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企業活動は福祉を達成できるのか

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大手コンビニチェーンのファミリーマートが「こども食堂」を実施するという。

ニュースリリースによると、この活動は「地域の子供たちと保護者が一緒に食卓を囲んでコミュニケーションをとり、地域の活性化につなげる」ということを目的にしているという。

参加料金は小学生以下の子供が 100円、保護者は400円。食事が40分にバックヤードやレジ打ち体験などのイベントが20分の約60分のプログラムとなっている。(*1)

さて、僕が引っかかったのは「こども食堂」というワードである。

「こども食堂」とは、十分に栄養バランスの整った食事を取れない子供たちを支援するために、個人やNPO団体など、多くの人々が関わって作り上げた相互支援のシステムである。

ファミリーマートがこの言葉を使用するということは、事業に福祉的な意味合いが付与されることになる。

しかしながら、確かに子供とその親に安く食事を提供することには違いないが、かといってそこに福祉的な意味合いは薄い。

ファミリーマートの実施内容は、こども食堂というよりは、どちらかといえばマクドナルドが行っている「マックアドベンチャー」(*2)などに近いものではないか。

こうした店舗と近隣の人たちを結びつける試みは、子供とその親に店舗ブランドへのイメージを良くしてもらい、お客さんとして末永く利用してもらうための手段である。

そのことが悪いわけではないが、そこに福祉的なイメージを結びつけてしまうのは安易ではないかと思う。

実際、この報道を見た人たちが「ファミマが素晴らしい福祉活動をしている」と賛美する様子が、ツイッターなどで見られる。

また「ファミマのこども食堂で救われる子供がいる」と、かなり大げさなことを言っている人もいる。

「こども食堂」という言葉を使うことで、実際のファミリーマートの活動内容とイメージされる活動内容が大きく離反していること事実に対して、僕は強い違和感を覚えた。

そしてついには「企業による福祉が実現するのは素晴らしいことだ。それを批判することは許さん!」などという人が現れてしまった。事ここに至ると、企業という存在に対する異様に素朴な信頼感が、社会を強烈に分断している事実に、恐怖しか感じないのである。

少し話を変えよう。

2016年に「子供の未来応援基金」の一周年の集いにおいて、安倍晋三総理大臣が「こども食堂」という言葉を用いたメッセージを発表して批判を浴びた。(*3)

本来、子供の衣食住や勉学の権利は国が保証するべきであるはずが、残念ながら福祉の網からこぼれ落ちてしまう人達がいる。 そうした子供たちを、個人やNPO団体がその良心をもって助けて来たのがこども食堂であるにもかかわらず、福祉の網からこぼしている側の行政の長が「こども食堂の人たちが子供たちを助けている」という現実を、さも素晴らしい日本の姿であるかのように主張することは、当然おかしいのである。

「国が守るべき子供の権利を、こども食堂のような個人の良心に支えてもらっている現状が恥ずかしい。子供を福祉の網からこぼさないように、国はもっと努力をしなければならない」これが本来あるべき、行政の長としての認識である。

企業も同じである。

かつて、社会評論家の古市憲寿氏が、牛丼を「日本型の社会福祉」と評したことがあった。(*4)

「北欧では労働規制が強く時給も高いことから外食が高い。一方で日本は誰でも安く食事を取ることができる。日本は企業サービスという形で社会福祉実現していると言える」という論旨だ。

しかし、この主張に対しては「その産業を支えているのはアルバイトの貧困層であり、かれらの待遇を悪くしているからこそ、安く牛丼を提供できるのだ」という批判がされた。

すなわち、産業そのものが格差による貧困を産みながら、それが故に安く食品を提供できることを「福祉」という言葉で取り繕うべきではないという批判である。

当時はちょうど牛丼店の深夜のワンオペや、効率の悪い新メニューによる過大な負担がオペレーションの破綻という形で可視化され、牛丼チェーンが批判されていた時期だった。

今回のファミリーマートによるこども食堂も、報じられている分だけではどのようなオペレーションで行われるのかがわからないのでなんとも言えないが、現場のオーナー店長やアルバイトの負担によって行われるのであれば、それは「牛丼福祉論」の再訪であると言える。

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