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AIを駆使して社会課題の解決目指す インフラ劣化度検査を省力化する「THE JUDGE!」開発チームの挑戦

昨年11月に行われたIBMのAI、IBM Watson(以下、Watson)を活用したコンテスト「Watson Build 2018 Japan Demo Day」。数多くのIBMビジネス・パートナーが自慢のアプリケーションを披露するなか、準優勝およびオーディエンス賞に輝いたのがSRA東北「THE JUDGE!」だ。

「THE JUDGE!」はWatsonの画像認識APIであるVisual Recognitionの高い画像解析能力を活かし、インフラ設備に使われている鉄骨などのサビ具合を色味や形から判定するWebサービス。これまで多数の人員を配置し手作業でおこなっていた金属の劣化度検査を、スマートフォンなどのカメラで撮影した写真を解析することで実現。これによって圧倒的な省人化が可能になるという。

「THE JUDGE!」を使えばスマホで撮影した写真を利用してサビ具合を判定することができる ※画面は開発中のもの

プロジェクトのはじまりは「AIで社会課題を解決する」という決意

それにしても、なぜSRA東北は「インフラ老朽化」というニッチな領域にAIで挑んだのだろうか。「THE JUDGE!」を開発したSRA東北のチーフ・ディレクター 我妻裕太氏はこう語る。

「AIのハッカソンに出ると決まった時に、テーマとして『社会課題を解決する』ということを掲げました。『THE JUDGE!』の領域については、人手不足の世の中ですから、当然、検査を行う技師も足りていません。日本には沢山の鉄橋や鉄塔など、鉄骨が使われた建造物がある。これらを検査するためにかかる莫大なコストを削減することができれば、ひとつの課題が解決できると思いました」(我妻氏)
SRA東北のチーフ・ディレクター 我妻裕太氏。「THE JUDGE!」プロジェクトをリードし、見事コンテンスト準優勝に導いた

我妻氏の指摘通り、現在の日本では、一斉に老朽化するといわれている社会インフラをどのように維持・更新していくかが喫緊の課題となっている。

事実、国土交通省が運営するWebサイト・インフラメンテナンス情報には「今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込み」と記されており、その深刻さを窺い知ることができる。

また、日本のインフラメンテナンス市場は5兆円ほどの規模があると推定され、全世界では200兆円にものぼるという。こうした大きなチャンスのある領域のサービスだということも、「THE JUDGE!」の価値となっている。

検出精度約90%を計測 分析データを蓄積することでさらなる効率化も

「THE JUDGE!」の強みは手軽さだけではない。開発中の現在でも、サビの判定精度は高いものだと検出精度90%程度を計測しており、間違いの許されない現場で即戦力になるポテンシャルを秘めている。開発を担当したエンジニアの茂泉和毅氏も「Watsonの画像解析能力は高く、実装もスムーズに行うことができた」と手応えを語ってくれた。

エンジニアの茂泉氏は入社4年目。AIに関心を持っていたところ「THE JUDGE!」のプロジェクトに誘われたという

また、「THE JUDGE!」に付随するWebサービスとして、撮影した写真をずらりと並べて見ることのできる「THE GALLERY」と、判定結果と位置情報をヒートマップで可視化する「THE ANALYSIS」も同時に提供。分析データを蓄積することで、戦略的なインフラ管理をおこなうことができる。

一覧性を高めたプラットフォーム「THE GALLERY」、「THE ANALYSIS」。蓄積したデータを有効活用することができる

我妻氏はこの点について、「多数のインフラを持つ企業にとっては、どの地域からメンテナンスを行っていくかというのも大きな問題になる」と、今回のプロジェクトが単なる画像解析サービスでなく、実際のニーズに基づいたものであることが強みだと話す。

こうしたニーズの発見は、SRA東北がこれまで培ってきた取引先との関係とBtoBのサービスをやり遂げてきた実力あってこそのものだろう。こうしたビジネス面での戦略も、「Watson Build 2018 Japan Demo Day」では高く評価された。

より見やすく、より使いやすく。ユーザー目線の開発が高評価

機能面の充実とともに重視したのがその使いやすさだ。「THE JUDGE!」のアプリデザインを担当した牧野萌氏は、「アプリならではのスムーズな操作性にこだわった」と自信をのぞかせる。

「THE JUDGE!」のデザインを担当した牧野萌氏。デザインだけでなく、プログラムを書くこともあるという。SRA東北には牧野氏のようなマルチな人材が多い

また、「THE GALLERY」「THE ANALYSIS」についてはその性格上、一覧性を重視し、より分析しやすいようなデザインを心がけたという。

こうしたサービスごとの特性をチームメンバーで共有し、ユーザー目線での開発を行うことについては、今回取材した3人がそれぞれ口にしていた「新しい技術をしっかりと仕事に繋げたい」という言葉の実践ともいえるだろう。

ドローン利用、自動販売機の検査…広がる「THE JUDGE!」の可能性

我妻氏は今後の「THE JUDGE!」の活用について、自動操縦のドローンを利用した高所検査の省人化や、街にあふれる自動販売機の破損検査など、様々な展開を検討しているという。

なお、今回のコンテストで評価を得た鉄骨のサビ検査についてはすでに導入が決まっている企業もあり、何度かのフィールドテストを経て今春には実戦投入される予定だ。

SRA東北の「THE JUDGE!」開発チーム。それぞれの得意な領域を活かし、完成にこぎ着けた

AIへの先見性と、確かなニーズに下支えされた「THE JUDGE!」。我妻氏はこのようなプロダクトがSRA東北から生まれた理由を最後にこう話してくれた。

「IT分野では東京の企業が注目されることが多いが、ここ東北から世界に通用するプロダクトを作りたい。今回、『THE JUDGE!』が評価されたのは私だけでなく、チームメンバーがそうした思いを持って取り組んだ成果だと思っています」(我妻氏)

ビジネスに価値をもたらす AI、IBM Watson。同AIはクラウド上でデータをナレッジに変え、業務プロセスに組み込むことで、さまざまなビジネス価値を実現。データの中から素早く知見を見出し、顧客体験を豊かなものにし、情報と知見に基づく意思決定を支援することができる。詳細はこちら

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「AIをビジネスにつなげていく」東北のIT企業がインフラ劣化度検査アプリ「THE JUDGE!」を開発したワケ

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