- 2019年01月31日 10:52
「やりたいこと」が見つかるとは限らないけど、可能性は自分で高めていける──印度カリー子
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「やりたいことができないのはなんでなの?」と先輩に詰められた
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最初のうちは、企業から相手にされなくて大変だったと伺いました。
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そうなんです。企業にスパイスを取り扱ってくださいと問い合わせても、全然相手にしてくれてなくって。諦めかけていたんですよね、実際。

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でも今は、スパイスを製造してくれる企業と出会い、メディアにもたくさん活動を取り上げられていますよね。
突破口は何だったんですか?
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同じ学校の授業でたまたま出会った先輩に、「私はインドカレーを世の中に広めたい」という話をしたんです。そしたらその先輩が、すごく興味を持ってくれて。
それでいろいろ話していたら、「今、やりたいことがあるのに、できないのはなんでなの?」って聞かれたんです。
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おお。
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「取り扱ってくれる人がいないんですよ」って答えたら、「日本全国にこんなにたくさん企業があるのに、本当にいないの? 全部リストアップした? メールや電話はした?」って問い詰められて(笑)。
そう言われたときに、「私まだ全然やってないじゃん」って気づきました。

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すごい先輩ですね。
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はい。そしてまた翌日も、同じ先輩に呼び出されて。
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呼び出された!?
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そうなんです。今の問題点をノートに書き出して、と言われて……。「スパイスセットを製造してくれる会社が見つからない」って書いたら、「じゃあその可能性のある会社を全部探して、今日中に電話して」と言われて、すぐに電話をかけさせられました(笑)
けど、結局そのときも全部の会社に断られたんです。それで「やっぱり無理じゃん」って思ったんですが、先輩の「本当にいないの?」という言葉が、なんだかずっと心に残っていて……。
そうしていろいろ試行錯誤しながら電話をかけているうちに、話が進んでいきました。

カリー子さんがインターネットで販売しているスパイスセットは、宮城県にある社会福祉法人「はらから」で製造されている。
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カリー子さんは最初からやりたいことに向かって行動できていたわけではなく、立ち止まっているときに背中を押してくれる存在がいたんですね。
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はい。本当に巡り合わせなんだなって感じます。
あの先輩が、なぜあそこまで言ってくれたのか全くわからないんです。会ったのは授業のそれっきりだったので……。早く感謝を伝えに行った方がいいですよね(笑)。
今はやりたいことがたくさんあって、全部あきらめたくない
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注目される機会が増え、スパイスショップも軌道に乗っている今だからこそ感じている課題はありますか?
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うーん……。ちょっと余裕がなくなってきています(笑)。いただいたお仕事の話を全部引き受けていると、卒論を書く時間がない状況になっちゃって。卒論も、自分が本気でやりたいことなので、なおざりにしたくないんですけれど。

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両立する時間をどうやって作っていくかですね。
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はい。たとえば何かしらのイベントに参加するとなれば、その準備には1カ月くらいかかります。そうしたことが積み重なってくると、どんどん余裕がなくなってくるんです。
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大変そう……。
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たしかに大変なんですが、そういう大変さにはストレスを感じません。本当にやりたいことをやっているときは、ストレスがたまらないんですよ。やっているときに「辛い」とか「うわっ、めんどくさ!」とか思ったら、実はそれは本当にやりたくはないことだと思うんです。
今はやりたいことがたくさんあるけれど、全部あきらめたくないと思っています。
やりたいことに向き合い始めたら、黄色い線の外側を歩けなくなった
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カリー子さんは自分が「やりたいこと」と向き合い始めて、何か変わったと思いますか?
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もう、日々すべてです。毎日作るカレー、人との出会い、すべてが自分にとって印象深い思い出になる。3年前の、何もなかった頃の自分には戻りたくありません。

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カリー子さんのように自分の中で「これがやりたい!」というものが定まると、主体的に毎日を生きられるようになり、日常のあらゆる物事が、全く違ったように感じられるのかもしれませんね。
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本当にそうだと思います。だから私、今絶対に死にたくないんです。駅のホームで黄色い線の外側は絶対に歩けない(笑)。それくらい、生きたいという思いが高まっています。明日もきっと最高だから。

執筆・多田慎介/撮影・尾木司/企画編集・鈴木健斗



