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スーパーボランティア「尾畠春夫さん」1100km徒歩帰宅中


「世界のこどもたちの幸福をねがう旅 79歳と3ヶ月の挑戦」。こう書かれた旗を掲げ、歩き続けるのは、2018年8月に山口県で行方不明となっていた男児を救出し、時の人となった「スーパーボランティア」こと尾畠春夫さん(79)。

 1月18日、東京から、自宅のある大分県日出町まで徒歩で帰ることを宣言。距離にして、約1100キロ超もの道程だ。早速、本誌は尾畠さんを追って、西へと向かった。

 1月23日の昼過ぎ、本誌は神奈川県厚木市内の国道で尾畠さんを発見。だが、ワイドショーの中継で来ているテレビクルーだけでなく、大勢の人に囲まれているではないか。

「尾畠さんは、『頑張って』と声をかけられれば、1人ひとりと話し始めたり、握手したり、写真を撮ったり、サインをしたり……」(テレビクルー)

 中継を見たのか、次から次へと人が集まってくる。歩道には長い行列が……。ジャージにサインしてもらった男子中学生は、「一生の宝です」と感激していた。

 差し入れが次々と集まる。食べ物やお茶が多く、ひとりで食べきれないほどのフライドチキンのバケツもあった。行列の最後尾のほうに目をやる尾畠さんに、本誌は声をかけた。

――疲れませんか?

「(頭を指さし)ここがね」

 夜7時30分過ぎまで、この場所に留まったままの尾畠さん。この間、食事もとらず、トイレにも行かない。結局、3キロも進めていない。


 この日の宿泊場所は、道すがら知り合った大分県出身の女性宅敷地内の物置だ。娘からもらったという高級寝袋に、自動車のカバーを巻いた特製寝具で寝支度をする。氷点下でも暖かいそうだ。寝る前の尾畑さんに話を聞いた。

――なぜこの旅を?

「世界中の子供の幸福のため。小さな子供への虐待が多すぎる。道行く人は、ワシのノボリの文字を読んでもらえばいい」

 道中の尾畠さんは、風呂にも入らず、洗濯もせず、パンツも同じものを穿いたままだ。旅の資金は3万円だが、「一度も使ってない」という。じつは持病があるというが、「どこかは企業秘密です(笑)」。

――臭いませんか?

「人間は生まれたときから体臭がある。(本誌記者に対して)オヤジさんにも臭いがあるでしょ」

――今のペースでは、夏を過ぎるのでは?

「過ぎてもいいかもしれんな。盆には間に合うわ(笑)」

 2日後の1月25日午後、本誌は尾畠さんを神奈川県伊勢原市内で発見。竹で作った自身の特製台車を、1月24日に寄付された一輪車に代え、荷物を載せて押していた。だが、また人が列をなしている。

 夜8時を回っても10人ほど。9時過ぎ、沿道の農閑期の農家のビニールハウス内にテントを張り、ようやく夕食をとる。この日、尾畠さんはよく咳をしていた。

――大丈夫ですか?

「大分より、空気が汚れちょるしね。でも大丈夫」


 夕食の献立は、差し入れされた惣菜や弁当、パンなどだった。ちなみに尾畑さんも自分で携行食を準備していて、野草を乾かして作ったものだという。記者が食べさせてもらったが、塩気があって意外とうまかった。

――今日も昼食を食べていませんでしたね。

「みんな、ワシに会いに並んでくれちょるのに、『ちょっと待って、飯食うわ』なんて、言えんわ」

(週刊FLASH 2019年2月12日号)

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