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私が聞きほれた河野外交演説-外務省働き方改革、英語力のアップ、公邸料理人の確保、政治家を国際機関のトップに等満載

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 1月28日、通常国会の施政方針演説が行われた。もう聞き飽きた安倍首相の美辞麗句は聞くに堪えがたかった。平板な財政・経済演説も同じだったが、私が楽しく聞いたのが河野外交演説である。いつもはかん高い声に辟易するのだが、今回はそれも国はならなかった。なぜならば、いかにも素直な河野太郎という政治家の関心ごとが、外交演説の中に如実に反映されていたからである。

 日本外交の課題は、地球俯瞰外交とやらで、やたら外遊に出かける安倍首相の施政方針演説に触れられており、目新しいことはない。というより気の毒にも首相にいとこどりされていて、その他のことでしか河野色をだせなかったのだろう。この後の「これらに加えて、いくつかのことを申し上げたい」という、6~18頁にも及ぶ後半である。

<知恵を工夫により「裸の外交力」には「ブラック省」からの脱却が必要>

 まず、外務省の「ブラック省」振りを訴えて改善を主張する。この件は既に外務委員会でも同じ主張が繰り返されているが、外務省に良い人材を集めるためにも、残業時間を減らさないと人が来てくれないと嘆いている。

 かつて外交官試験は別立てだったが、今は国家公務員試験に一本化されて久しい。聞くところによると、一番の人気省だという。そして最近の入省者の約半分は女性で、全職員の6割、3500名が在外公館で勤務している。共働きもいるし、介護が必要な者もいる。国会も外務省職員が家庭と仕事を両立できるように配慮してほしいと訴えた。外務省の職員にとっては、トップの部下への配慮は心強い援軍である。

<より自由な外相の海外出張と和食による外交>

 次に2013年にユネスコの無形文化遺産和食に指定された和食を日本外交の大きな武器と位置づけ、腕の良い公邸料理人の確保も訴えている。さすがにここでどよめきが起こった。常識的には外交演説に入れる項目ではないだろうが、海外出張をもつと自由に緩めてほしいという、大切な主張の次に位置付けているのがほほえましい。胃袋も外交には不可欠という主張であり、もっともなことである。

 次にODAが最盛期と比べて半減したが、それを補うために、LDCとの直行便を増やし、文化予算を活かして、漫画やアニメばかりではなく、TV番組や音楽等も売り込むべきと主張している。私も、フランス・パリのOECD代表部に3年外交官として勤務しており、フランス政府は文化予算をふんだんに使い、フランス外交の一助としていることを実体験しており、日本はどうも多面的な外交をしていない。また、観光で400万人と通り一辺の目標を掲げるだけでは、日本の理解は広まらない。文化に支えられた日本を売り込む必要があることは言うまでもない。

 ただ首相や外相が外国を飛び回っているのが外交と考える節があり、自ら反省するのが先だろう。

<フランス語にこだわるフランス外交>

 河野外相は、アメリカ留学しており、国会議員の中では英語力のある議員に一人である。日本を理解してもらうためにも、海外の日本語教育を図るべきことも指摘している。これまた、フランスは国を挙げてフランス語の浸透に力を注いでおり、OECD(英仏二か国語が公用語)でもやたらフランス語を対等に扱うことにこだわっていた。例えば、英語版より仏語版が数日遅れただけで、その議題は次回に先送りすべきと常にクレームをつけていた。私はあまりにしつこいので「一度でいいから、日本語版が遅れたから来年回しにしてほしいといいたい。私とっては英語も仏語も大してかわらない外国語で、いつも大変な思いをしている」と主張し、笑いを誘った。その時は「篠原の主張に免じて、今回の議題をしてもよい」という成果(?)を勝ち取った。

 いつぞやアメリカ大使公邸(OECD)に招かれた折り、いつもフランス語しか話さないフランス代表が、私など足下にも及ばない流暢な英語を話すのに愕然とした。敢えて英語を話さないという徹底振りであり、旧植民地諸国で「仏語国会議」なるものもやっている。日本はせいぜい学生の日本語による弁論大会ぐらいであり、熱の入れ方が段違いである。河野外相の時に「活」を入れてもらわないとならない。

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