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- 2012年04月04日 07:13
日弁連会長選、三度目の投票は必要か?~原発事故という最大規模の人権侵害に対処できるのは現執行部ペアと確信
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日弁連の会長選挙が大混戦となっている。史上初めての二期目(一期2年)を狙う宇都宮健児現会長と、従来型の派閥候補である山岸憲司弁護士とが、3度目の激突をすることになったのだ。というのも、日弁連会長選は、総合得票数で最多となるだけでは、当選とはならず、全国に52ある地方弁護士会の3分の1を超える18の弁護士会で最多票を得る必要があるという会則があり、得票数では山岸弁護士が上回っているが、最多数となる地方会が18に足りないため、決着がつかないのだ。
東京や大阪などいわゆる派閥がにらみを利かせる大票田では、山岸弁護士が上回っているが、地方会では宇都宮弁護士を支持する声が大きいというのが実態だ。これまで2回の投票機会があったが(最初の選挙、二人に絞った再投票)、同じ結果だった。
3度目の投票機会(再選挙)は、4月27日に行われるが、このままだと同じ結果になるおそれがある。
個人的には、山岸弁護士が辞退されることを希望する。というのも、そもそも、弁護士会はいま、東日本大震災の対応に追われており、会長選挙をすることでエネルギーを奪われてしまうため、無投票再当選にした方がよいと思っていたからだ。
消費者運動を通して制度を変革してきた実績のある宇都宮弁護士が会長、そして、原発問題では日本で第一人者といえる海渡雄一弁護士(同じ事務所の先輩)が事務総長、というペアが偶然、東日本大震災及び東電原発事故が発生した時に、要職にいたということで、日弁連は、非常に活発な活動を続けてきた。二人は直ちに現地を視察し、事の重大さを認識し、次々と手を打っていったのだ。そのことは、日弁連のホームページ(※1)を見れば明らかだ。
※1 http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html
特に原発事故で海渡弁護士が事務総長職にあったことによって、政府の原発事故対応の遅さを指摘し、改善に導いたり、政府と協力して弁護士会として的確な救済活動を行うことができたと思う。そのことを象徴するできごとがあった。
事故が起きた当日、海渡弁護士は、この状態であれば、ベントしかないと判断し、さまざまなルートを通じて政治家にその意見を伝えていたのだ。その判断ができる弁護士は、当時、おそらく数人しかいなかっただろう。私はベントという言葉すら知らなかった。
日弁連が3・11からの約1年間、大きく貢献できたのは、まさに、宇都宮・海渡ペアだったからこそであり、そのことは多くの弁護士も理解していると思う。だからこそ、派閥の力が及ばない地方会で、宇都宮弁護士が支持されているという結果につながったのだと思う。
これに対し、派閥の指示による投票がまだ幅を利かせているとされる東京・大阪の弁護士会では、従来型の立候補者である山岸弁護士が過半数を占めている。
私は、山岸候補及びその支援者は、2回の投票結果が示す意味を理解していると思う。果たして、山岸候補が会長になったとして、現職と同じ様な的確な活動ができるのだろうか?政府側の説明に誘導されてしまうのではないか?そうなったら、犠牲になるのは、莫大な被害者だ。
もし、山岸候補が震災発生時点で会長だった場合、自主避難、低線量被曝…これらの問題について市民側の立場に立った主張をし、政策に反映させることができただろうか?
私がそう危惧するのには、根拠がある。このブログを読んできた方はご存じだが、私は原発事故発生後まもなく、東電本店で行われていた事故に関する記者会見でのやりとりで事実が明らかにされていなかったため、東電社長に改善を求める内容証明郵便を送るとともに、自ら記者会見に出て必要な情報を開示するよう東電に求めた。4月末、この会見が東電だけでなく、政府(担当政治家、原子力安全・保安院、文科省、原子力安全委員会など)も出席するようになったため、政府に対しても、市民らにとって必要だと思われる情報を求め、対策を改善するよう求めた。ところが、東電や政府は、明らかに市民の健康面を軽視していた。
分かりやすい例が、4月11日に原子力安全委員会が100mSv/年までの被曝では健康被害が生じないとの書面をマスメディアに配布し、ホームページ上でも公開されたことだ。これは明らかに間違いである。5月、校庭での活動制限に関連して、私が被曝による健康被害は比例的に考えるべきであり、100mSv/年以下でも安全とは言えないはずだ、という質問を科学的根拠に基づいて何度も質問したところ、ようやく、原子力安全保安院はそれを認め、100mSv/年以下でもリスクがあることを認める文書をホームページ上で公開したが、4月11日付の文書は修正されず放置されたままだった(私はその存在を当時知らなかった)。私は、癌で入院したため、一時的に会見への出席を中断せざるを得なかったが、再度出席するようになった後、4月11日付文書について修正を求めた。求めたのは、9月、修正されたのは1カ月後だった。地方自治体などによる被曝の説明は100mSv/年までは健康被害はないというものが多くみられたが、間違った4月11日付文書に原因があったことは明らかだ。
このように、政府などは、常に事故を軽視するような情報を発信し続けたというのが実態だ(そのことは、友人である木野龍逸氏との共著「検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか」(岩波書店)に詳しく説明した)。
そのような政府を相手に、日弁連が的確な活動を行うためには、政府の説明の問題点を直ちに指摘できるような執行部でなければならないのは明らかだ。私はそう確信している。
だからこそ、山岸候補の真摯な英断を期待したい。
とともに、やむなく、3度目の投票があるならば、東京、大阪で派閥の指示に従って投票した会員に、ここに書いたこと、震災・原発事故に苦しんでいる被害者のことを考えて、投票所に足を運んでほしい、そうお願いしたい。
ちなみに、弁護士会は、インターネットによる選挙運動を禁止している。私は、会員が陣営とは無関係に個人的見解を述べることが選挙運動になるとは思わない。それさえ、禁止するような団体が、「自由と正義」(日弁連弁護士会の会報のタイトル)を標榜できるはずがないからだ。次期会長がネット選挙を解禁することを合わせて期待したい。
日弁連の会長選挙が大混戦となっている。史上初めての二期目(一期2年)を狙う宇都宮健児現会長と、従来型の派閥候補である山岸憲司弁護士とが、3度目の激突をすることになったのだ。というのも、日弁連会長選は、総合得票数で最多となるだけでは、当選とはならず、全国に52ある地方弁護士会の3分の1を超える18の弁護士会で最多票を得る必要があるという会則があり、得票数では山岸弁護士が上回っているが、最多数となる地方会が18に足りないため、決着がつかないのだ。
東京や大阪などいわゆる派閥がにらみを利かせる大票田では、山岸弁護士が上回っているが、地方会では宇都宮弁護士を支持する声が大きいというのが実態だ。これまで2回の投票機会があったが(最初の選挙、二人に絞った再投票)、同じ結果だった。
3度目の投票機会(再選挙)は、4月27日に行われるが、このままだと同じ結果になるおそれがある。
個人的には、山岸弁護士が辞退されることを希望する。というのも、そもそも、弁護士会はいま、東日本大震災の対応に追われており、会長選挙をすることでエネルギーを奪われてしまうため、無投票再当選にした方がよいと思っていたからだ。
消費者運動を通して制度を変革してきた実績のある宇都宮弁護士が会長、そして、原発問題では日本で第一人者といえる海渡雄一弁護士(同じ事務所の先輩)が事務総長、というペアが偶然、東日本大震災及び東電原発事故が発生した時に、要職にいたということで、日弁連は、非常に活発な活動を続けてきた。二人は直ちに現地を視察し、事の重大さを認識し、次々と手を打っていったのだ。そのことは、日弁連のホームページ(※1)を見れば明らかだ。
※1 http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html
特に原発事故で海渡弁護士が事務総長職にあったことによって、政府の原発事故対応の遅さを指摘し、改善に導いたり、政府と協力して弁護士会として的確な救済活動を行うことができたと思う。そのことを象徴するできごとがあった。
事故が起きた当日、海渡弁護士は、この状態であれば、ベントしかないと判断し、さまざまなルートを通じて政治家にその意見を伝えていたのだ。その判断ができる弁護士は、当時、おそらく数人しかいなかっただろう。私はベントという言葉すら知らなかった。
日弁連が3・11からの約1年間、大きく貢献できたのは、まさに、宇都宮・海渡ペアだったからこそであり、そのことは多くの弁護士も理解していると思う。だからこそ、派閥の力が及ばない地方会で、宇都宮弁護士が支持されているという結果につながったのだと思う。
これに対し、派閥の指示による投票がまだ幅を利かせているとされる東京・大阪の弁護士会では、従来型の立候補者である山岸弁護士が過半数を占めている。
私は、山岸候補及びその支援者は、2回の投票結果が示す意味を理解していると思う。果たして、山岸候補が会長になったとして、現職と同じ様な的確な活動ができるのだろうか?政府側の説明に誘導されてしまうのではないか?そうなったら、犠牲になるのは、莫大な被害者だ。
もし、山岸候補が震災発生時点で会長だった場合、自主避難、低線量被曝…これらの問題について市民側の立場に立った主張をし、政策に反映させることができただろうか?
私がそう危惧するのには、根拠がある。このブログを読んできた方はご存じだが、私は原発事故発生後まもなく、東電本店で行われていた事故に関する記者会見でのやりとりで事実が明らかにされていなかったため、東電社長に改善を求める内容証明郵便を送るとともに、自ら記者会見に出て必要な情報を開示するよう東電に求めた。4月末、この会見が東電だけでなく、政府(担当政治家、原子力安全・保安院、文科省、原子力安全委員会など)も出席するようになったため、政府に対しても、市民らにとって必要だと思われる情報を求め、対策を改善するよう求めた。ところが、東電や政府は、明らかに市民の健康面を軽視していた。
分かりやすい例が、4月11日に原子力安全委員会が100mSv/年までの被曝では健康被害が生じないとの書面をマスメディアに配布し、ホームページ上でも公開されたことだ。これは明らかに間違いである。5月、校庭での活動制限に関連して、私が被曝による健康被害は比例的に考えるべきであり、100mSv/年以下でも安全とは言えないはずだ、という質問を科学的根拠に基づいて何度も質問したところ、ようやく、原子力安全保安院はそれを認め、100mSv/年以下でもリスクがあることを認める文書をホームページ上で公開したが、4月11日付の文書は修正されず放置されたままだった(私はその存在を当時知らなかった)。私は、癌で入院したため、一時的に会見への出席を中断せざるを得なかったが、再度出席するようになった後、4月11日付文書について修正を求めた。求めたのは、9月、修正されたのは1カ月後だった。地方自治体などによる被曝の説明は100mSv/年までは健康被害はないというものが多くみられたが、間違った4月11日付文書に原因があったことは明らかだ。
このように、政府などは、常に事故を軽視するような情報を発信し続けたというのが実態だ(そのことは、友人である木野龍逸氏との共著「検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか」(岩波書店)に詳しく説明した)。
そのような政府を相手に、日弁連が的確な活動を行うためには、政府の説明の問題点を直ちに指摘できるような執行部でなければならないのは明らかだ。私はそう確信している。
だからこそ、山岸候補の真摯な英断を期待したい。
とともに、やむなく、3度目の投票があるならば、東京、大阪で派閥の指示に従って投票した会員に、ここに書いたこと、震災・原発事故に苦しんでいる被害者のことを考えて、投票所に足を運んでほしい、そうお願いしたい。
ちなみに、弁護士会は、インターネットによる選挙運動を禁止している。私は、会員が陣営とは無関係に個人的見解を述べることが選挙運動になるとは思わない。それさえ、禁止するような団体が、「自由と正義」(日弁連弁護士会の会報のタイトル)を標榜できるはずがないからだ。次期会長がネット選挙を解禁することを合わせて期待したい。



