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東大・京大・医学部 現役合格率上位115校

公立高校が躍進し一流大学への進学ルートに変化が生じている。我が子の進学先を決めるのに昔の常識はもはや通用しない。東大・京大・医学部に強い公立高校の最新動向に迫る。

■公立名門校が大復活した理由

大学進学における高校の勢力図が最近、激変していることをご存じだろうか。要因の1つが公立高校の復権だ。プレジデント誌では、2018年の東京大学・京都大学・国公立大学医学部医学科の現役合格者数合計が、卒業生数に占める「合格率」を独自に算出した。その結果、東京の日比谷、大阪の北野、京都の堀川をはじめとしたトップ公立高校が、目を見張るほどの合格実績を出していることがわかった。

写真=iStock.com/wnmkm

公立高校の全国ランキングを見ると、東京では一時は衰退した「都立名門校」の復活が顕著だ。橋下徹氏が卒業した大阪府の北野、盛田昭夫(ソニー創業者)の出身校である愛知県の旭丘といった名門も健在だ。公立高校が躍進したのは、「行政が公立高校のテコ入れに乗り出したから」と、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は説明する。

おおた氏は、都道府県も教育の「選択と集中」に舵を切り、「教員や設備といった教育資源を、公立トップ校に手厚く配分するようになりました」という。「今の流れは間違ってなく、自分に適した学力の学校で学べることが本当の機会の平等といえます」(おおた氏)。

Z会上席執行役員中高事業部長の宮原渉氏は、公立トップ校が伸びている理由を解説する。

「例えば、東大合格者をどのくらい輩出しているかで、データとノウハウの蓄積量に差が出ます。日比谷のように何十人も合格者を輩出できるようになると、受験指導の精度も上がっていきます。また、生徒同士で、東大受験の情報を交換したり、刺激し合ったりできる効果も見逃せません」

ランキング上位の大半は、旧制中学からの伝統を誇る、いわゆる「ナンバースクール」で、もともと進学実績が高い。地域別のランキングでは、すべて東京と都道府県庁所在地の高校が首位を独占している。そういった意味では、全国ランキングでトップ10入りした愛知県岡崎市にある岡崎高校の実績は際立っているといえる。このほか、関東の小石川中教や中央中教、中国地方の広島、岡山大安寺中教、倉敷天城といった公立の中高一貫校の伸びも目覚ましい。

■1位北野、2位堀川、公立は京大に強い

「地方では、やはり公立高校が強い。トップ20には、東京はたった2校しか入っていません」と、おおた氏は話す。その理由はズバリ、「地方には強敵となる私立高校が少なく、公立高校が地域の優秀な生徒を確保しやすいから」と、宮原氏は明言する。私立を含めても、新潟(6位)は新潟県の、膳所(7位)は滋賀県の、仙台第二(12位)は宮城県のトップだ。

また、京大のみの合格率を見てみると、公立高校の強さが際立つ。宮原氏は、次のように分析する。「東大入試は時間配分等の戦略的対策が必要となり、受験者が多く情報が集まりやすい私立トップ校が有利になりますが、京大は科目の地力が問われるような出題が多く、公立高校の生徒でも十分に対応できるという面もあります」

ランキングで異色なのが、2位の京都の堀川。洛北(旧制京都一中。54位)などの公立名門校を引き離し、京都府の公立トップ校に躍り出た。「好きな課題を集中的に学べる探究学科群の設置といったユニークな取り組みで、能力のある生徒を京都全域から集めることに成功しました」(おおた氏)。

■公立中高一貫は、コスパ最強なのか

公立高校の進学実績を押し上げているのが中高一貫校だ。全国トップ20までに、東京都の小石川中教(10位)、群馬県の中央中教(14位)、京都府の西京(14位)、千葉県の県立千葉(16位)がランクインした。

中高一貫校の進学実績が伸びているのは、「地域の優秀な子どもを、青田買いで囲い込めるからです」と、おおた氏は説明する。実は、県立千葉などの例外を除いて、都道府県のトップ校が中高一貫校に転換するケースはほとんどない。高校のままでも、優秀な生徒を集められるブランド力があるからだ。

「中高一貫化するのはNo.2、3の高校が多いのですが、それでも人気を集めるのは、高校受験をしなくてすむからです。貴重な思春期を受験勉強でロスすることなく、有効活用できる意義は大きい。中学と高校の学習内容を統合し、効率的なカリキュラムを組むこともできます」(おおた氏)

一方で、宮原氏は注意も促す。「カリキュラムを前倒ししている一貫校が、必ずしも受験に有利とは限りません。進度が早い分、理解が不十分で、授業についていけなくなるリスクも高まります」

■人気が人気を呼ぶ学区制と実力の関係

公立高校が台頭した背景には、都道府県の学制改革もある。特に影響が大きいのが学区の拡大だ。

「仙台第二(12位)が、仙台第一(115位)を抑えて宮城県のトップ校になったのは、仙台市の中で学区が分かれたときに、仙台第二がある学区のほうで都市開発が進み、教育熱心な層が多く住み始めたからです」(おおた氏)。宮原氏は、「学区を広げれば、トップ校に優秀な生徒が集まりやすくなり、生徒同士がより切磋琢磨することで、高校の学力もレベルアップします」と説明する。小学区システムによって、東京や京都の公立高校の学力が凋落したが、そうした反省から、都道府県で高校の学区の壁を取り払う動きも相次いでいる。

「例えば、日比谷(3位)は現在、東京都のどこからでも受験できます。北野(1位)も大阪府全域から受験できる文理学科を設けたのが奏効しました。堀川(2位)も、探究学科群は京都府全域から生徒を集めています。一方、福岡県などでは小学区制が残っており、全国的に見れば不利な状況ですが、修猷館(23位)は優れた進学実績をあげています」(おおた氏)

■トップ校の校風、成長株の校風

高校を選ぶ際、サポートの手厚い学校か気になる親も多いだろう。ただし、「学校の指導だけで、大学受験のテクニックが身につき、難関大学に入りやすくなると考えるのは間違い」と、宮原氏は説く。

実際に、全国トップ校の多くは、公立、私立を問わず、指導が手厚いというよりは、生徒の自主性を重んじる校風だ。また、自由な校風の学校も多く、「愛知県の旭丘(5位)は生徒が自治を行い、制服もありません」とおおた氏はいう。

宮原氏は校風についてこう語る。

「近年優秀な生徒を集めているのは、学校をあげて新しい取り組みをする教育熱心校。代表例は京都の堀川(2位)ですが、今はつくば市の並木中教(93位)が地域性を活かした科学教育で評判です」

東大が推薦入試を始めた今、このような教育熱心校はさらに合格実績を伸ばしていきそうだ。

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おおた としまさ

教育ジャーナリスト

リクルートから独立後、教育に関する書籍やコラム執筆・講演活動を行う。著書に『地方公立名門校』(朝日新書)など。 



宮原 渉

Z会上席執行役員中高事業部長

毎年の東大合格者が1000人超の実績を持つZ会の通信教育(中学・高校生向け)の統括責任者。 

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■【図表】東大+京大+国公立医学部現役合格率トップ公立高校2018

(ジャーナリスト 野澤 正毅 撮影=むかのけんじ 写真=iStock.com)

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