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介護ビジネスは介護される側の”無収入”が決定的問題。であれば、される側も稼げる循環経済を目指せば良い - 「賢人論。」第81回和田洋一氏(中編)

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超高齢社会の進行を背景に「成長産業」であるはずの介護ビジネス業界で事業者の倒産が目立つ。この問題についてこれまで幾多の経営を経験した和田洋一氏は、持続的成長を可能にするための“テクノロジー力”が不可欠だと言う。そのテクノロジーの進歩を踏まえ、中編では介護業界を経済的に回していくためのヒントとなるお話を伺った。

取材・文/青山敬子 撮影/公家勇人

年数が制限されている補助金頼みの事業は本当に難しいです

みんなの介護 これまで多くの会社で経営に身を投じてこられましたが、現在の日本の介護ビジネスの状況について、どう考えますか?

和田 詳細はきちんとデータを確認しなければわかりませんが、状況はかなり厳しいようですね。

みんなの介護 はい。東京商工リサーチが発表した「老人福祉・介護事業の倒産状況」によると、2018年の「介護事業」倒産件数は106件でした。

この件数は前年を下回ってはいるものの、倒産件数は過去3番目に多いという状況です。

和田 データでは、倒産までの年数が短くなっていることと、負債総額が低いことが目立ちますね。

これは、零細の事業者が多いことが原因でしょう。

みんなの介護 はい。行政の助成金制度を活用して起業する零細の事業者は多いようです。提出されたデータでも「計画性に問題のある事業者」の存在が指摘されています。

和田 私は補助金について「反対派」です。いろいろな会社経営に携わってきた実感として、補助金が前提の事業計画はマーケティングを間違えた瞬間にアウトとなります。

みんなの介護 介護ビジネスに限らず、マーケティングの見極めは非常に難しい問題だと言われますね。

和田 はい。どの分野においても事業には綿密なマーケティングと計画が不可欠です。

この計画に最初から補助金を入れてしまうと、どうでしょうか。当然ですが、補助金は期限が決まっています。

たとえば2年目まで補助金をもらっていたにもかかわらず、3年目からはもらえないとなると実質的な売り上げダウンになってしまいます。

最初から利益を考えず、「収支トントンで少し儲けが出れば…」というようなビジネスの計画では、3年目に突然売り上げがなくなった途端、ビジネスにかなりの支障が出てしまう。

ですから、補助金頼みの事業は本当に難しいと思います。


「価格差」で儲けるよりは「ビジネスの持続」が必要なのが介護市場です

みんなの介護 おっしゃる通り、補助金頼みの経営では限界がありますね。

また、データが示すように、深刻な労働者不足も背景にあります。

和田 労働者不足を補うために賃金を上げてしまい、かえって経営を圧迫しているケースは他業界でもみられることです。

ここで、一般的なビジネスを考えると、すぐに思いつくのは「価格差」の概念です。

典型的なのは、経費を安くできるアジアなどの海外でモノを生産して、日本で高く売るビジネス。こうすれば価格差で儲けることができますよね。

みんなの介護 そうですね。そんな狙いがあるのか、「経済活動の連携の強化」の観点からインドネシアやフィリピン、ベトナムから「外国人看護師・介護福祉士候補者」の受け入れが始まっています。

和田 ただ、介護ビジネスの場合は「価格差で儲ける」だけでは、ビジネスを持続させるための利益を生み出すのには不十分だと思います。

そこで、もうひとつ重要な概念として「スケール」が出てきます。

介護の分野に限らず、「価格差」と「スケール」の2つを事業の設計に入れなければ、ビジネスとしては成り立ちません。

では、介護ビジネスはどこでスケールさせれば良いのでしょうか。

みんなの介護 それを考えるときには介護分野の”特徴”のようなものをしっかりと把握する必要がありそうです。

和田 スケールはシステムやテクノロジー、あるいはマーケティングなどが考えられますが、介護ビジネスと他分野との相違点は、介護される側に「追加的な収入がない」こと。

なので、これらを織り込んだとしても、うまくはいかないでしょう。

介護ビジネス業界は、循環しない経済を対象としている点について自覚していなかったようです。

その点について改めて自覚的になり、これからは介護ビジネスを循環経済にするためにどうすれば良いかを考える必要があります。

介護されながらでも働ける人はたくさんいますし、最近では重度の障害がある方でもロボットの力を借りて仕事ができるようになってきましたからね。

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