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児童相談所を作れば虐待死がなくなるわけではない

 南青山での児童相談所建設問題が話題になり、賛否両論が渦巻いたが、賛成が7割と多く、港区は予定通り建設を進める手順を進めている。

 野田市の小学4年生の女児が父親の虐待で亡くなり、心が痛むが、沖縄県と千葉県の連携がもっとよかったらと思わざるとえない。

 2016年に児童福祉法が改正され、設置が義務化されている都道府県と政令指定都市、希望する中核市(2006年度に加えられた)に加えて、東京23区でも児相を設置できるようになった。港区も、その流れに乗ったのである。

 都の児相は、23区内に足立、江東、北、品川、杉並、世田谷、新宿の7箇所にあり、私は、都知事としては、これを活用すれば十分に対応できると考えていたが、2016年の法改正を受けて、港区に加えて荒川区、世田谷区、江戸川区、新宿、中野、板橋、豊島、台東、品川、文京、北、葛飾、江東区でも設置を予定している。

 ところが、練馬区のみは設置しない方針である。それは、前川区長が元都職員で福祉行政を長期間担当した経験から、区よりも都が中心のほうが上手く行くという見解だからである。

 昨年11月9日に毎日新聞に掲載されたインタビュー記事で、「区が児童相談所を設置しても区単位では問題を解決できない。都の体制でやる方が効率的で専門的な行政ができる」と述べている。「都は既に児相があり、区が児相を造っても移管しない。屋上屋を架すだけ」と手厳しい。練馬区は都と警察との連携で十分に対応できるという。

 そして、「万単位の職員がいる都でも児相を希望する職員は少ない。千単位の区では児相職員の人材確保、育成、人事異動はより難しい。区が児相を造れば、万一、虐待死事件が起きた時、区が責任を負う。対応できるのか」と疑問を呈している。

 前川区長の発言で下線を引いた部分がポイントである。今回、柏市の児相の対応が批判されているが、人材を確保できなければ問題は解決しない。今回のような事件が起こると、職員はますます児相を敬遠するだろう。

 児相を建設するだけで問題が解決するわけではない。

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