ジェフ・ベゾス アマゾンCEO 出典:Seattle City Council
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・ベゾス氏、不倫に関しアメリカン・メディアから脅迫受けたと明らかに。
・トランプ氏に批判的な新聞の社主べゾス氏への政権側の脅迫との見方浮上。
・べゾス氏とトランプ氏の敵対は実は表面的なものに過ぎない。
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米ネット通販大手アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が2月7日、自身のダブル不倫に関して、タブロイド紙『ナショナル・エンクワイアラー』の出版元アメリカン・メディアから、「局部が写ったものも含めたプライベートな写真を公表する」という脅迫を受けたと明らかにした。
アメリカン・メディアのデイビッド・ペッカーCEOは、トランプ大統領の数々のスキャンダルのネタ元を買収してもみ消す役割を演じてきた人物として知られる。
▲写真 デイビッド・ペッカーアメリカン・メディアCEO 出典:American Merdia, Inc.
このため、しばしば大統領に不利な報道をすることでトランプ氏の不興を買っている米『ワシントン・ポスト』紙の社主であるベゾス氏に、「大統領について悪いことは書くな」というメッセージを暗に伝えるための、政権側の脅迫ではないかとの見方が出ている。
これに対して、子供4人をもうけて25年連れ添った元妻のマッキンジーさんに1月に離婚されたベゾス氏は、みだらな写真やテキストメッセージについて、自身が浮気相手の元ニュース番組アンカーで、夫や子供のいるローレン・サンチェス氏に送ったものであると認めた。
▲写真 ローレン・サンチェス氏 出典:flicker: Keith HInkle
その上で、「ゆすりや脅迫に屈しない」と述べ、全面対決の姿勢を見せている。そのため、欧米メディアは「世界一の資産家であるベゾス氏が米大統領と対峙する構図だ」との見立てを伝えている。
一方、連邦検察当局は、アメリカン・メディアの脅迫による犯罪行為の可能性も視野に調査を開始している。
■ フェイクニュースのジェフ・ベゾス
今回の写真流出に関してベゾス氏は、「ワシントン・ポスト紙の買収が、私に複雑な状況をもたらした」と告白している。同紙がトランプ大統領の矛盾や行動に批判的で、そのためにトランプ氏が同紙オーナーのベゾス氏をツイッターなどでこき下ろしてきたからだ。
こうした構図の中で、トランプ氏に近いペッカー氏が「忖度」をしてベゾス氏の不倫ネタや写真を入手し、脅迫状を送付することになったとの見立てだ。
ベゾス氏は、「トランプを(自身の運営する宇宙企業「ブルー・オリジン」のロケットで)宇宙に放出してやる」などと過去に発言したこともあり、明らかに恨みを買う立場にあった。
一方のトランプ大統領は、「ワシントン・ポスト紙はクソ新聞」「ベゾスの新聞はアマゾンの税逃れのために運営されている」「同紙はフェイクニュースだ」などの発言を繰り返してきた。2人は、メディアという戦場では「宿敵」なのだ。
さらに、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、ベゾス氏が経営するアマゾンまでも攻撃する。たとえば、「ベゾスのアマゾンは独占禁止法違反だ」「アマゾンにインターネット税を支払わせるべきだ」「アマゾンは注文を受けた商品に対する州税を払っていない」「アマゾンは米郵政公社に不当に安く商品を配送させて、何十億ドルものカネを節税している」「アマゾンは不当な競争で多くの小売業者を倒産に追い込んでおり、不公平だ」などのツイートがそれに当たる。