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特別養子縁組15歳未満に拡大案

法制審議会(法相の諮問機関)の部会が、昨日29日、生みの親が育てられない子と、子を育てたい夫婦が法的な親子になる特別養子縁組の見直し案をまとめました。「原則6歳未満」としている対象年齢を「原則15歳未満」に引き上げることと、養子縁組の手続きの際、養親となる人の負担を軽減することが主な柱です。

法務省は、法制審からの答申を受け、民法改正案などを通常国会に提出する方針、と報じられています。特別養子縁組は、1987年に導入されました。その際には、法学者だった父、加藤一郎も積極的に関わった、と聞いています。

特別養子縁組をすると、戸籍上、ほんとうの親子になることができます。これまでは、子どもが養親になじむことができるのは年少のうち、という考え方から6歳未満とされてきました。しかし、虐待などで保護される子どもが増え、厚生労働省が、そうした子どもを育てる社会的養護は、大規模な児童養護施設などの施設ではなく、里親、特別養子縁組をした養親など、家庭的なものに転換する方針を打ち出したことなどが、見直しの背景にあります。

子どもの権利条約などの子どもは18歳未満なのですが、15~17歳も例外的に対象とするという規定が示され、15歳未満という案になりました。厚生労働省の考え方の方向性はよいと思いますが、年限を決めて、乳児は施設には入れない、子どもたちは家庭に、という方針を打ち出し、社会的養護をしている施設、現場から反論が出ていて、混乱しています。私も、現状に合わせて進めないと、子どもたちが困ることになると危惧しています。

私が住んでいる軽井沢町にある児童養護施設「軽井沢学園」では、施設が古くなったのでユニットがいくつかある、同じ場所でのグループホーム化をする再建案を進めていましたが、県の方針も決まらず、宙に浮いて困っています。国の方針を受けて、児童相談所から委託される子どもが来なくなり、子どもたちの数が減ってきている、ということです。親が育てられない子が減っているのではないので、処遇されずにいる子どもが増えているのではないかと心配です。

今回の案のように、特別養子縁組の対象年齢を拡大すること、また里親になれるのが65歳までというのを70歳まで拡大することも考えられていますが、まず、受け皿を増やしてから、方針を決めるべきだったと考えています。また、養親になる人については、実親による養育が期待できないことを立証したり、実親の反論を受けたりするなど、精神的な負担が多くなっています。これまでは、縁組成立後も、家裁での審判手続きが確定するまでは、いつでも実親が撤回できることになっていました。

今回の案では、家裁の手続きを、実親が育てられるかどうかを判断する第一段階では、児童相談所長による申し立てを可能にし、実親が同意してから2週間がたつと撤回できないようにします。第二段階で、養親の適格性だけを対象にし、実親は関与しないように、なっています。

特別養子縁組がしやすくなることは、子どもたちのために歓迎です。しかし、現場の実情を見ずに年限を切って、施設での養育をさせないようにすることには、反対です。一番は、家庭で育てられない子どもたちが、よりよい状況で育つことですから。

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