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ベゾス プライベート写真脅迫事件の根っこ

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ジェフ・ベゾス氏 出典:flickr; Steve Jurvetson

大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)

【まとめ】

アマゾン・ベゾスCEOが「不倫暴露する」との大衆紙の脅迫メールを全文公開。

・大衆紙オーナーはトランプ大統領と旧知。大統領選中の醜聞もみ消しも。

・トランプ醜聞を追及するWP紙弱体化が狙い?ベゾス氏「WP手放さない」。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44077でお読み下さい。】

アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏が不倫相手の女性に送ったプライベート写真などを暴露すると大衆紙に脅迫されたメールを、自らブログで全文公開したというニュースが伝えられているが、実はこれはベゾスがオーナーである有力紙ワシントン・ポストが、ドナルド・トランプ大統領のロシア癒着選挙法違反を追及している対立構図に根ざした代理戦争である。

■ 事件の発端はベゾスの女性問題

遡ること1993年、「インターネットで本を売る」という若き野心家ベゾスの夢を叶えるため、ともにシアトルへ車で大陸横断中にビジネス企画を立て、アマゾン黎明期には経理を担当したマッケンジー夫人と結婚してから25年、今年初頭にツイッターで2人は突然離婚を発表した。

だがこれに数時間遅れて「ナショナル・エンクワイヤラー」という大衆紙がベゾスの女性問題を報じており、相手女性と交わしたメッセージの一部を掲載していた。既に昨年から、ベゾスが他の女性を同行して華々しいセレブイベントに参加する様子が何度か目撃されており、どうやら意中の人はローレン・サンチェズらしいと言われていた。

▲写真 ローレン・サンチェス 出典:Lauren 2 Go

サンチェズは映画にチョイ役で出たり、フォックス局のバラエティー番組の司会をしたり、という経歴を持つが、夫はハリウッド業界随一のタレント・エージェンシー、ウィリアム・モリス・エンデバーの共同経営者であるパトリック・ホワイトセルで、昨秋から別居していると報じられており、つまりはダブル不倫だ。

■ 選挙法違反に問われていたゴシップ新聞とD・トランプの関係

その2人が交わしたメールや写真を手に入れたナショナル・エンクワイヤラーは、俗に「スーパーマーケット・タブロイド」と呼ばれている。定期購読もできるが、多くはスーパーのレジに並んだ時に目に入るように陳列されている、カラー刷りの小さめのスポーツ紙のようなもの、と説明するとわかりやすいだろうか。そして内容はどんな文春砲も、女性自身もかなわないほどえげつない。

ナショナル・エンクワイヤラーはアメリカン・メディア社(以下AMI)の主要紙で、オーナー社長であるデイビッド・ペッカードナルド・トランプと旧知の仲という人物。同紙は金を使ってありとあらゆるセレブのスキャンダルを集めるメディアだが、なぜか大統領選挙以前からドナルド・トランプに関するネガティブなスキャンダルは掲載したことがなかった。それどころか、トランプを当選させるためにスキャンダルをもみ消してきた。

▲写真 デイビッド・ペッカーAMI社長 出典:AMI Homepage About Us

それは「キャッチ&キル」と呼ばれる手法で、トランプの大統領選に不利な情報、例えば3番目の夫人で現ファーストレディーであるメラニア・トランプ妊娠中に彼がストーミー・ダニエルズというポルノ女優と関係を持ったとか、そのうち妻とは離婚するからと嘘をついて元プレイボーイ・モデルだったカレン・マクドゥーガルという女性と不倫の関係にあった、という話だ。

女性側にはその話を特ダネ扱いするから他のメディアには絶対に喋らないという契約を取り付けた上で大金を握らせ、その後で「やはりあの話は使えない」ともみ消す。もし逆らって「約束が違う」とどこか他のマスコミに持ち込もうとすれば反対に契約違反で訴える、というやり方だ。

折りしも、そのキャッチ&キルの窓口としてトランプの指示で金を振り込んだり、相手の女性を脅したと法廷の場で認めた元用心棒(自称弁護士)であるマイケル・コーエンが、ニューヨーク南部地方裁判所で3年の刑期を言い渡されたばかりだ。この裁判の判決文に出てくる、コーエンに命令や指示を与えた「individual 1」というのはドナルド・トランプを指している。

▲写真 マイケル・コーエン(左)出典:IowaPolitics.com

トランプが大統領選挙活動中だったため、AMIによるキャッチ&キルのような活動は重大な選挙法違反なのだが、AMIは地方裁判所と交渉し、コーエン被告の行動に関する情報をすべて裁判所に伝え、今後3年間はキャッチ&キルを含めた違法行為は一切行わないという条件でお咎めなしとなっていた。

にもかかわらず、AMI側はベゾスに「今回の自分の不倫離婚スキャンダルの報道に政治的な利害関係はない(要するにトランプがらみではない)と公言しろ。さもなくばさらに10枚の卑猥な自撮り写真を掲載する」という交換条件をつきつけたのだ。ベゾスに対するこのメールが脅迫行為と認定されたり、違法に自撮り写真を入手したとわかったりすれば、AMIは非常にまずい立場に置かれる。

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