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  • Dain
  • 2012年04月01日 21:48

さよなら、プリキュア

はっきりいって、俺サマ大勝利の気分だった。

 人目を気にしぃ映画館に集結するヲタを尻目に、「パパと一緒に観ようね」と娘の手を引き入場行進できる優越感。「ミラクルライトは子どもだけ」という制約には、「2回行けば平和的解決」とオトナの対応。

 しっかし、今度のプリキュアはスゴいね、ごく普通の、ただの女の子、なんたって戦わないプリキュアだもの。抱きしめるだけで昇華させられるって、なんという女神だろう。わたしの知る限り史上最短は10センチ爆弾だけど、そいつを超えるゼロ距離攻撃だぜ。

  大切な人を守りたい
  そんなやさしい心があれば

  女の子は誰だって
  プリキュアになれる!

 だから俺だってプリキュアになれる!ピンチのときは「プリキュアに、力を!」と(心の中で)唱えつつ、ジャラジャラさせながら歴代ミラクルライトを一斉に点ける。月光に照らされた蛍の群れのような館内で、ここだけ薔薇色と日光の輝きに満ちあふれる。「なにあれー」「スゴーい」鵜の目と鷹の目でこっちを見てる女児(およびミラクルライトを持たないヲタ)の視線を浴びていると、我が鼓動は激しく律動し、我が松果体から変な汁があふれ出る。

 ところが、である。桃の花が咲く頃から、近所の女児たちで、脱プリキュアが始まったのだ。ポケモンからモンハンに移行するように、プリキュアからプリティリズムに移り変わる。高価な玩具を買ってもらう代わりに、フィギュアスケート教室へ通いだす児もいる。

 でもあれって変だよ!美しい旋律に合わせ、「お洋服の声が聞こえる」と叫びながらジャンプするだけで、マカロンやら果物が出てきて、だいたいあれ、"プリズムストーン"って初代のパクリやん、パパ許しませんよ! (あとちっちゃくない種島さんも)。どちらが本家か、黒白はっきりさせようじゃないの。

 …とはいえ、冷静に考えると、他人事ではない。「Change!」(バラク・オバマ)、「気合だキアイだ」(アニマル浜口)、音撃棒(響鬼)、サザエさんじゃんけんなど、換骨奪胎はよくあること。大きな声では言えないか、海より広い心で受け止めてあげましょ。

 だが、いつか告げられる日がくるかもしれない、「パパ、まだプリキュア見てるの?」ってね。だから、これは一時の夢なのだ。休日の陽気な日差しを浴びながら、嫁の冷たい視線も一緒に浴びながら、薄荷に檸檬を混ぜたジュースでも飲みながら、苺ケーキを食べながら、紅顔の娘と仲良くプリキュアを鑑賞するなんて。

 ひょっとすると(しなくても)来年、いやもうすぐなのかもしれない。「パパ、なんでプリキュア見てるの」と問われる日が。わたしの答えが何であろうとも、反応は分かっている。嫁と同じ眼になるだろう…

 そのときは、心の中で告げるんだ、「さよなら、プリキュア」ってね。そして、もって行き場のない情熱を抱えながら、録り溜めしたプリキュアを深夜に再生するんだ。その日がくるまで、この幸せを噛みしめよう。

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