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SNSにはまっていった私のイタい体験記(4) - 泉美木蘭

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(写真:iStock.com/LightFieldStudio)

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ツイッターの「翻訳者バッジ」をゲットして気が済んだ私は、その後、ボランティア翻訳なんて七面倒くさいことを手伝う気はあっさり消え去り、なんの役にも立たないつぶやきばかり投稿して遊ぶようになった。

手っ取り早く反響が欲しくて「感動ネタ」を探すようになる

《私には「みんな仲良くいい感じ」なんていらない。微妙な距離感を保ちつつ、面倒にいがみあっている時が一番いきいきしていられるの》

《幼子といっしょにNHK体操のお兄さんをガン見しているママの視線には、微量だが高濃度の“オンナ”の成分が混入していることを否定しなければならないとは、なんて不自由な世界なのかしら!》

投稿するとすぐに反応があるので楽しくなり、すっかりはまった。たまに何十人もの反響があるとドーパミンが出るようで快感を得られ、またネタを考えてしまう。電車の中で、病院の待合室で、上演開始前の映画館で。とにかく隙間時間ができるとiPhoneをつつき、ツイッターのアプリを開いた。完全にツイッター依存症である。

世の中をナナメに見るような独自視点のものよりは、「ちょっと泣けるいい話」のような感動ネタのほうが反響が大きかった。もともと鋭い切り口で著名な人物なら求められるものも違うのだろうが、基本的に匿名のSNSだから、投稿者などどこの誰でも構わない「140文字以内で感動できる話」のようなネタのほうが手っ取り早く反響が起きるのだ。それがたとえ嘘であっても。

超大反響だったのは、「満員の新幹線のなかで泣き止まない赤ん坊を抱いて、周囲から舌打ちされおろおろする若い母親に、『子供は泣くのが仕事だ、元気でいいじゃないか、このまま終点まで泣かせちゃおうぜ!』と声をかけて空気を破るおじさんがいた」という内容のものだ。あっという間に拡散されて、500回、1000回、1500回とたちまちリツイートされていった。

これは自分が体験した実話なのだが、「世知辛い世の中に伝えたいコト……」みたいなピュアな気持ちよりも、じゃんじゃん拡散されてまるでパチンコで“確変状態”に入ったような高揚感のほうがはるかに強く、リツイートの伸びにドーパミンがどばどば出て「もっと行けえ! もっともっと行けえええ!」と興奮していた。記憶がおぼろげだが、何千回かリツイートされるとシステムの上限に達してカウント数が表示されなくなった。一度、大拡散されると、日にちが経ってもまた拡散タイムがやってきたりもした。投稿を読んですごく丁寧なコメントを書いてくれている人もいるのに、こちらのほうは「うおおお、まだまだ確変タイムだぜえええ! フィーバーーーー!」とものすごく軽薄に興奮しているのだった。

気持ちのいい常連さんに好感を持つ、危なっかしい人に変化

快楽物質ドーパミンがたっぷり放射される体験をしてしまったからなのか、その後は、投稿にあまり反応がないとひどく残念な気分を感じるようになった。するとますますツイッターにこだわってしまう。特に投稿することもないのに、漫然とiPhoneに手を伸ばして反応が届いていないかチェックするようになった。だったらやめりゃいいのだが、ずぶずぶの依存状態になり、そういう発想はなかった。

一方で、いつも必ず反応してコメントをくれる常連さん達もできていた。フィーバーしなくても常連さん達がいるから安心できる。「気持ちのいい常連さん」もいれば、毎度あーだこーだ批評する「面倒な常連さん」もいた。ただ、その人たちが一体どこの誰なのかはまったくわからなかった。

匿名のSNS上で判断する「気持ちのいい常連さん」というのは、つまりは「私の期待するような反応をしてくれて、私を気持ち良くしてくれる常連さん」ということだ。相手の年齢も性別も顔もバックボーンもまったくわからずに、どっぷりSNSに依存した心理状態のなかで、「私のネタを見て、そして反応して」という欲求を満たしてくれる相手に「なんかいい人っぽい♡」という印象を持ってしまうのだから、超絶危険である。

現実社会で、どこの誰ともわからぬ人間に気持ち良くさせられてひとりで喜んでいれば、「それヤバいよ。詐欺じゃないの?」なんてチャチャを入れてくれる人などが現れたり、我に返って自分を恥じる瞬間もあるかもしれないが、SNSは客観性ゼロ。自分が踏み込んでいる危険に気がつくことすらなく、快楽や欲望のままにどこまでも引き込まれていってしまうところが本当に恐ろしいのだ。

さらなるフォロワー獲得のため、ガガ様にまで手を出すように

さて、そんなヤバい危険人物は、私自身でもある。2011年頃、大ファンでよくミュージックビデオを観ていた米国の歌手レディ・ガガが、「ツイッターフォロワー数で世界一になった」というネットニュースを見た。2019年1月現在のツイッターフォロワー数統計を見ると、ケイティ・ペリーが1億600万人超で世界1位、ジャスティン・ビーバーが2位で、オバマ元大統領、リアーナ、テイラー・スイフトと並ぶが(ドイツのオンライン統計サイト「Statista」調べ)、当時の“SNSの女王”はレディ・ガガで、なにかと話題になっていた。しかもガガは、世界中のファン達と普通にツイッター上で絡んだりもしていた。

「返事もらえた人は超大興奮だよなあ。それに、ガガと絡めばフォロワー数増えそう」

再び「フォロワー数増やしたい」欲が首をもたげた私は、フォロワー数の多い話題の人と絡んでフォロワーを増やす「吉田豪商法」(前々回を参照)ならぬ「レディ・ガガ商法」を思いついた。なにせフォロワー数世界一だ。しかし、ガガに日本語が通じるわけがない。そこで考えた。

「よし、一目でガガのファンとわかるようにアピールしよう!」

「半魚人」ならぬ「半ガガ人」アイコンを作り、英語で必死にアピール

まずはそれまで使っていた自分のアイコン写真を打ち捨てて、自分の写真とレディ・ガガの舞台衣装とをPhotoshopで合成した「半魚人」ならぬ「半ガガ人」アイコンを作った。

まず形から入る私の「半ガガ人アイコン」を再現。ガガが新しい衣装を発表するたびに新装し、懸命にアピールを試みた。

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