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- 2019年02月06日 07:05
曖昧な活動休止…西野カナにとって10年の歌手活動は?

BLOGOS編集部
西野が〝活動休止〟を宣言したのは1ヶ月前の1月8日のことだった。自身のホームページで「いつも応援してくれる皆さんへ」とタイトルしたコメントを出した。その内容は、
2008年にデビューしてから今まで、
音楽を通してたくさんの方に出会い、大好きな音楽に囲まれて、
最高の20代を過ごすことができました。
もうすぐ、ずっと楽しみにしていた30代。
旅行が好きなので、行きたい場所もまだまだありますし、やってみたいこともたくさんあります。
来月のライブを終えたら一度活動を休止して、期限を決めずに色々と挑戦したいと思っています。
とはいっても、やっぱり私は歌が好きで、これからもきっと毎日のように歌を口ずさんでいる気がします。
またいつか皆さんの前で歌える日が来るまで、日常の中で音楽を楽しみたいと思っています。
最後に、こんな私をいつも応援してくれる皆さんに心から感謝の気持ちを伝えたいです。
ありがとう
西野カナ

西野カナ Official Website
活動休止するコメントとしては実に曖昧過ぎる。しかも、明確な理由を説明する会見もしない。正直いって、嵐のグループとしての活動休止のネタに埋もれてしまった感さえある。それにしても、西野の突然の活動休止には「なぜ?」と思ったファンも多かったに違いない。当然のように「歌唱力の低下」という声から「曲が出来なくなった」「健康問題」、さらには「結婚準備」まで、様々な〝憶測情報〟が流れたが、どれもこれも説得力に乏しい。
もちろん、「活動休止」といっても、期間を明言していないだけに、気が変わって半年後や1年後に復帰してくるとも考えられなくもない。が、それにしても、あまりにもサッパリしたコメントだったことには驚いた。夢だった歌手になって10年。それがトップ・アーティストになったら未練は無くなったのか? まるで「もう思い残すことはない」とも読み取れなくもない。どこか温度差のようなものを感じる。
その一方で「もうすぐ、ずっと楽しみにしていた30代」との文言は気になった。しかし、それが西野にとって一つの〝区切り〟だったのだろう。
活動休止の理由は結婚?
そう考えると、今回の「活動休止」の理由は?色々と思い返すと、やはり〝結婚〟というのがシックリくる。
そもそも、今回の活動休止について、スポニチの「記者の目」では「ブレーク後も芸能人とあまり交友を持たず、大学時代の友人と定期的に集まって女子会を開いたり、旅行に一緒に行ったりした」と記していた。だったら、単に「これまで以上に自由に生きたい」というだけで「活動休止してまで…」と思ってしまうからだ。
そういったことで、改めて過去を振り返ると西野には幾つか熱愛報道があった。
三代目 J SOUL BROTHERSメンバーの今市隆二とは「お揃いのアクセサリーをつけていた」なんて言われた。他にも、ジャニーズのメンバーとの浮いた話も多く出ていたが…。もちろん、いずれも決定的なものはなかったのだが。そんな中でキャッチされたのが2016年11月の週刊誌「FLASH」の〝激写スクープ〟だった。
西野とマネージャー(当時)がペアルックでジョギングデートをしていたとか、西野の家に出入りする姿を撮られたのだ。もちろん、マネージャーなのだから「万が一のことを考えて行動を共にしていた」とも言えなくもなく、2人の関係については所属事務所も否定している。それはそれで当然だろう。
しかし、マネージャーだからといって恋愛関係にならないとは限らない。想像するに20代の西野にとっては「もっとも身近な存在だった男性」だったはずである。
そもそも、西野が理想とする男性というのは「優しい人で、(自分の)ダメなところを全てカバーしてくれるような人」なんだとか。しかも「常に寄り添ってくれている人」というだけに、その〝理想像〟に当てはめるなら、選択肢としては常に気に留め、身の回りのことをしてくれる「元マネージャーしかいない」と思うのだが、考え過ぎか?
もちろん、元マネージャーではなく一般男性かもしれない。ただ、この業界に携わってきた私の〝勘〟である。もっとも「結婚」だけで「休業」というのも不自然には思うが、西野は「結婚願望が強い女性」とも聞く。デビュー当時は「学業」と「仕事」を両立させてきたことはいうまでもないが、30歳。そして「結婚」となったら、彼女の中では、仕事との〝両立〟ということではなく、彼女の中のドラマティックな生き方として「結婚生活」を選んだとしても不思議ではない。もし、そうだとしたら、それが彼女の生き方だからだ。
西野は2005年、16歳の時にソニー・ミュージックアーティスツと角川映画のオーディションで見出され、その後、08年に「I」でデビュー。2年後の10年には「第61回NHK紅白歌合戦」に初出場し、その後、「紅白」には9年連続で出場を果たしている。11年には日本武道館公演も行った。
また、かのマネージャーとの熱愛が発覚した16年には28枚目のシングル「あなたの好きなところ」が「第58回日本レコード大賞」を受賞している。平成生まれのソロ・アーティストとしては初めて「大賞」として話題になった。
そして10年間に発表してきた作品は175曲。デジタル音楽配信は5500万ダウンロード以上に及んだ。コンサートも211公演を行い、114万人を動員してきたという。
ここ数年は「CDセールスも落ちている」というが、それは西野に限ったことではない。CDセールスの低迷というのなら音楽産業全体の傾向である。
だが、西野の生き方は生き方として尊重するが、現実は、これだけの実績と影響力を持った歌手である。だとしたら簡単に「活動を休止したい」なんて言えない。今回、西野が事務所やレコード会社、さらには関係各所と、どういった話し合いをし、合意をしたのかは分からないが、少なくとも1年以上前ぐらいから動いてきたと思われる。
もちろん、ここ数年の流れとして、自分の〝考え〟〝希望〟が優先される時代になったことも事実。その最たるものが、元歌手の安室奈美恵さん(41)の引退だった。デビュー25周年と40歳を迎えたことを区切りに昨年9月16日に惜しまれながらも芸能界を引退した。
さらに、嵐の活動休止。同じジャニーズ事務所ではタッキー&翼が、昨年9月に〝解散〟。タッキーこと滝沢秀明は芸能界を引退してプロデューサーとして裏方に徹することになり、相方の今井翼は事務所を退社した。
SMAPの解散騒動とは比較にはならないが、これまで閉鎖的だった芸能界の中で意識変革をもたらしたことは確かだろう。それも僅か2年の間に芸能界は目まぐるしく変化している。
しかしこれは、あくまで私個人としては、結婚するのかどうかはさておき、これまで応援してきたファンに対してあの素っ気ないコメントというのは如何なものかと思わざるを得ない。嵐だって説明に説明を重ねた。それでも「無責任という声があるが…」なんて言われてしまう。真意を伝えるのは大変なことである。いくらコンサートで語ったとしても、どうしても雰囲気に流されるだけに曖昧になるだけだ。
確かに個人の意見が尊重される時代になったとはいっても、西野にとって、ファンにとって、この10年の歌手活動というのは一体、何だったのだろうか?と思ってしまう。
また戻ってくるだろう、という思いがあるだろうし、とりあえずは納得するしかないのかもしれないが…。
- 渡邉裕二
- 芸能ジャーナリスト
芸能ジャーナリスト。静岡県御殿場市出身。松山千春の自伝的小説「足寄より」をCDドラマ化し(ユニバーサルミュージック)、その後、映画、舞台化。主な著書に「酒井法子 孤独なうさぎ」(双葉社)など。