇用にはいわゆるワーキングプアも多く、不安定な労働者として指摘され、昨今の子どもの貧困、母子家庭の貧困などの温床となってきた。

労働者は怠けているから貧困なのではない。企業や産業に貧困、ワーキングプアを作り出す構造があるということだ。

今回も踏み込んで、くら寿司を運営するくらコーポレーション有価証券報告書(2019)から見てみたい。

くらコーポレーションは、全従業員14.612人のうち、非正規雇用は12.922人である。正社員は1.690人と極めて少ない。

なんと非正社員比率は約88%である。10人従業員がいたら1人くらいしか正社員はいないことになる。

バイトの労務管理や教育を徹底して管理もしていくことが再発防止には重要だといわれている。

しかし、そもそもその主幹を担う正社員が少なすぎるのではないか。

むしろこれ以上、バイトへの教育や管理を徹底し始めたら、店長や管理職含む、正社員の長時間労働や過重負担が心配になるほどだ。

再発防止策を実施するのであれば、確実に正社員比率を高めることは重要であり、それ抜きには実行不可能だと言える。

正社員がここまで少ないと思わなかった、これでは心配になってしまう、という読者、株主の方もいるのではないだろうか。

回転寿司業界は正社員がいないのは当たり前!?

では、同じ産業のかっぱ寿司はどうだろうか。

かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト株式会社有価証券報告書(2018)によれば、全従業員9.246人のうち、非正規雇用は8.329人である。正社員は917人とこちらも極めて少ない。

なんとこちらは非正規雇用率が90%超である。正真正銘の10人に1人が正社員である。

くら寿司と雇用形態においてビジネスモデルが類似している。

さらに、スシローはどうだろうか。

株式会社スシローグローバルホールディングス有価証券報告書(2018)によれば、全従業員19.155人のうち、非正規雇用は17.523人である。正社員は1.632人とこちらも極めて少ない。

なんとこちらは非正規雇用率が91%超である。10人に1人すら正社員がいない。

利益は増えているし、配当金も出している。人件費部分は増やさなくてもいいのだろうか。

最後に、はま寿司、牛丼のすき家などを運営する株式会社ゼンショーホールディングスはどうだろうか。株式会社ゼンショーホールディングス有価証券報告書(2018)によれば、全従業員61.714人のうち、非正規雇用は50.837人である。正社員は10.877人である。

こちらは非正規雇用率が82%超である。10人に2人くらいは正社員がいる。あぁよかった…とはならない。

これでも営業時間帯のなかで、当然、正社員や管理者がいない時間帯も生まれるだろう。

どの回転寿司、外食産業も非正規雇用に頼りすぎであり、人件費を抑えているからこそ、利益が上がる構造になっている。

外食産業では低賃金、非正規雇用が当たり前だろう、という意見もあるが、本当にこのままでいいのだろうか。

日々消費者としてお店を利用する立場からも、一度立ち止まって考えてほしいテーマだ。

くら寿司などで起こっているいわゆるバイトテロはどこでも起こりうるし、起これば企業に大きな損害も与える。

今回は株価など27億円の損害を与えたともいわれている。

株主や投資家にとっても、正社員比率を上げること、処遇を改善して経営を安定させること、は悪い話ではない。

いつバイトテロが起こるか分からない産業の株式には、危なすぎて投資をすることも敬遠されてしまうだろう。

そうならないためにも、正社員をしっかり増やして、アルバイト等の処遇も働き方に見合う賃金にしていけないだろうか。

繰り返しになるが、僕たち消費者は安全で安心できる食品を提供してもらいたい

アルバイトやパート職員が日々まじめに尽力してくれているからこそ、一部の悪戯(いたずら)動画が配信されるくらいですんでいる。

大多数の従業員はまじめに働いてくれているはずだ。

日々まじめに尽力している労働者の賃上げや処遇改善、正社員採用を進めることは今以上にできるはずである。

ここまで非正規雇用に依存しているのであれば、経済成長や労働生産性向上にとってもマイナス効果が大きい。

ワーキングプア問題も一向に解決の見通しが立たないだろう。

ぜひ産業全体で経営者たちが集まり、賃上げや商品の値上げなどを含めて、国民的な議論を展開し始めてほしい。

くら寿司の問題は、安い商品を提供する外食産業全体の働き方やアルバイトへの処遇の仕方に議論を移していくべきである。

今回の教訓を活かした経営がなされていくことを強く期待している。

※Yahoo!ニュースからの転載

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