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性犯罪「冤罪」被害者の国賠請求棄却 警察や検察の責任は(粟野仁雄)

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【国賠法上「違法と言えない」?】

今回の判決で大島裁判長は「府警や地検が医療機関を調べればカルテを入手でき、女性の証言の信頼性が揺らいだ可能性は否定できない」とは認めた。しかし一方で、「警察官は産婦人科で受診した女性が処女だとの診断結果を伝えられず、カルテを収集できなかったのはやむを得ず、国家賠償法上、違法とは言えない」と認定。閉廷後、大阪司法記者クラブで会見した男性は「警察、検察、裁判所は何も反省していない。間違えば(再審で)無罪を言い渡せばいいというだけ。どうして有罪判決に至ったかも反省せず、膨大な資料を出していたのに検討せず、二度と冤罪が出ないようにという姿勢がまったく感じられない」と憤った。

男性の代理人の後藤貞人弁護士は「判決は『有罪仮説に合う証拠がありました、だけで起訴して有罪判決を出したことは間違ったとはいえない』というもの。有罪の仮説だけ検証すれば足りますということです。無罪かもしれないと考えて医学的所見を調べるとか、医師にちょっと訊くこともしていない。これでは同じような捜査のブレーキにならない」と批判した。

代理人の山本了宣弁護士は「古い時期のカルテを見る必要があった。女性は性体験が一度もない可能性が十分あったのでそこから調べるのが出発点なのに、今回の判決はそういう捜査も要らないとしている。被害者や友人の話は信用でき、それ以上はしなくていいという考えです」と批判した。検察は証拠一覧表の開示を拒否した。裁判所が提出を求めた証拠一覧表について検察は不服申し立てもせず、無視した。山本弁護士は「これでは(被告人の)防御権もなくなるのに、裁判所は、それは権利とは言えないとした」と話した。

男性は有罪認定した裁判所の責任も問うたが認められなかった。山本弁護士は「『裁判官の判決を国賠訴訟で違法とできるのは極めて異例』との最高裁判例を引き、それに当たらないとしただけ。中身の検討もない」と指摘した。

医療機関も調べないでたらめ操作で濡れ衣を着せられた男性は刑事補償の約2800万円だけ受け取っている。だが、逮捕や服役で仕事や多くの友人も失ったという男性は「妻も肩身の狭い思いで生きてきました。もう元には戻らない。警察も検察も裁判所も責任を取らなくてよいのなら私のような冤罪被害者はなくならない」と訴え、控訴の意思を示した。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2019年1月11日号)

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