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尾畠春夫さん「一番怖いものは自分」

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■ボランティアの前にボランティアをする

尾畠さんの一日を、尾畠さんの近くでボランティアをしていたという人に教えてもらった。彼は尾畠さんの存在を知って、東京からボランティアをしにやってきたという。


写真は、熊本地震(2016年)のときのもの。

「朝は9時に呉ポートピアパークで受付をし、そのあと呉市の天応市民センターで、作業の内容と場所が決まり、15時まで作業をします。尾畠さんはいつも一番大変そうな作業を率先してやると手をあげています。先ほど雑談をしていたら、昨日の睡眠時間は3時間だそうです。朝5時に起きて、川に流されてしまったという子どもの捜索をしていたのです。捜索のあとで、通常のボランティア活動をし、15時が過ぎても作業を止めずに17時まで居残りで黙々と頑張っています」

「現在の作業は、重機が入れないような住宅の床下の土砂をひたすら外に出すことです。作業前に、『連絡係』というリーダー的な存在を決めるのですが、尾畠さんは自分から手をあげることは私の前ではなかったです。連絡係にならないと、必然的に尾畠さんは、自分より2回りも3回りも若い人の指揮系統下にはいることになります。尾畠さんが自分より若い人の話をきちんと聞き、深々とお辞儀をしているのをみると胸が熱くなります。尾畠さんは常々『リーダーは女性がいい』とおっしゃっています。とは言うものの、抜群の経験と能力がありますから、現場では、みんな、尾畠さんに頼ることになってしまうのですけど」

■尾畠春夫という生き方とは

2年前に起きた熊本地震で、尾畠さんとともにボランティア活動をした深作光輝ヘスス氏は、尾畠さんが「(ボランティアを)やらせていただきます」「(若い相手に向かって)ご指導ご鞭撻ください」と平身低頭して発する言葉に感銘を受けたという。



「被災地は肉体的にも精神的にもギリギリのところまで追い詰められます。ある社会協議会の職員は、自らが被災者であり、父を亡くしたにもかかわらず、『支援者』でもありました。父の葬儀のために一日休んだのみで3カ月無休の勤務を続けていました。それが被災地の現実なのです。

一日の作業を終えたあとで、尾畠さんが、その日壊れた機材を修理し、ハンマーなどのメンテナンスを終え、整理整頓し、何もやることがなくなったことを確認したあとで、スタッフに『明日もやらせていただきます』『ご指導ご鞭撻ください』と深々とお辞儀をする姿を、疲れ果てて休んでいた私たちボランティアは何度も目にしました。

被災者、そして若いボランティアたちは、慣れない生活、業務、被災地の現実に直面しながらも、尾畠さんのひたむきな支援の姿勢、そして何も文句を言わずにできることをまっとうしようとする後ろ姿に勇気づけられるのです。『尾畠春夫』という生き方そのものが、他者の力になっていくのだと信じています」

(プレジデント編集部 写真=深作光輝ヘスス、プレジデント編集部)

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