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自分の金融資産を守るには

AIJ投資顧問の年金資産消失問題を見ても、金融市場に資金を預けることには常にリスクを伴うことは確かである。AIJ投資顧問は損失を巧みに隠蔽するなどしており、この問題で一概に金融市場は危険であると決めつけるわけにはいかない。むしろ、年金基金や生命保険金、さらに我々の預貯金などを運用している金融機関の多くは信頼のおけるものであることも確かである。

それでも金融市場での資金運用にはリスクが伴う。自分の金融資産を守るためには、そのリスクを少しでも軽減させる必要がある。そのためにはいくつか必要なことがある。

ひとつはコアとなる資金については極力、安全資産で運用すべきということである。将来の備えなどに必要な資金については元本が毀損する恐れのある物への投資は控えるべきである。そのためには預金保険制度が適用される範囲内での預金などが候補となろう。しかし、それを大きく超える資産を持っている方には、個人向け国債が良い。途中売却できない期間があるため、そこに注意する必要があるが、その期間を超えれば国債でありながら、価格変動リスクも流動リスクもない。いつでも財務省が額面で買い取ってくれる。

しかし、国債は危ないのではないかと信用リスクを気にする人がいるかもしれない。しかし、日本の金融商品の中核にあるのが国債であり、仮に日本国債の信用リスクが毀損すれば、それは日本の金融資産全体に影響を与えるばかりか、国債を保有している金融機関にも影響を与える。日本の信用リスクに関する将来像については見方も分かれるが、その影響を完全に排除するには国外での生活を考える他に手段はない。このあたり、日本国債は暴落するかという問題ではなく、国民としては暴落させてはいけないものであろう。

そしてコアとなり、絶対に元本を失ってはならない資金以外での余裕資金があれば、預貯金や個人向け国債以外の金融商品が数多く存在し、それらに資金を振り向けることも候補に挙がろう。多少のリスクは覚悟の上で、預貯金や国債の利子以上の収益を確保したいという方も多いであろう。その際にまず心がけるべきことは、なるべく原商品を購入するという機会を設けることであろう。つまりは、株式なり債券なりであり、為替投資の機会としては外貨預金などもある。

株や債券などの原商品を購入することにより、実際に価格変動リスクや流動性リスク、そして信用リスクといった基本的なリスクを経験として学ぶことができる。もちろん株や債券を購入する前に、必要最低限度の知識を得ておく必要もある。ただし、投資の際には他人の意見に惑わされることなく、自ら判断する必要がある。証券を発行する企業の財務内容などをチェックするとともに、少なくともチャートの読み方程度はできるようにしておくことも必要であろう。

そして、損失が発生したとしてもこれは貴重な経験と認識することも大事である。大きな損失を発生させたディーラーはちょっとした成功体験を自分の相場観の良さによるものと勘違いし、のちに大きな損失を発生させることが多い。それよりも最初に損失を発生させると、なぜ損をしたのかをしっかりと考えることで、のちの投資に生かせることにもなる。

そのような経験を経た上で、運用をプロが行っている投資信託などに資金を振り向けることも必要か。大手証券出身のAIJの資金運用がどのようなものであったのかを見るまでもなく、金融市場での資金運用は非常に難しい。私のディーラー時代の経験からも確かなのは、安定的に収益を出すことは大変難しいということである。そのことすら、経験がないとわからない。もちろんある程度の安定した収益が出せるようなプロ達も存在するのも確かである。それをどのようにして見分けるのかも重要であるが、それにはある程度、金融市場に関する経験や知識、情報が必要になる。そのためには自らまず原資産の運用をしてみることが、一番良い手段になると思われるのである。

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