- 2019年02月07日 16:50
DV事件の行き着く先 (元)妻に対する殺人 現状では確実に救済されるという保障がない
DV事件では、世間体を気にする夫は外面はよく、決して暴力は外に見えない形で行う…、しかし、行き着く先は、殺してしまう?
昨今、元妻や妻との別れ話を前提に殺害に及ぶ事件報道がやたらと目につくようになりました。殺人事件自体は減少しているにも拘わらずです。
殺人件数を犯罪白書からグラフ化
最近の報道より
「新居浜の女性刺殺 元妻殺害、懲役22年を求刑 松山地裁公判 /愛媛」(毎日新聞2019年2月6日)
「検察側は論告で、遺体に残された刺し傷や切り傷などが計50カ所以上に上るとし、「非常に危険で執念深い犯行」と指摘。元妻が同僚男性と交際していると知り、怒りなどを爆発させた動機は「一方的かつ身勝手で酌量の余地はない」と主張した。」
「元妻の母親殺害で懲役15年 63歳男に、福井地裁」(沖縄タイムス2019年2月6日)
「福井県勝山市で2017年11月、妻だった女性を殺害しようと住宅に押し入り、同居していた女性の母親を殺害したとして、殺人と殺人予備などの罪に問われた無職●●被告(63)の裁判員裁判判決で、福井地裁は6日、懲役15年(求刑懲役18年)を言い渡した。」
「妻殺害の罪で39歳男を追起訴」(NHK2019年1月31日)
「●●被告はこれまでの調べに対し殺害を認めた上で、「別れ話や子どもの親権をめぐって妻ともめていた。殺害した当日は別居中の妻が自宅に来る日で、その時に殺すしかないと思っていた」などと供述しているということです。」
「79歳妻に火つけ殺害しようとした疑い、80歳夫を逮捕」(朝日新聞2019年1月18日)
「近くに駐車していた軽乗用車内にいた宮原容疑者は「車内でもめたので油をかけて火をつけた」と話したという。車内から油が入った金属製の缶が見つかったという。●●容疑者も右足にやけどを負っていた。2人は別居中でともに市内で一人暮らしをしていたという。」
既に別居していたりで夫婦関係は破綻しているとは思われるのですが、何故か夫側は、「殺すしかない」というところに短絡的な発想になっています。
(元)交際相手に対する殺人も同様です。
「さいたま22歳女性を殺害 元交際相手25歳男の“ピカピカ経歴”」(毎日新聞2019年1月24日)
「事件のあった23日も通常通り出勤し、市役所にいたが、昼食後に「吐き気がする」などと体調不良を訴え、昼1時15分ごろに早退。その約5時間後の夕方6時ごろ、さいたま市大宮区のビル5階で、金井さんの首などをつかみ、刃渡り約20センチの包丁で切りつけ、死亡させた。
首以外の上半身にも、複数の切り傷があったというから、執拗な殺意を感じさせる。」
もともと殺人は見知らぬ関係で起きるよりも身内や顔見知りでの発生が高い傾向にあると言われていますが、それにしても別れ話を前提した殺人行為に脅威を覚えます。
これでは被害者はどうやったら逃れられるのかということで、救われる場所がありません。
今般、小4女児が虐待死した事件がありましたが、夫婦間のDVもあったとされています。
そうした中で、本気で、この妻(母)が逃げようとしたら、どこに逃げることができるのか、こうした報道を見ていれば暗澹たる気持ちにもなります。
確実に助けられるという信用に欠くわけです。
それがひいては子にも暴力が向けられているし、救済が制度化されているとはほど遠い状況があります。
「小4女児虐待死 止めないのは虐待と同じで逮捕では問題は解決しない 暴力被害にこそ目を向けるべき」
DVやストーカー被害者は、現状では逃げ隠れするような生き方しか身を守るすべがありません。その逃げ隠れに失敗すると殺害されてしまうという恐怖があります。
こうした加害行為に対する見方の根本的な変更が必要です。根本的にはここまで相手に執着し、殺意を覚えるのは病的であり、検討されなければならないのは強制入院による治療です。
「DV被害やストーカー行為の防止策 「DV歴を知る権利」、保護命令の有効性」