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海賊版ブロッキング問題再び、今度はアクセス警告方式が登場

なんかいっぱいメールやメッセージが来てるなーと思って開いてみたら、原因はこれでした。

政府、海賊版視聴に警告画面 接続遮断「対策後に判断」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40776860R00C19A2EA3000/

 は? アクセス警告方式ですか?

 これは「アイデアとしてはともかく技術的に実現できないのでは」と言われていた東京大学の宍戸常寿先生がブロッキング関連議論の代案として提唱されていた内容にとても近いですね。

ブロッキングに代わる「海賊版対策」の切り札? 東大・宍戸教授「アクセス警告方式」提案|弁護士ドットコムニュース https://www.bengo4.com/internet/n_8424/
アクセス警告方式について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/kaizoku/dai5/siryou11-1.pdf

 で、当然のことながら (1) ユーザーがアクセスしようとした先をすべて監視することになるために検閲を禁じる憲法違反の疑いが強い (2) 暗号化通信が進めば方式そのものが有効ではなくなる (3) そもそもブラウザレベルの話なのかOSでやるのかすら不明でどう実装されるのか技術的にも困難である、ということで、一度は忘れ去られた案のはずでした。

 通信事業法にも抵触するうえに、ブラックリストの作成も網羅的に済ませておかなければなりません。実際にやるなら、これ文字通り「日本版金盾」ですね。

 日本経済新聞の誤報の疑いもあるわけなんですが、文中に味わい深い文言が幾つか入っているので、釣りの可能性も疑いつつもピックアップ。
引用>>漫画やアニメを著作権者に無断で掲載する「海賊版サイト」対策を巡る政府の基本方針が明らかになった。まず利用者が海賊版サイトを視聴しようとした際、警告画面を表示する仕組みを導入する。<<
 冒頭からして、これ。海賊版サイト対策における政府の基本方針がアクセス警告方式であるという話で、政府の誰がどこで基本方針としてこの話題を持ち出したのかが不明です。
引用>>文化庁の文化審議会は1月25日、罰則規定の詳細をまとめた。著作権者に無断で公開された漫画や小説の「静止画」をダウンロードする行為を違法とし、刑事罰を科す。<<
 すったもんだしている文化庁の静止画ダウンロード違法化までしれっと書かれております。すでにいろいろと騒がれ始めてはおりますが、スクショ取ってTwitterに晒したら違法となりかねないクソ法改正案であることは言うまでもありません。大丈夫なのでしょうか。
引用>>政府は著作権者の利益を守るための対策として法制度を変えることなく速やかに取り入られると見ている。総務省が近くISP(インターネットサービスプロバイダー)と話し合う。<<
 こんなことを言っている政府の要人は誰なのかいまひとつ判然としませんが、総務省やISP方面に話を聞く限りでは「なんだそれ」という反応でしたので、官邸の不思議な人たちの間でだけそういう話で盛り上がっていて総務省に落ちてきていないのかなという印象はあります。
引用>>コンテンツ海外流通促進機構の推計では海賊版による出版業界の被害額は約4000億円。<<
 これもいつもの寝言で被害額盛りまくったカドカワ・川上量生さんの定番芸と同じです。川上さんはアレすぎて審議には入っていないようですが、往生際悪く巻き返しに出ているのかもしれません。

 いずれにせよ、これは筋が悪いという内容がすべて盛り込まれているのを見て、釣り針にしては大きすぎる気もしつつ要警戒、といったところでしょうか。

(追記 02:07)

 重要なポイントを見落としていました。
引用>>ネット業者のサービスの利用規約である約款の変更によって可能になる。<<
 つまり、プロバイダー(ISP)の利用規約・約款を変えてしまえば法改正や新法なしにサイト遮断(ブロッキング)よりも程度の低いアクセス警告方式が実現できると政府が誰かから吹き込まれて思い込んでそれでいけとなった気配が強く感じられます。

 当然、利用者にとっては不利益変更の最たるものですから承認が必要な作業で規約変更のコストはプロバイダーが負うばかりでなく、前述の通り技術的にブラウザでやるのかOSレベルなのか、さらには暗号化通信対策がPCにもスマートフォンにも必要になるので、実際にはアクセス警告の対象URLがリスト化するところで話がストップし、海賊版サイトを遮断したくてもできないという結論になりそうです。

 静止画ダウンロード違法化もかなり頭おかしかったですが、これはかなり本格的に妙な話になっているので、そろそろどげんかせんといかんレベルなのではないでしょうか。


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